今年で放送20周年を迎え、今なおファンの心を捉えて離さない人気ラジオ番組『火曜JUNK 爆笑問題カーボーイ』(TBSラジオ・毎週火曜 深1:00)。爆笑問題のライフワークとも言えるこの番組で、太田光がいま最も熱を入れて取り上げているのが「他局のラジオ番組」だ。魅力的な地方局の番組をどんどん紹介し、その番組内で実施されているクイズをそのまま『カーボーイ』の中でもやるなど、暴走気味にラジオ愛を爆発させている。

■radiko「エリア&タイムフリー」が契機 広島の人気アナと番組を超え交流も

 そもそも太田は、『ビートたけしのオールナイトニッポン(ANN)』(1981〜1990)のヘビーリスナーであり、ラジオが若者に大きな影響を与えていた時期に青春時代を過ごしてきた。自身が芸人となってからは、数多くのテレビ番組で活躍しながら、『カーボーイ』のほかに同局の日曜午後のワイド番組『爆笑問題の日曜サンデー』(後1:00〜5:00)を長年担当するなど、“ラジオ芸人”としての一面を持っている。

 ラジオ愛が熱い故に、かねてから『カーボーイ』で他のラジオ番組について話すことはたびたびあった。当初の話題のメインは、『たけしのANN』でたけしの相方として出演していた放送作家・高田文夫の『ラジオビバリーヒルズ』や、『カーボーイ』の裏番組となる火曜日の『ANN』など、ライバル局であるニッポン放送の番組。その後、昨年から森口博子の『SKY GATE KISS&SMILE』と井森美幸の『The BAY☆LINE』(井森は今年3月で卒業)を放送するbay fmがターゲットになり、この2人の番組について太田が『カーボーイ』で30分近く話すこともあった。

 そして、あることを契機に太田のターゲットとなる番組が一気に拡大した。それは、PCやスマホなどでラジオを聞けるサービス「radiko.jp」で、全国のラジオ局の番組をエリアフリーで聞くことができる「エリアフリー機能」(2014年4月開始)と、1週間以内なら無料で聞き返せる「タイムフリー機能」(16年10月開始)の導入だ。地域にも時間にもとらわれずにラジオを楽しめるようになったことで、昨年末ころから太田は新しいおもちゃを手にした子どものように全国の面白いラジオ番組を夢中で探し回り、『カーボーイ』で紹介し始めた。

 最初に目をつけたのは、広島・中国放送(RCC)の『平成ラヂオバラエティごぜん様さま』(月〜金 前9:00)。地元で高い知名度を誇り、2015年に「ギャラクシー賞ラジオ部門DJパーソナリティ賞」を獲得、映画監督という顔も持つ同局の横山雄二アナの人気番組だ。豪快でクセのある横山アナのトークについて太田が『カーボーイ』でイジると、横山アナも「なんか面倒くさそうな人だよね」と自身の番組で太田に反撃。その後、地域と局を超えた双方の番組で2ヶ月ほど面白おかしくバトルを繰り広げ、ついに横山アナが『カーボーイ』のスタジオに登場する展開に。お互いの番組のリスナーに相手番組への興味を持たせ、太田と横山アナもすっかり仲良くなるなど、ラジオならではの交流劇を見せた。

 今では、『ごぜん様さま』の火曜パーソナリティの河村綾奈アナが番組内で出題するクイズを、太田がその日の『カーボーイ』でそのまま相方の田中裕二に出す流れが定番になっている。

■北海道から九州まで耳を広げ、面白ければ裏番組でも堂々と紹介

 続いて太田が興味を持ったのは、「北海道のやしきたかじん」の異名を持つほど北海道で圧倒的な人気のタレント・日高晤郎のワイド番組『ウイークエンドバラエティ 日高晤郎ショー』(STVラジオ・毎週土曜 前8:00)。市川雷蔵と勝新太郎に師事した経歴を持つ大ベテランの豪放磊落なトークを『カーボーイ』でネタにし、日高も何度かはこれに応えてきたが、太田のしつこい絡みに「俺をネタにするな!」と一喝すると、太田も思わず尻込みしてしまった。

 太田の耳が次に反応したのは、『笑っていいとも!』など多数の番組で共演してきた映画評論家のおすぎと、服飾評論家のピーコが出演する九州朝日放送(KBC)の番組。『おすぎとピーコのシスターシスター』(毎週土曜 正午)など、地方局だからこその自由な雰囲気を楽しんでいたが、その流れでおすぎが月曜レギュラーを務める昼のワイド帯番組『PAO〜N』(月〜金 後1:00)という強烈すぎる番組も発見してしまった。

 地元情報やニュース、地域密着企画など“地方局らしい”番組だが、オープニングがかなり異色だ。MCの沢田幸二アナが、毒舌たっぷりの超早口で旬の芸能ニュースを一気読みする。タブーもしがらみも関係なしの刺激的なぶった斬りに、太田だけでなく相方に紹介され番組を聞いてみた田中も衝撃を受けたようで、『カーボーイ』でも話すのをためらってしまうほどだった。

 このように、日々地方局の面白い番組発掘に励む太田光。先日は7月からTOKYO FMの『YUKI HELLO! NEW WOLRD』が始まったことを喜んだが、この番組の放送時間は毎週日曜の午後3時30分からで、自身の番組『日曜サンデー』の真裏になる。テレビならは裏番組の話題など絶対にタブーだが、「radikoタイムフリー」で後から聞くことができるラジオだからこそ、太田も積極的に話してしまうのだろう。

 「ラジオを聞くのが忙しい」というほど、移動時間や空き時間にずっとラジオを聞き、面白い番組を見つけると積極的に発信する太田光は、最高のラジオ宣伝マンだ。週に6時間もラジオに出演しながら、全国のラジオ情報を拡散しまくる彼こそ、来年の「ギャラクシー賞ラジオ部門DJパーソナリティ賞」の大本命だろう。くしくも、今年のギャラクシー賞は『カーボーイ』の裏で『ANN』を担当する星野源が獲得し、表彰式の司会はRCCの横山アナが務めた。この因縁めいた悔しさを、来年は晴らすことができるか。楽しみに待ちたい。