グルメライターに聞いた!また食べたい、記憶に残る名町中華の逸品まだまだ続きそうなコロナ禍とはいえ、たまには外食したいと感じている人は多いのではないだろうか。しかし昨今、店主の高齢化や後継ぎ問題などで、閉店や休業を余儀なくされる飲食店は後を絶たないようだ。中には、コロナ禍の外出自粛により、知る人ぞ知る“名店”が閉店するケースも……。「教えて!goo」にも、「コロナの余波か? よく行ってた飲食店が閉店になります」と、投稿があった。そこで今回は、グルメライターや批評家として幅広くご活躍中の半澤則吉さんに、さまざまな事情から惜しくも閉店してしまった町中華の名店を厳選してもらった。

■閉店が惜しい!名店とその逸品

半澤さんご専門の「町中華」には、昔ながらの名店も多そうだ。まずは、神保町の「康楽」から紹介してもらった。

「『康楽』は、神保町で50年以上の歴史を残し閉店しました。オリジナルメニューの『康楽定食』のおかずは、キャベツと豚肉をニンニクで炒めた逸品でした。ご飯が進むピリ辛味ですが、マヨネーズをかけて味を変えたり、お酒のお供にしたりと、さまざまな楽しみ方ができました。土地区画整理のため、惜しまれながらの閉店となりましたが、お店の看板おかみがまだまだ働き足りない様子だったのが印象的です。町中華の多い神保町ながら、多くの常連客を獲得したアットホームなサロンのような店だったので、閉店が残念でなりません」(半澤さん)

次のお店は、広尾で長年営業していた名中華だそうだ。

「こちらも50年以上続いた、真っ赤な看板が目印の大衆食堂『国泰』です。高級住宅街という印象が強い広尾ですが、そんな街にもコテコテの町中華が存在することが感激でした。人気メニューの『オムライス』は卵固めで、愚直な昔ながらのケチャップ仕上げで美味しかったです。店主の川島さんご夫妻が70代後半に差しかかり、保健所の更新時期(飲食店営業許可書の更新時期)がきたタイミングで、店を閉める決断をされました。奥様“さっちゃん”の細やかな気遣いがうれしい人情味溢れるお店でした。閉店日にもお邪魔しましたが、続々とファンが訪れ、長年営業を続け愛される店の人気に感動しました」(半澤さん)

閉店日にファンが駆けつけてくれたことには、店主もさぞ感激したことだろう。

荻窪「大宮飯店」の「ちゃんぽん」は、これからの季節に必ず思い出してしまう熱々の一品だと半澤さんは続けた。

「さまざまなメディアでも取り上げられた『大宮飯店』の『ちゃんぽん』は、ちゃんぽんを食べたことがなかった店主が試行錯誤して作りあげました。それが功を奏して、豚肉と野菜たっぷりのオリジナルあんかけとなり、話題を呼びました」(半澤さん)

「ちゃんぽん」以外にも、人気のあったメニューを聞いてみた。

「もともと肉屋に勤めていた、店主こだわりのゴロゴロの自家精肉が好評で、このお店の人気を広げたといっても過言ではありません。その自家製肉を使ったチャーハンも絶品で、中華の実力店ならではの忘れられない味です。西荻窪駅から徒歩15分強という少々不便な立地ながら、町中華の多い荻窪・西荻窪エリアで長年愛されたお店でした。奥様が元気よく切り盛りしている姿が印象的でしたが、ご主人の急逝により残念ながら閉店してしまいました」(半澤さん)

■味以外にも人情がある、それが名店の証

最後に半澤さんは、「忘れられない逸品というより、純粋に閉店が寂しかった店の代表格」として、大久保にある「日の出」というお店について教えてくれた。

「豊富なメニューやお酒を取りそろえ、多くの常連客でにぎわう、古きよき町中華の魅力が詰まったようなお店でした。元気で話し上手なおかみさんが一人でホールをまわし、コスパも居心地もよいお店でしたが、店主の入院を機に閉店を余儀なくされました。町中華の理想のような店で、閉店という話になると今も思い出す店ですね」(半澤さん)

「閉店前に一度は食べに行きたかった……」というお店ばかりだが、今回のお話により、飲食店の閉店理由はさまざまだということがわかった。ご高齢の店主が元気に切り盛りしているお店や、コロナ禍でも頑張っているお店はまだまだたくさんある。後で後悔しないよう、思い立ったら足を運んでみてはいかがだろうか。

●専門家プロフィール:半澤 則吉(町中華探検隊)
福島県出身、1983年生まれ。人、もの、食を取材対象とし活動し2015年より町中華探検隊に入隊。数百軒の町中華に足を運び100軒以上の取材を行う。ドラマライター、朝ドラ批評家としても活動中。

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)