女優の武井咲(23)が主演するテレビ朝日系ドラマ『黒革の手帖』(毎週木曜 後9:00)が20日にスタートした。初回の視聴率は11.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)でまずまずの出足。武井本人が制作発表で「できるの?と、試すような目が多い気がする。打ちのめしたいなって思っています」と語っていた意気込みそのままの熱演が見られた。

 原作は今年、没後25年を迎える松本清張の不朽の名作。主人公・原口元子が、働いていた銀行から横領した1億8000万円を元手に、借名口座のリストを記した“黒革の手帖”を盾にして、銀座の高級クラブのママとして夜の世界でのし上がっていくストーリー。1980年に刊行後、何度も映像化され、山本陽子や大谷直子、浅野ゆう子、事務所の先輩である米倉涼子らが演じてきた“稀代の悪女”を、23歳(「黒革」史上最年少)の武井が演じきることができるのか、放送前から注目が集まっていた。

 今回、脚本を手掛けているのは、連続テレビ小説『マッサン』(2014年)の作者でもある羽原大介氏。映画『パッチギ!』(05年)や『フラガール』(06年)、ドラマ『ダブルフェイス』(12年)などを代表作に持ち、アニメ『ふたりはプリキュア』(04年)なども手掛けていた。『マッサン』の時には、大学の同級生だったという作家のよしもとばなな氏がツイッターで「彼の脚本の特徴は、ある地点から突然に全部の伏線が花開いて、人物が生き生きしだすところ。人物造形がハンパなくきちんとしているから、どんなできごとにも土台があるし、安心して観られるのにひとひねり深い展開になる」と大絶賛していた。

 『黒革の手帖』でも「銀座最年少ママ」の新たな設定が加わった元子はもちろん、彼女が開いたクラブ「カルネ」に集まってくる、どこか後ろめたいところのある人たち、というか全員悪役(!?)のような登場人物をそろえて、羽原氏は『黒革の手帖』をどのように仕上げていくのか。

 政治家になるために“汚れ仕事”にも精を出してきた衆議院議員秘書・安島富夫(江口洋介)、コツコツ裏金を貯めて成り上がった楢林クリニックの院長・楢林謙治(奥田瑛二)、裏口入学で巨額の利益を得ている予備校の理事長・橋田常雄(高嶋政伸)、楢林と二人三脚で病院を大きくしてきた看護師長・中岡市子(高畑淳子)、政財界のフィクサー・長谷川庄治(伊東四朗)。

 第1話では、俳優の滝藤賢一が、自分の保身と出世しか考えていないメガバンクの次長・村井亨を憎々しく演じてからの転落ぶりを好演。派遣行員の元子(武井)と山田波子(仲里依紗)に対する村井の言動を見て、「自分の周りにもいる…!」と思った人は、たった一冊の手帖を武器に、大の大人たちが小娘にやり込められる姿を見て、気持ちがせいせいしたのでは?

 27日放送の第2話では、元子とともに派遣切りに遭った波子が豹変。元子の誘いもあり、銀座の夜の世界に足を踏み入れることになった波子は、水を得た魚のように活き活きとし始める。楢林を篭絡し、またたく間に元子を脅かす存在へと成長を遂げるのだ。そして、“派遣のオンナ”から“銀座のオンナ”に変身した女ふたりの壮絶なバトルがぼっ発する。4月期のドラマ『あなたのことはそれほど』(TBS)でも世間をゾッとさせた仲が、今作では激しく貪欲なもう1人の悪女をどう演じるのか注目したい。