秋も深まりぐっと冷え込んでくるようになりました。体を冷やすと風邪を引きやすくなるのは昔からよく言われていますね。

 体が冷えるとやる気が出ない筆者、冷え対策は万全です。体を温める作用のある温かいショウガ入りの紅茶を飲むようになってから風邪を引かなくなりました(個人の感想です)。風邪を引くと普段よりも自分の力を発揮できなくなり能力が低下しますよね。要は風邪さえ引かなければいいわけなのですが、風邪に関する研究文献を見ていたところ少し前の物ではありますが面白い文献を見つけたのでご紹介したいと思います。

■風邪の罹患頻度の高い子ほどメンタルが弱くなる?

 「多項目の自動解析による子供の生活習慣と風邪の相互影響の評価」という、2004年に日本健康科学学会雑誌で発表された論文です。

 この論文の要旨には、「子供の風邪の罹患頻度が子供の精神状態に影響にも関連している可能性を得ることができた」という文章が記載されています。では風邪と精神状態がどう影響しているのか、この論文から読み取ってみましょう。

 研究チームは無作為に10県(北海道,岩手,千葉,静岡,福井,滋賀,高知,和歌山,山口,鹿児島)について調査対象を抽出し、小・中学生からさらに学年・男女比がほぼ均等になるように選択した調査対象者(年齢:6〜15歳)に多項目のアンケートについて検討しています。

 その結果、風邪を引く頻度が高い子ほど「疲れやすいと感じている」「のどが弱い体質である」という結果が出ていました。病弱な子はいつも疲れた様な顔をしている、顔色があまり良くないと感じられるのはこの結果でも当てはまるといえますね。また、「のどが弱い」と答えている子供が多い事からも風邪が主にのどを侵入経路としていると関連付けられます。

 次に、風邪を引きやすい子供ほど食生活が不規則がちで偏食が多かったりファストフードの利用が多い事もこの研究結果で示唆されています。バランスの良い規則正しい食生活が健康に良いという裏付けになりますね。育ち盛りの子供にとっての良好な食環境は健康的に育つためにも不可欠と言えそうです。

 さらに研究では風邪を引きやすい子供の交友関係や精神状態についても結果を示しています。これが実に興味深い。風邪を引きやすい子供ほど学校や友人関係においてネガティブな関係を示しています。また、精神面においても風邪を引きやすい子供ほどマイナス面が大きく出ているのが気になります。「風邪の罹患頻度が多くなるほど「気にしやすく」「すぐにくじける」と答えた子供が多くなる傾向が見られる.」と記されていました。

 この精神に及ぼす原因はいくつか考えられており、病気が直接影響する体調不良をきっかけに、療養を通じて家にこもりがちになり他とのコミュニケーション能力に影響を及ぼす、保護者がつい過保護となった影響などが考えられています。

 風邪=メンタル弱くなると直結するわけではありませんが、それを起因に精神に色んな影響を及ぼすようです。またこれは子供に限った調査ですが、大人にも同じことが言えそうです。

■風邪を引かないようにするためには?

 なら、丈夫で元気でいるにはどうしたらよいか? 答えは簡単です。風邪をひきにくくすれば良いだけです。
風邪のウイルスを寄せ付けない、体内に留まらせない事が一番です。その為にも、手洗い・うがいを正しく行うことは非常に重要です。

国立医薬品食品衛生研究所:ノロウイルスによる食中毒の現状と対策についてより
国立医薬品食品衛生研究所:ノロウイルスによる食中毒の現状と対策についてより

 国立医薬品食品衛生研究所が発表している「手洗いの時間・回数による効果」という表を見てみますと、手洗いなしでの残存ウイルス数は約1,000,000個。ゼロの数が大変な事になってます。約100万個のウイルスが手にいつもいるという状態。うひゃ〜。

 この数を100%として、流水で15秒手洗いすると、約10,000個(約1%)にまで減少。ハンドソープで10秒または30秒もみ洗い後、流水で15秒すすぐと、数百個(約0.01%)にまで減少。さらに、ハンドソープで60秒もみ洗い後、流水で15秒すすぐと数十個(約0.001%)に。ハンドソープで10秒もみ洗い後、流水で15秒すすぎを2回繰り返すと約数個(約0.0001%)という、限りなくクリーンな状態にする事ができます。

 まぁここまでやるのも大変なのでハンドソープでしっかりもみ洗いしてよくすすぐだけでも大丈夫なわけですが、問題は手を洗う方法とタイミング。意味のないタイミングや方法で手を洗っても結局手の皮膚では常に細菌は増え続けてしまいます。ではいつ、どのようにすれば正しく行えるか。

ここ、重要です。

まず日常生活において。

・トイレ使用後(特に公衆トイレ利用時は要注意)
・帰宅後
・ごみ処理をした後
・食事を作る前・作っている途中・食事を食べる前

 トイレの便座やドアノブ、蛇口にはとんでもない量のウイルス細菌が常在しています。また、外出後にあちこち触ったままの手は触ったあちこちから色んな菌をくっ付けてきています。さらにそんな状態で手を口に持っていくなんて自殺行為も甚だしい訳で。なので、この4点のタイミングで正しく手を洗う事が肝要です。

■正しい手洗いを学んだことがないという人45.2%

 では、正しい手洗いとは。
消費者庁の調査では、正しい手洗いを学んだことはないという人が実に45.2%もいるという驚きの事態に。この際なので、正しくしっかりと手洗いする方法を覚えておきましょう。

消費者庁:消費者の手洗い等に関する実態調査についてより
消費者庁:消費者の手洗い等に関する実態調査についてより

【正しい手洗い】
1、流水で手をよく濡らしたあと、石けんを付け手のひらをよくこすります
2、手の甲をこすりつけるように伸ばします。
3、指先、爪の間を念入りにこすります。爪が長い人は爪用のブラシを用いましょう。
4、指の間を洗います。指の股の部分は特に洗い残しが生じやすい場所です。
5、親指と手のひらをねじり洗いします。特に親指の付け根のふくらみ部分は洗い残し多発ポイント。
6、手首まで忘れず洗います。手首のしわの部分もかなり洗い残しが多いんですよ。

消費者庁:手洗いで感染予防!より
消費者庁:手洗いで感染予防!より

 最後に、蛇口も手についた石けんで洗い流して水でしっかりすすぎ、清潔なタオルで拭きましょう。不特定多数がいる職場などではペーパータオルや清潔なハンカチがあるとよりベターです。
洗い残しが多い部分って大体決まっているので、上記1〜6の項目をしっかり頭に入れて丁寧に手を洗うようにしましょう。手を洗ったら、うがいも忘れずに。手を洗ったついでにうがい用コップもきれいに水で流してからうがいを。この時、最初は歯磨きの後の様に口を閉じてぶくぶくうがいを2〜3回。こうする事で口の中の雑菌を外に出す事ができます。3〜4回目以降はやや顔を上に向けてガラガラうがい。この時のうがいは水道水でも十分です。声を出しながらなるべくのどの奥まで水が行くようなイメージでやってみましょう。これだけやれば充分です。

 また、長時間人ごみにいなければならない場合はペットボトルの物でもいいので緑茶をこまめに飲むようにするだけでも何もしないよりもかなりマシになります。マスクで防御してのどの雑菌を定期的に洗い流すことで感染を防げます。

 これから風邪ひきさんが増える季節。これからが怖いノロウイルスもインフルエンザウイルスも体に入れなければほぼ感染することがないので風邪予防も含めて、しっかりと感染対策、していきましょうね。

<参考文献>
多項目の自動解析による子供の生活習慣と風邪の相互影響の評価
消費者庁:消費者の手洗い等に関する実態調査について
消費者庁:手洗いで感染予防!〜正しい手洗いでノロウイルス感染を予防しましょう!〜
国立医薬品食品衛生研究所:ノロウイルスによる食中毒の現状と対策について

(看護師ライター・梓川みいな / 見出し画像・写真AC)