東京・西新宿の京王プラザホテルで、おいしいパンが販売されている。「獺祭食パン」(650円)と「獺祭あんぱん」(280円)だ。“獺祭”はもちろん、世界中で愛されているあの日本酒である。2階のフードブティック「ポピンズ」にて販売されているこのパンは、ホテル内のベーカリーで焼き上げられているという。考案・開発したのは京王プラザホテルのブーランジェだ。

日本酒ファンはもちろんのこと、パン好きからも好評を得ているこのプレミアムなパンは、どのように生み出されたのか。企画広報支配人の杉浦陽子さんが取材に応じてくれた。

■「ふわふわ、もちもち」。気になるのはやっぱりその味
「獺祭食パン」と「獺祭あんぱん」。いったいどんな味なのか。獺祭の味がするのだろうか。

「獺祭を作る際にできる酒粕を、酵母の原種として使っているのが最大の特徴です。お客様には、『獺祭の酒粕の風味を感じていただける』とお伝えしています。酒粕は、お酒の種類や状態によって味がまったく異なりますが、獺祭の酒粕は臭みがなく、フルーティーな香りで甘みがあって、酒粕のコクがストレートに伝わってきます。パンを召し上がっていただいて獺祭の酒粕なのか、ほかの日本酒のものなのか、違いがおわかりになられる方も中にはいらっしゃるかもしれません(笑)」

とはいえ、使われているのは獺祭そのものではなくあくまでも酒粕。繊細な舌を持っていなければ違いを感じるのは難しそう。それでも、ブーランジェは獺祭の特徴を理解したうえで、その味わいを表現しようと工夫を凝らした。

「獺祭のフルーティーな香りを殺さないよう、試行錯誤を重ねて何度も試作した、とブーランジェから聞いています。生地は小麦粉選びから厳選して、『獺祭食パン』は高加水率にこだわり、十勝産の小麦に和三盆といった和の素材を使用し、『獺祭あんぱん』については大粒の十勝産大納言小豆を包み焼き上げて、贅沢な味わいへと仕上げたとのこと。どちらも、もちもち、ふわふわの食感をお楽しみいただけます。実は私自身あまりお酒が強いほうではないのですが、酒粕の風味がふわっと香ってとてもおいしいと感じました!お酒がお好きな方はもちろんのこと、お酒が得意ではない方にも満足いただけるお味です」

もちもちでふわふわ、酒粕の風味がふわっと鼻に抜けて、やさしい甘みも感じられるパン……ぜひ一度食べてみたい!

■なぜ獺祭?実は京王プラザホテルと獺祭の蔵元は人材交流でつながっていた
「獺祭食パン」と「獺祭あんぱん」が販売される以前、昨年2023年12月から数量限定で「獺祭パウンドケーキ」も販売している。さらについ最近まで、獺祭をたっぷり堪能でき蔵人と直接交流できる「獺祭BAR」も期間限定オープン(現在は終了)するなど、京王プラザホテルでは獺祭尽くしの企画が続く。

「コロナ禍の影響で、ホテル業界が大変厳しい状況になっていた時期に、弊社の唎酒師(ききさけし。日本酒ソムリエのこと)を出向させていただけないか、獺祭の蔵元である旭酒造様にお願いし、快く受け入れていただいたことをきっかけに、人材交流が始まりました」

移動制限や外出の自粛により、宿泊施設が大きな打撃を受けたことは記憶に新しい。コロナ禍のピークを過ぎて日本国内はもちろん海外からも宿泊客を迎えるにあたり、京王プラザホテルが力を借りた先が旭酒造だった。

ライトなコラボではなく一歩踏み込んだ形を取ったことで、世界的に人気のある日本酒ブランドとの信頼関係を築くこともできた。京王プラザホテルと旭酒造の交流が現在のように親密になったのは、まだ数年のこと。短い期間ながら相互に行き交うことにより互いの研鑽が深まっているようである。「獺祭食パン」と「獺祭あんぱん」は、そんな両者の相思相愛の度合いを感じさせる、贅沢な味わいだ。

「販売初日は数も少なめのご用意となりましたが13時に焼き上がり、店頭に並べると30分ほどであっという間に完売しました。好評を得ることができ、とてもうれしく思っています。ぜひみなさまもご賞味ください」

気の利いた手土産を探しているという人にはまさにうってつけ!獺祭ファンやパン好きにも、まだ見つかっていない知る人ぞ知る逸品だ。焼印を見て「これは!」と気づいてくれそうな相手に、何も言わずそっと手渡してみたい。

今後もさまざまな展開に期待できそうな京王プラザホテルと旭酒造の関係を応援する意味でも、もっともっとヒットしてほしい商品である。