「百円」「千円」「一万円」……なぜ「一万円」だけ一がつく?お金の専門家に聞いてみた!我々の生活にとって、切っても切れないもののひとつがお金だろう。最近はキャッシュレス化も進み、現金を扱う機会が以前に比べ減りつつある。とはいえ、まだまだ日本においては、現金主義の人が多いのが実情だ。そんな中、「教えて!goo」に、次のような質問が寄せられた。「『百円』、『千円』、『一万円』……なぜ一万円だけ『いち』を省略しないのでしょうか?」

確かに、「億円」などは「一」が省略される習慣はない。いっぽうで、百円、千円は、単純にそれを付けなければ「一」だという意思統一ができている。なぜ「万円」の場合だけ、そのルールから外れたのか……。そこで今回は、お金に関する情報発信やおもしろグッズを販売している「ときわ総合サービス」の社長である清水紀男さんに、この質問に対する見解を伺った。

■「一」を付ける、付けないの謎

「十円」、「百円」、「千円」、「一万円」と、これまで当たり前に使ってきたが、確かにルールがよく分からない。

「改めて思い出してみると、『円』だけでなく『個』や『匹』といった単位でも、同じような法則が成り立っています。その理由は、日本では数字を万、億、兆、京と4桁ごとに区切り、その基本単位には『一』を付けることが慣習として行われてきたことにあるようです」(清水さん)

確かにお金の単位だけでなく、その他のシーンでもこのルールが適応されている。これまで考えてもみなかった……。

「いっぽう、基本単位の間を埋める、十、百、千の補助単位には『一』を付けることはありません。唯一の例外は、『一千万』です。千と万は隣り合った桁であるため、数字であることを強調するために、あえて『一千』と呼んでいるものと思われます」(清水さん)

例外が出てくると、やはり混乱する。なんだか、単なる言葉の「ゴロ」のようにも感じられてしまう。

■古来より日本で使われていた?

清水さんによるとこのルールは、かなり以前から使用されていた可能性があるという。

「十円、百円、千円、一万円といった呼び方が慣習として行われていたことは、公式文書の中にもみつけることができます。私たちが使っているお札である、日本銀行券の様式を定めた『大蔵省告示』をさかのぼって調べてみますと、『十円券』、『百円券』、『日本銀行券千円』といった記載がみつかります」(清水さん)

ここまで来ると、もう日本人の慣習として染みついていても仕方がないといえるだろう。最初にこの発表をしようと決めた人たちの中に、確固たるルールなどはあったのだろうか。今となっては知る由もない。

「これに対して、初めて発行される一万円券の様式を定めた昭和33年(1958年)の大蔵省告示をみますと、『日本銀行券一万円の様式を次のように定める』と記されています。『一万円』という呼び方が日本社会で慣習的に使われていたことを示していると考えられます」(清水さん)

国が「一万円」だと言っているのだから、正式名称として使わざるを得なかったのだろう。

普段何気なく使っている単位の読み方について、これほどまで掘り下げてみたのは筆者もはじめてだった。我々が日々慣習として使っている言葉や単位などの中には、他にもこうした事例があるのかもしれない。

●専門家プロフィール:清水 紀男(しみず のりお)
ときわ総合サービス株式会社 代表取締役社長。ときわ総合サービスは、お金に関する情報発信や、おもしろグッズ、家計簿、プライベートバンキング資格関連書籍などを取り扱う。商品への名入れサービス、セミナーも実施。

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