車の動きに合わせて運転操作するドライバー人形(稲岡俊宏さん提供)

 RCカーの中にはドライバー人形をのせられるものがあり、よりリアルに楽しむことができます。でも、どうせなら人形も一緒に動かしたい……と思うのも、モデラー心理としては自然な成り行き。

 Twitterに、車の曲がり方に合わせてハンドル操作をするよう、ドライバー人形を改造した作例が投稿されました。たった1つのサーボで腕・上半身・頭の3か所が動く力作です。

 この可動機構を作り上げたのは、RCカー愛好家の稲岡俊宏さん。タミヤ製のドライバー人形を使用しているので「タミヤドライバー人形可動プロジェクト」と銘打ち、完成するまでの経過をツイートしています。

 プロジェクトのきっかけについて、稲岡さんは「動く模型として、リアルさを追求したくてドライバー人形を動かしてみたいと以前から思っていましたが、工作技術が未熟なため実現できずにいました」と、長年あたためていた計画だったことを語ってくれました。

 小学生の頃からRCカーに親しんできた稲岡さん。「一貫しているのは、模型の車に自分が乗って運転しているような感覚で遊んでいることです」とのことで、レース大会においても、重量増になることを承知でドライバー人形をのせたまま参加しているのだとか。

 また、タミヤRCカーの偉人である「滝博士」こと滝文人さんが、YouTubeの「タミヤRC LIVE」にて、自分はRCカーをドライバーが運転しているという前提でデザインしている、と発言したことにも感銘を受けたそうです。

 少年時代からの夢を叶えるべく、素材となったのはタミヤの「OP.1416 4×4オフロードカー ドライバー人形」というRCカー用ドレスアップパーツ。1/10スケールの車にのせられる大きさに設定されています。

 これをタミヤの電動RCカーシャーシ、TA01を基本とした駆動系にのせることにしました(フレームはトップフォース EVO.のカーボン製に置き換え)。ボディはフォルクスワーゲン・タイプI(ビートル)の「ワーゲンオフローダー」。少し大きめのタイヤと合わせ、メキシコの砂漠で開催されるラリー「Baja1000」に出場する、通称「バハ・バグ」を再現したそうです。

ドライバー人形をシャーシにセットしたところ(稲岡俊宏さん提供)

 ドライビングの動きを再現するため、人形を関節ごとに分割。腕は肩・ひじ・手首、そして首も進行方向へ向けられるよう、分割します。

パーツごとに分割(稲岡俊宏さん提供)

 最初は人形を動かすサーボをハンドル、首のそれぞれに使うつもりだったとのこと。しかし限られたスペース内に収まる小型のサーボが手元になく、1つですべての動きを実現できないかと試行錯誤することになったそうです。

 動かす機構をどのように配置するか、というのも思案のしどころ。「人形の股下を通したり、ベース板の裏側に配置しようか様々な案を検討しましたが、機構が丸見えも面白いと思い、全く隠さないように配置しました」と話してくれました。決まるまでは2週間ほど、毎日悩み抜いたといいます。

サーボと可動機構(稲岡俊宏さん提供)

 その過程で、自分で車を運転しながら「上半身が少し傾いた方が自然な動きだ」と感じ、頭と腕だけでなく、上半身の動きも再現することにしたのだとか。動きが自然に見えるよう、調整には丸々2日間を要したそうです。

人形を組み込んだところ(稲岡俊宏さん提供)

 人形を動かすにあたって、重要なのは車のステアリング機構と連動していること。この点については「受信機の空きチャンネルに人形用サーボを接続し、送信機側でステアリングサーボと同期するようにしてあります」とのことで、通常の2チャンネルプロポで動かせる仕組みなのだとか。

 人形への関節埋め込みは2021年〜2022年の年末年始に終えていたものの、いったん放置していたというプロジェクト。4月に入ってからアイデアが湧き、そこからは2週間で完成したそうですから、いかにアイデアが重要なブレークスルーになるかが分かります。

 車体の方は「年明けからYouTubeでBaja1000のレース動画を見ながら、コツコツ製作していました」とのこと。思ったより人形の高さが出てしまったので、のせられるボディを探した結果、天井高のあるワーゲンオフローダーを選んだのだそう。

完成したRCカー(稲岡俊宏さん提供)

 シャーシだけでの試運転動画を見ると、ステアリング機構の動きに合わせてハンドルが動き、同時に腕・頭・上半身が連動して動きのが分かります。上半身の傾け方もオーバーにならず、本当に人間が運転しているような角度。

試運転の様子(稲岡俊宏さん提供)

 ボディを架装してしまうと外から見えにくくなるのが残念ですが、それでも頭の動きで人形が運転しているリアル感満点。砂浜で走らせると、Baja1000に出場している雰囲気を十二分に味わうことができそうです。

<記事化協力>
稲岡俊宏さん(@17san_)

(咲村珠樹)