「食材の記憶」をテーマにした「空想アイデア」を、SNSなどで投稿するスーパーマーケットカカム。「しそ絆創膏」や「落花生のイヤホン」、「夜景のビールグラス」など、商品化を望む声も多いが、実際にはほとんど販売されていない。実用品ではない「空想アイデア」を提供する理由や発想の根源について聞いた。

◆「空想アイデア」は、すべて「アイデアのレシピ」から生まれたもの

――なぜ「空想アイデア」を発信しようと思ったのでしょうか?

【スーパーマーケットカカム店長】 世界中の人々を言語の壁を超えてワクワクさせたいと思ったからです。本当に存在するかのような説得力のあるビジュアルを実現できれば、たとえ空想だとしても、ワクワク感を届けることができると考えています。また、アイデアのスーパーマーケットとして豊富なラインナップを取り揃えたいと思っています。同時に、ワクワクするアイデアを安定的にSNSやサイトに出荷できるよう、スーパーマーケットカカム式の「アイデアのレシピ」の確立も目指しています。

――どれも斬新な「空想アイデア」ですが、その発想はどこから得ているのでしょうか?

【スーパーマーケットカカム店長】 これまでに発表した80種類ほどのアイデアは、すべて「アイデアのレシピ」から生まれたものです。これまでの反響をもとに、良い点、悪い点を見つけ、改善し、発表する。このサイクルを繰り返すことで「アイデアのレシピ」を確立し、いつも新鮮でワクワクするアイデアを出荷したいという想いがあります。

――「アイデアのレシピ」とは?

【スーパーマーケットカカム店長】 「アイデアのレシピ」を使う上で必要な「アイデアの材料」は、テーマとなる食材の「共通の記憶」です。食材の「共通の記憶」とは、食材から誰しもが連想することができる、形や色や感触や味、食べる時の動作など、一般的に共通している記憶のことです。例えば、しそといえば「殺菌やしそ巻き=絆創膏」、ビールといえば「夜飲むもの=そそぐと夜景になるグラス」。このように「食材の記憶」を共有している人であれば、アイデアとタイトルを見ただけで意味を理解し、ワクワクできるように考えています。

――“食材”にこだわった理由は?

【スーパーマーケットカカム店長】 「アイデアのレシピ」からアイデアを考える上で重要な要素は、「共通の記憶」です。これは“りんご=赤い、丸い、木になっている”など、誰もが連想できる記憶のことです。そして食材には、そんな「共通の記憶」がたくさん溜まっていて、最適なモチーフだと考えています。

――“食材”以外のものを考えたことはなかったのでしょうか?

【スーパーマーケットカカム店長】 “食材”以外でも面白いアイデアを思いつくことはあります。同時に「あ…でもこれ食材と関係ないから発表できないや…残念」と思う癖がついてしまって。“食材”以外の日用品や文房具などから考え始め、最終的に“食材”に着地することはあります。

◆そもそも商品化を活動目的としていない

――「空想アイデア」を発表するにあたり大切にしていることは?

【スーパーマーケットカカム店長】 テーマとなる食材の「共通の記憶」を抜き出せているのか? 逆に「共通の記憶」にないものがアイデアに混じっていないか? ということを確認することを心がけています。例えば、食パンと言えば「フカフカ」という記憶は誰もが連想できると思います。そこで「フカフカ」の記憶を生かして「食パンのベッド」を作りました。

――これまでで一番反響が大きかった空想アイデアは?

【スーパーマーケットカカム店長】 SNSで反響の大きかったのは「しそ絆創膏」です。WEBサイトでは「スイミンのレシピ(食パンのベッド)」です。

――どのような反響が届いていますか?

【スーパーマーケットカカム店長】 最近はTwitterで反響をいただくことが多くなりました。自分が考えもしなかったことで、コメントが盛り上がったりするのに、驚いております。海外の方からのコメントも増えています。また、「どこで買えますか」「欲しいです」など、商品化に関するコメントも多くなりました。

――フェリシモより「タオル昆布」が販売されましたが、商品化される上で大切にしていることは?

【スーパーマーケットカカム店長】 大切にしていることは再現度です。その上で、空想で発表したビジュアルよりもさらにクオリティが高いものにしたいという想いはあります。

――多くの反響があるにもかかわらず、商品化に至らない理由は?

【スーパーマーケットカカム店長】 そもそも商品化を活動目的としていないことです。そのためアイデアを発表し、反響をいただいた時点で、「空想アイデア」の役目を終えてしまう。商品化よりも反響によって改善した「アイデアのレシピ」から次のアイデアを発表することに、興味が湧いてしまうからです。

――では何を目指しているのでしょうか?

【スーパーマーケットカカム店長】 今後もアイデアの発表を続け、いただいた反響から「アイデアのレシピ」を改善していきたいです。言語の異なる世界中の人々を、ワクワクさせることを目指しています。