4630万円誤送金事件を税務上の観点からどのような問題があるか税理士に聞いてみた山口県阿武町を舞台にした4630万円誤送金問題が世間を賑わせている。事件の詳細や解明は報道を待つとして、今回はこの問題が税務上、どのように取り扱われるのか取り上げてみたい。

ちなみに「教えて!goo」でもこの問題について「4630万円誤送金の税金」という質問が投稿されており、ネット上でも大きな注目を集めていることがわかる。ということで元国税調査官で税理士の松嶋洋氏に話を聞いてみたところ、氏は誤送金は一時所得になり得る可能性があると話してくれた。

■「一時所得」とは一体なんなのか

まずは一時所得がどんな性格をもつのか伺ってみた。

「日本の所得税は所得の種類を10種類に区分し、それぞれ別に計算することにしています。その中の一つが一時所得で、(1)営利を目的とせず、(2)継続性がなく、(3)労働やサービス、そして資産の売却の対価ではない、きわめて偶然性の高い所得を言います」(元国税調査官・松嶋洋税理士)

一時所得の具体例を聞いてみた。

「競馬の払戻金や、生命保険の一時金が該当します。ただし、これらのうち、事業に関するものは除かれます」(元国税調査官・松嶋洋税理士)

■誤送金は一時所得になりえるか

誤送金は一時所得になり得るのだろうか。

「所得税は違法行為によって儲けた所得であっても、課税の対象にしています。誤送金に対して返金しない、という報道がなされましたが、そうなると課税対象になるでしょう」(元国税調査官・松嶋洋税理士)

返金しなければ課税対象とのこと。

「​​なお、借金してお金が増えても税金がかからないことと一緒で、誤送金について返金する、ということであれば税金の対象にはなりませんが、返金されるべきものなのかどうか、事実関係を精査されることになると考えられます」(元国税調査官・松嶋洋税理士)

■一時所得が課税対象だった場合の税額

一時所得に対する税額の計算方法を聞いてみた。

「一時所得は『その収入金額−その収入を得るために直接支出した金額−特別控除額(最高50万円)』で計算されます。次に、税金の計算ですが、一時所得はこれで計算した金額の1/2が課税対象になります。この1/2した金額に、給与などその年で稼いだ所得を合算して1年間の所得を計算し、税金が計算されることになります」(元国税調査官・松嶋洋税理士)

今回の誤送金以外に所得がないという前提で計算してみると、その一時所得に対する所得税額は6,497,600円だった。

■一時所得で確定申告が必要なケースとは

最後に一時所得における確定申告が必要なケースを聞いてみた。

「基準としてですが、上記の特別控除額に達しない場合には、一時所得の金額はありませんので申告は不要です」(元国税調査官・松嶋洋税理士)

50万円を超えなければ確定申告は不要だという。

「​​加えて、一ヶ所から給与をもらっているサラリーマンの方を例に取りますが、こういう方は副業をしても儲けが20万に達しなければ申告は不要と聞いたことがある方もいらっしゃると思います。この取扱いは一時所得も同様で、課税対象となる一時所得の金額が20万以下なら、申告は不要です。具体的には、一時所得は50万の特別控除額があり、かつ1/2が課税対象になりますので、年間一時所得が90万以下なら、一般的なサラリーマンの方については、確定申告をする必要はありません」(元国税調査官・松嶋洋税理士)

仮に給与所得者を対象に誤送金があった場合、年間90万円以下であれば、確定申告は不要とのこと。とはいえ参考になる人は殆どいないだろう。。。

●専門家プロフィール:元国税調査官・税理士 松嶋洋 税務調査対策ドットコム Twitter Facebook

東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在の専門は元国税調査官の税理士として税務調査のピンチヒッターと税務訴訟の補佐。税法に関する著書、講演、取材実績多数。
記事提供:ライター o4o7/株式会社MeLMAX
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