女性が仕事に費やす時間が増えた分、家事に費やす時間は減り、以前に増して家事の時短・簡便化が求められている昨今。中谷美紀主演のTBS金曜ドラマ『あなたには帰る家がある』の第1話では、家事をめぐる夫婦の考え方の違いがけんかへ発展してしまうシーンがリアルに描かれ、職場復帰した妻(中谷美紀)と家事を手伝わずに文句の多い夫(玉木宏)とのやりとりが「まさに夫婦あるあるだ」とSNSで話題になった。また、絵本作家のぶみが作詞した『あたしおかあさんだから』で、自分を押し殺して子どものためにすべてを捧げる母親像を描いた歌詞が「まるで呪いの歌のよう」「子どもに聞かせたくない」などと炎上したのも記憶に新しい。

■家事えもんや家政婦の志麻さんに見る、最近の家事事情

 一方、バラエティー番組では家事をテーマにしたものが増えている。料理・掃除・収納など暮らしで得する情報を届ける『得する人損する人』(日本テレビ系列)では家事アイディアを紹介する“家事えもん(松橋周太呂)”が、『沸騰ワード10』(日本テレビ系列)では簡単に手早く料理を作る“伝説の家政婦 志麻さん”が活躍。発売された著書も人気になった。しかし家事がコンテンツとして取り上げられる機会が増えたことで、「家事を完璧にこなそう」「やらなきゃいけない」という“呪縛”に縛られ、仕事との両立に悩む女性も少なくない。3月30日(金)に放送されたNHKの情報番組『あさイチ』では、「引き継ぎの極意」というテーマで夫婦間の家事の引き継ぎについて取り上げられ、博多大吉は「男性は女性の思っている以上に気付かない。言われたらできるという確信はあるが、言われなかったら本当にできない」とコメントし、話題になった。夫婦で家事を分担するにしてもその方法は手探りで、まだまだ一般化していない現状がある。そこで、このような最近の家事事情を踏まえ、どうすれば家事の負担を減らせるのか。『お母さんだけが頑張らない!ラクチン片づけ』(辰巳出版社)の著者で、自らも仕事と家事の両立を実践する、整理収納士の小宮真理さんに話を聞いた。

――最近の家事事情についてどのように考えますか?

【小宮氏】家事は「女性がやるもの」ではなく、「できることをできる人がやるもの」と考えると、女性は心に余裕が生まれ、家族にも優しくなれると思います。結果、家庭の雰囲気もよくなり、家族みんながハッピーになれるはず。私も以前は、「家事も育児も自分がやらなければならない」と一人で抱え込んでいました。思い詰めてはイライラして、家族に当たってしまうこともありましたね。でも、あるとき「誰もそんなことは求めていないんだ」と気づき、自分で勝手に作り上げていた呪縛を解いたら心がすっとラクになり、家族とも良好な関係を築けるようになりました。


――家事の負担を減らすために、家族の協力体制を築くには?

【小宮氏】まずは「家事は自分がやらなければならない」「家はいつもきれいでなければならない」という”せねばならない”呪縛を解くこと。意識を改めれば、それだけで気分がラクになりますし、家族にも協力を求めやすくなるはずです。

――どのように声掛けするのが望ましいのでしょうか?

【小宮氏】人は4つのコミュニケーションタイプに分かれると言われ、それぞれに“響く言葉”“響かない言葉”があります。例えば、リーダータイプには頼りにしていることを示す、論理的なタイプには抽象的な言い方を避ける、感覚的なタイプは褒めちぎる、優しいタイプにはさりげなく感謝を伝えるなど。「家族だからみな同じよね!」ではなく、そのタイプにあった声掛けをしましょう。ですから、「なんでわかってくれないの?」とストレスを抱えてイライラするのは、エネルギーの無駄使いになります。効果的な声かけで、やる気を高めるといいですね。

 家族に料理をお願いするときは、例えばパスタなら、麺、ソース、野菜などの食材をワンセットにまとめておく。好きな家電を使った家事を担当してもらう。洗濯物の畳み方がイマイチでもダメ出しせず、後でこっそり直しておく。そして、家事をしてくれたら「ありがとう、助かったわ」「おいしいね!さすがパパ」と感謝を伝えるなど、相手が気持ちよく協力できるよう配慮することも大切です。

――家事を協力して行うことで、小宮さんのご家族にはどんな変化が見られましたか?

【小宮氏】今では夫は料理が好きになり、三食だけでなく、子どものお弁当まで作ってくれるようになりました。また、子どもも家庭科の授業に自信をもって取り組むようになるなど、家族全員にいい変化が生まれています。

 日頃から家族と協力体制を作っておけば、突然の病気や出張などで家事ができないときも、慌てることなく安心して家族に任せることができます。今は家事をするのは自分だけで十分という人も、いざというときのために家族と共有しておくことをおすすめします。

 家事の負担を減らすにはまず自分の意識を改め、そのうえで家族に協力を求めていくことが大事なのだ。これからは仕事も家事も育児も、家族が協力していく時代に。家族で共有する体験が増える分、わかり合えることも増え、今まで以上にお互いの絆が深まっていくのではないか。
(文:窪 和子)