新型コロナ感染の不安を理由に税務調査延期は可能?コロナ禍での税務調査対策とは?9月22日付けの日本経済新聞(WEB版)に税務調査再開の旨で記事が掲載された。要約すると以下の通りだ。

・コロナ禍で中止していた税務調査を10月1日から再開
・9月23日から納税者に税務調査が可能かどうか電話で確認(屋内で長時間の調査となるため、高齢者からは断られる可能性があることも想定)
・税務調査は新型コロナ感染を考慮して人数や時間を可能な限り最小限にして実施

今回は新型コロナウイルスという、国難ともいうべき事態での税務調査の特徴や傾向とその対策について元国税調査官の松嶋洋税理士に話を伺った。

■リーマンショックや東日本大震災での税務調査

まずはリーマンショックや東日本大震災などの過去の国難時の税務調査がどのように行われていたのか伺った。

「リーマンショックの際は特に調査の制限などはありませんでしたが、東日本大震災の際は、予告していた調査が取り止めになるなど、納税者に配慮した対応がとられました」(元国税調査官・松嶋洋税理士)

取り止めになった税務調査はその後どうなったのだろうか。

「取りやめになった調査は、その後落ち着いてから再開すると指導されていましたが、実際のところはそのままうやむやで打ち切られた事案も多かったようです。税務署も異動がありますから、管理が行き届かない部分もあったのでしょう」(元国税調査官・松嶋洋税理士)

■コロナ禍での税務調査の特徴と傾向

では次にコロナ禍での税務調査の特徴や傾向を聞いてみた。

「国税の対応としては、基本的に調査を延期し、緊急事態宣言前までに調査着手されたものなど、重要性の高い案件については、納税者の許可を得て細々と進められていたようです。その他、疑義のある申告をした個人事業者や国外送金のある方などについて、お尋ね文書を発送して指導する、といったことも行われていたようです」(元国税調査官・松嶋洋税理士)

コロナ禍で税務調査はどのくらいの期間、差し控えていたのだろうか。

「確定申告期限・緊急事態宣言発動前後から、様子見で、調査を差し控える状況がつい最近まで続いていました。しかし、冒頭の通りマスクの着用や調査人員の制限など感染防止に努めた上で、重要性の高い案件を中心に調査が再開されることになったようです」(元国税調査官・松嶋洋税理士)

■コロナ禍で認められる税務調査対策とは

最後にコロナ禍で認められる税務調査対策を聞いてみた。

「最も有効なのはテレワークの導入です。税務調査は守秘義務の関係で、オンライン調査ができません。このため、テレワークで担当者が出社しないといった場合には、出社日まで調査を延期する、といった対応がなされる模様です。加えて、通常以上に納税者に配慮した取扱いがなされるはずで、高齢者や、持病を持っている方がいるなど、感染に不安があるといったケースについても、調査の予定を延期する等の措置が取られると思われます。税務調査には期限がある話で、延期されればそれだけ時間が短くなります。となると、簡単に調査が終わる、といった事態も生じるでしょう」(元国税調査官・松嶋洋税理士)

ちなみに延期や日程変更の申し出は悪印象を与えると思われがちだが決してそんなことはない。国税庁のホームページにもある通り、何の問題もなく変更可能なので一切心配する必要はないだろう。

●専門家プロフィール:元国税調査官・税理士 松嶋洋 Twitter Facebook
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在の専門は元国税調査官の税理士として税務調査のピンチヒッターと税務訴訟の補佐。税法に関する著書、講演、取材実績多数。

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