3つのパーツで0〜9が表示可能な「アナログな7セグ」(宇生(たかお)の工作さんさん提供)

 歯車やカムの組み合わせで、複雑な動きを可能にする「からくり」。そこには様々な技法が駆使されていますが、高度で複雑な機構を駆使したものがあると同時に、シンプルに複雑な動きを可能にするものがあります。L字とT字、3つのセグメントが回転することで0〜9の数字を表示し、桁のくり上がりも可能なからくりがSNSに公開されました。

 わずか3つのセグメントで、7セグメントの数字0〜9を表示可能なからくりカウンター「アナログな7セグ」を作ったのは、大学院生の宇生(たかお)さん。「宇生(たかお)の工作」のアカウント名で、TwitterやYouTubeに作品を発表しています。

4桁分連結したところ(宇生(たかお)の工作さんさん提供)

 機械式のデジタル数字ディスプレイは、多くの方が作品を発表していますが、通常は7つのセグメントを制御して0〜9の数字を表示するようになっています。しかし宇生さんの作品は、L字のセグメント2つとT字のセグメント1つ、計3つの部品が回転するだけで0〜9の表示を可能にしているのです。

3つのパーツが回転し0〜9を表示(宇生(たかお)の工作さんさん提供)

 この「3つの部品で0〜9を表現する方法」を宇生さんが考えついたのは、2019年の4月だったといいます。「ちょうど、元号改正がトレンドになっていた時期です。この頃はまだ本格的な工作をやったことがなく、作る手段も何も分からなかったことから、アイデアを放置していました」と宇生さんは当時のことを振り返ってくれました。

 宇生さんが「からくり」でアイデアを実現しようと思ったのは、Twitterのタイムラインで「秩序ある無秩序」というからくり作品を目にしたのがきっかけ。宇生さんは「当時新型コロナウイルス禍により、2時間かけて通っていた大学の活動がほぼ無くなったのも手伝い、工作に着手し始めました」と語ります。

設計モデル(宇生(たかお)の工作さんさん提供)
3D設計モデル(宇生(たかお)の工作さんさん提供)

 工作を始めて8か月後の2020年10月には、振り子時計など単純なからくりが作れるようになったという宇生さん。バイトで資金を貯めつつ「様々なトライ&エラーを繰り返し、今までにないスピードで工作を進めることができ、長い間見続けてきた夢を叶えることができました」と宇生さんは話してくれました。

パーツ(宇生(たかお)の工作さんさん提供)
歯車パーツ(宇生(たかお)の工作さんさん提供)

 宇生さんの「アナログな7セグ」は、たった3つの部品を組み合わせることで7セグメントの数字表示を可能としていますが、もうひとつ大きな特徴があります。それは、表示器を連結した際、桁が繰り上がる際にかかる力を分散し、ずっと一定の力で繰り上がりが実現できること。

数字パーツ(宇生(たかお)の工作さんさん提供)

 通常、表示器を複数連結して大きな桁を表示する際は、桁が繰り上がる時に2つの表示器を動かす関係で、1つの表示器を動かす場合に比べ、2倍の力が必要となります。3桁、4桁の数字が切り替わる際は、さらに大きな力が必要。

組み立て中(宇生(たかお)の工作さんさん提供)

 一定の力で動作を可能にするよう、宇生さんはカムとバネを組み合わせ、次の桁の数字を切り替える力を徐々に蓄える機構を組み込みました。1回数字の表示を切り替えるたびに10分の1ずつ力を蓄えておき、桁が切り替わる際に解放して、同時に2つの表示を切り替えるのです。

力を蓄える機構(宇生(たかお)の工作さんさん提供)

 この機構を考えつくのに2か月間悩み抜いたという宇生さん。その甲斐あって「この機構により、数字が100桁になろうとも、1000桁になろうとも、同じ力で繰り上がりを行うことができるのは、大きな特徴なのではないかと考えています」と胸を張ります。

連結機構(宇生(たかお)の工作さんさん提供)

 年末が近づきつつある時期ですが、宇生さんは「年が変わる瞬間を、このアナログな7セグで過ごしてみたい」と夢を語っています。YouTubeには、この「アナログな7セグ」の動作原理を解説した7分あまりの動画が公開されており、その機構の巧みさに驚くことうけあいですよ。

<記事化協力>
宇生(たかお)の工作さん(@YBB_824)

(咲村珠樹)