NHKで放送中の連続テレビ小説『わろてんか』(月〜土 前8:00 総合ほか)。タイトルの由来や前半のみどころについて、脚本家・吉田智子氏が明かした。

 「どんなドラマにするか打ち合わせを始めた頃、たくさん集めていただいた資料の中に、“女興行師”の話がありました。そして、たくさん議論を重ねる中で、今の時代には“笑い”というものが大切なのではないかという話になりました」。

 舞台は、明治の後半から第二次大戦直後の大阪。当時活躍した芸人・文化人などさまざまなお笑いのパイオニアたちの人生をヒントに、いつも周りに笑いをふりまくヒロイン・てん(葵わかな)が、ひょんなことから小さな寄席経営をはじめ、ついには日本で初めて“笑い”をビジネスにした女性と言われるまでになるまでを、笑いと涙のオリジナルエピソード満載で描いていく。

 「タイトルは『5文字の朝ドラはヒットする』という法則があるとの理由で、監督が『わろてんか』にしようと提案されました。関西ことばで『笑ってね』という意味で、一文字の違いで議論し、大阪ことば辞典を何冊も買って、ようやく皆で導き出したタイトルです。

 実は、このタイトル案が出された当初、私は首を傾げていました。東京出身の私には、『笑っているのか?』とツッコミを入れられているようなイメージの言葉に聞こえ、語感がキツいと感じました。するとプロデューサーがかわいく首をかしげながら、『わろてんか?』とおっしゃって、イメージを伝えてくださり、ハッとなりました。不思議なもので、何度も聞いているうちに、だんだん面白く感じてきて、今ではイントネーションも含めてかわいくていいタイトルだなと、とても気に入っています」。

 ちなみに、最近の連続テレビ小説では、『あさが来た』と『あまちゃん』がタイトル5文字。

■一日の始まりに元気に笑う“笑活”を

 『わろてんか』は、連続テレビ小説としては珍しく、第1週から恋愛要素高め。ヒロイン・てんは9歳の時に旅芸人の北村藤吉(松坂桃李)と出会い、淡い恋心を抱く。それから8年、藤吉もてんに手紙を書き続ける。第2週で、てんに伊能栞(高橋一生)との縁談話が持ち上がる。てんは1度しか会ったことのない藤吉への思いを募らせる。そして、てんの側にはいつも武井風大(濱田岳)がいて…。

 「ストーリーについては“家族愛”はもちろん、てんと藤吉の恋愛模様を大事に書いていきたいと思っています。お嬢様(てんは京都の老舗薬種問屋「藤岡屋」の長女)と旅芸人。『ロミオとジュリエット』に代表されるような、周囲に反対される恋であり、二人の行く末をハラハラドキドキ見ていただけると思います。これまでの“朝ドラ”は、ヒロインカップルの間に、一人が少し割り込むぐらいの三角関係、という印象ですが、てんを取り巻く男性は、それどころではありません。てん以外の女性陣も交えて、彩り豊かな恋愛模様を楽しみながら書かせていただいています。キャスティングも非常に魅力的で、『全方位をすてきな男性たちで固めている』といった感じで、ありとあらゆる女性の好みに対応しているのではないでしょうか(笑)。

 人は生きていく限り、嫌なこともたくさんあると思います。失恋したり、仕事を失ったりして、へこたれる日々の中で、“笑い”というものがあれば前を向くことができるはずです。人間は、きっと、“笑い”を“勇気”に変えて、前に進むことができるのではないでしょうか。幸せだから笑うのではなく、笑うから幸せになれるのだと、私は信じています。朝活ならぬ、笑活(わらかつ)として、一日の始まりに元気に笑っていただき、前に進んでいくための一助になればうれしいです」

■プロフィール
東京都生まれ。主なテレビ作品は、『美女か野獣』『働きマン』『全開ガール』『カエルの王女さま』など。主な映画作品は、『奇跡のリンゴ』『岳』『僕等がいた』『ホットロード』『アオハライド』、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』『君の膵臓をたべたい』。NHKではプレミアムドラマ『嫌な女』がある。