お誕生日やクリスマス用のホールケーキにトッピングされているサンタさんや雪だるまなどの装飾品。多くはプラスチックで作られたいわゆるオーナメントというものなんですが、中には“マジパン細工”というアーモンドや砂糖を用いて作られた細工菓子のものもあり、実はこちらは食べられるんです。

 新潟県 佐渡島にある「レストラン&バーこさど」にてパティシエを勤めているサガワショーコさん(以下サガワさん)はそんなマジパン細工を用いた“ジオラマケーキ”作りの達人。先日の海の日記念に作った“佐渡の海ジオラマケーキ”をご自身のTwitterにて投稿したところちょっとした話題となりました。

 今回サガワさんが作成した“佐渡の海ジオラマケーキ”。「佐渡のキレイな海を連想してもらればと思いで作りました」とサガワさんがおっしゃる通り、佐渡島を面する日本海が波打つ姿をケーキで鮮明に表現。

 まずはケーキ生地に生クリームを全面に塗ったあと、アイシング用の着色フレーバーで青くしたクリームをへらを使って上塗りをすることで海の波を表現しています。

 「ここは感性で思うがままに塗るだけですよ(笑)」とサガワさんは仰いますが、波の青の部分もフレーバーの使用量で濃淡を使い分けながら、ただ塗り付けるだけでなく強弱をつけて波打つ海を鮮やかに表現。さらには白波も表現するために濃淡の異なる青色のクリームを塗った後にアクセントで塗るという徹底ぶり。私も以前製菓関係の仕事に就いていたので分かりますが、これは感性でできるレベルではございません。

 さらに波だけではなく、スポンジケーキを作る際に出てくる切れ端を細かくした“ケーキクラム”という見た目はパン粉のようなトッピング材料を散りばめることで砂浜を表現。さながら佐渡島の海岸風景といったデコレーションケーキでございます。

 すごい……と思わず息をのんだ私ですが、実はここからがサガワさんの真骨頂。「目指すのは食べるジオラマです!」と高らかに宣言するだけあって、ここで冒頭にご紹介したマジパン細工が満を持して登場。

 佐渡七浦海岸にある夫婦岩を模したような岩場に松や海岸石をトッピング。さらには美空ひばりの代表曲としても有名な佐渡島に古くから伝わる民話「佐渡情話」に登場してくるようなタライ舟もせっかくだからとトッピング。さらにさらにとクリームを絞る際に使用する“コルネ”を用いて波打ち際をも克明に表現。いやあ実に佐渡島の海ですなあと筆者の私はただただ感心するばかり。しかしながらこれ食べれるんです。

 Twitter上でも感嘆する声ばかりで、さらには本家のジオラマ制作会社アカウントも食べるのがもったいないと反応してしまう有様。しつこく申しておきますがこれは食べ物です。

 見る人を魅了するジオラマケーキを作るサガワさんですが、“本職”のパティシエとしても、普段からオーダーメイドでお客様からのリクエストに応じたデザートをメインで作られるということで、こちらの作品も大変芸術的。大量製造品と違い、試行錯誤しながら作るので日々テクニックが磨かれてそれがジオラマケーキ作りにも生かされているそうです。

 実はサガワさんは、佐渡ではなく東京出身者。佐渡は母方の故郷とのことで、数年前にIターンで移住。「美味しく楽しく可愛い!をお届けしたい」というテーマで少しでも佐渡を盛り上げることが出来ればということで、地元佐渡島で構成する食の研究チーム「UMAMILabo」や新潟の料理人で構成された研究チーム「ラボグチ」にも所属しながら日々研鑽を磨きつつネットリアル双方で佐渡島を盛り上げるために日夜活動中とのことです。

 「佐渡って東京23区よりも広いんですけど、なかなかオーダーメイドで出来る人がいないんです。なので私がそうなれるように何でも屋を目指しています!」

 残念ながら地方への発送は行っていないそうですが、「レストラン&バーこさど」さんも公認で日夜活動しているサガワさん。実は今回の佐渡の海ケーキも新型コロナウイルス感染者が佐渡島でも確認されたために、GoToトラベルキャンペーンで渡航するのを躊躇される方がいるのではないかと憂い、海の日に合わせて作ったそうです。

 「これで佐渡のキレイな海を少しでも連想してくれれば」というサガワさん。私事で恐縮ですが、今回この記事についてお聞きすることでサガワさんの”佐渡愛”が十二分に伝わったことをご報告しておきます。

 ちなみに今回を含めた制作動画をYahoo動画にて公開中。こちらもぜひご覧ください。

<取材協力>
サガワショーコさん(Twitter:@parfait0amour/HP:maison-de-3s.fraise54.com)

(向山純平)