録音録画による遺言は法的に有効か?相続で録音録画を有効活用できるケースは?被相続人が寝たきりで文字を書く力がない。あるいは視力が落ちて字が書けない。こんな場合は動画や音声で遺言を残すなどが可能であれば、相続は円滑になりそうだが、果たして法的には有効なのだろうか。

教えて!gooでも、遺言の有効性についてたずねる投稿は多く、「相続 有効性」や「遺言 有効性」で検索すると、数多くヒットする。ということで、今回は動画や録音が遺言として法的に有効なのかどうかを富士見坂法律事務所の井上義之弁護士に話を伺った。

■そもそも遺言が法的に有効となるための要件とは?

「遺言には普通方式と特別方式がありますが、ここでは3種類ある普通方式遺言の要件を説明します。

【1 自筆証書遺言】
原則として遺言の全文、年月日及び氏名を『手書き』し、押印すること

【2 公正証書遺言】
(1)証人2人の立会いのもと、
(2)本人が公証人に対して遺言内容を口述し、
(3)公証人がそれを筆記し本人及び証人に読み聞かせ又は閲覧させ、
(4)本人及び証人がその筆記が正確であることを確認して署名押印し、
(5)公証人が(1)〜(4)の要件を充足している旨を付記して署名押印すること

【3 秘密証書遺言】
(1)本人が遺言書(全文手書きである必要はありません)に署名押印すること、
(2)本人がその遺言書を封筒に入れ、遺言書に押印した印章と同じ印章で封印すること、
(3)本人が、公証人1人及び証人2人以上の前に封筒を提出し、自己の遺言書である旨、氏名及び住所を申述すること及び
(4)公証人が、年月日及び本人の申述を封紙に記載した後、本人及び証人とともに署名押印すること」(井上義之弁護士)

■動画や録音が遺言として認められない理由

では動画や録音による遺言は法的に認められるのだろうか。

「民法は動画や録音による方式を認めていませんので、『動画や録音による遺言』は法的には無効と言わざるを得ません」(井上義之弁護士)

残念ではあるが仕方ない。では視点を変えて、動画や録音による遺言が、相続対策として有効活用できそうなケースはあるのだろうか。

「遺言作成当時に本人に遺言能力がなかった、遺言を強制されたなどとして、本人の死後に遺言の効力が争われることがあります。本人が自らの口で遺言の内容やその意図するところを説明する動画や録音があれば、そうした紛争を防止・解決するのに役立つでしょう。また、本人の声の裏付けがある遺言は、相続人の納得感にもつながるでしょう。加えて、自筆証書遺言が偽造・変造されたものだといった争いになることがあり(自筆証書遺言を法務局で保管する制度を利用していない場合など)、そのような場合には、動画や録音は争いの解決に役立つでしょう」」(井上義之弁護士)

動画や録音が紛争解決につながる一つの証拠として有効に働く可能性があるとのこと。

■動画や録音の有効活用に期待

車にドライブレコーダーを装備することは今や常識となっている。また職場でのパワハラ・セクハラの録音録画、学校でのいじめの録画などの活用方法も徐々に知れ渡ってきた。悪用の可能性を忘れてはならないが、相続でもこれらと同様に活用できれば、全ての関係当事者の負担が減ることは間違いなさそうだ。

●専門家プロフィール:弁護士 井上義之 事務所HP ブログ
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ライター o4o7

画像提供:ピクスタ

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