新幹線の列車ごとに運転本数を太さで示した路線図(きつねさん提供)

 日々、運転されている新幹線。利用するため東京駅などターミナル駅のホームにいると、ひっきりなしに発着する列車の数に驚かれる方もいるのではないでしょうか。

 そんな新幹線の1日あたり列車別運転本数を可視化した地図が、Twitterで話題となっています。運転本数が多いほど線が太くなっており、まさに「大動脈」といった感じです。

 この地図を作り、Twitterに投稿したのは、これまでにもさまざまな地図を作ってTwitterに発表してきた「きつね」さん。

 作成のきっかけは、Twitterで「とと《おっととほくほく鉄道》(@Ottotohokuhoku)」さんが作成した「東京発の新幹線本数比較」地図を見て、東京発以外の列車も入れたらもっと楽しくなるのでは、と思ったからとのこと。

 地図の作成にあたっては「大きな駅を境に運転本数が少なくなっていることは、全国を旅して分かっていたので、あとはそれぞれの両端駅で上りと下りの本数を一つずつ数えて算出しました」ときつねさん。

 列車のうち、早朝や深夜に設定される短い区間運転列車は、本数が少ない上に反対方向の列車と相殺できると考え、誤差として処理しているそうです。

■ 新幹線は路線ごとの特徴が丸わかり

 新幹線は東京発のものだけでなく、路線内で区間運転されるものや、九州新幹線のように東京発でない路線もあります。さらに列車種別ごとに線を色分けすることで、どういう列車がどれだけ1日に運転されているかを把握できるようにしたのだとか。

新幹線路線図のツイート(スクリーンショット)

 一目で分かるのが、東海道新幹線の太さ(運転本数の多さ)。内訳を見ると、最速達列車である「のぞみ」が大部分を占め、次いで各駅停車の「こだま」、一番本数の少ないのが「ひかり」となっています。

 もともと、東海道新幹線は増大する東海道本線の旅客と貨物に対し、近い将来列車の増発で対応できなくなるため、せめて長距離旅客列車だけでも別の線路に移して高速運転させる……という発想で生まれたもの。その東海道新幹線ですら、これほどの運転密度。まさに「日本の大動脈」という表現が似合います。

 特に「のぞみ」が多くなっているのは、首都圏(東京・品川・新横浜)と、名古屋・京都・新大阪の各都市を行き来する人が利用客の大部分を占めていることがうかがえます。「こだま」は区間運転をする列車もあり、補完する存在に。「ひかり」が一番少ないのは、立ち位置が中途半端になっているからなのかもしれません。

 新大阪以西の山陽新幹線では、九州新幹線の「さくら」や「みずほ」も乗り入れ、計5種類の列車が走る賑やかな色合いとなっています。

 きつねさんも「みなさん東海道新幹線の『のぞみ』の多さにばかり目が行きがちなんですが、山陽新幹線も九州新幹線が乗り入れするので、想像以上に本数が多く、線が太くなって驚きました……」と語っています。山陽新幹線の区間は、従来の「東海道・山陽新幹線」と同時に「山陽・九州新幹線」と捉えるべきかもしれません。

 このほかの新幹線を見てみると、開業したばかりの西九州新幹線が九州新幹線の博多〜熊本と同じくらいの太さとなっており、長崎へ向かう旅客も多いことが分かります。JR東日本の新幹線は、東京〜大宮に6路線(東北・上越・北陸・山形・秋田・北海道)が集中してしまうため、ここがボトルネックになって増発が難しいようです。

 また、北陸新幹線は東京〜長野、富山〜金沢の区間運転列車が比較的多く、東京〜金沢を走破する列車を上回っています。まだ新大阪までの全通を目指して建設途中ではありますが、東海道新幹線とは違い、全線ではなく長野〜富山の区間では需要がやや少ないのかもしれません。

■ 在来線特急を加えると地域ごとの特徴も明らかに

 きつねさんは新幹線だけでなく、主要な在来線特急も書き加えた地図も作成し、Twitterで公開しています。「実はこちらの方が本命」なのだそうで、作成には結構時間がかかってしまったそうです。

新幹線に加え在来線特急の運転本数を書き加えた路線図(きつねさん提供)

 分かりやすいのが、北陸新幹線の未成区間である金沢〜新大阪と、西九州新幹線の未成区間、博多〜武雄温泉。金沢からは特急「サンダーバード」と「能登かがり火」、博多〜武雄温泉には西九州新幹線に連絡する「リレーかもめ」のほか、佐世保とをつなぐ特急「みどり」と、肥前鹿島とを結ぶ「かささぎ」が走っています。

 この2区間については新幹線の未成区間ということもあり、新幹線に連絡するため特急で都市間を行き来する利用客が多いのは当然かもしれません。

 「新幹線だけの路線図だと、北陸新幹線の先っぽ(富山〜金沢)だけが太くなっているのが不可解なのですが、特急サンダーバード・しらさぎを合わせた本数の太さを見ると納得です」と、きつねさんも需要の多さに言及していました。

 このほかで目立つのが、東日本では品川〜勝田(常磐線・上野東京ライン)の特急「ひたち」「ときわ」と、九州の博多〜大分(日豊本線)を走る特急「ソニック」。

 また、東京から近場の観光地を結んでいる中央線の新宿〜甲府を走る特急「あずさ」「かいじ」も本数が多い列車。北海道では、札幌〜旭川の特急「ライラック」と「カムイ」が高頻度で運転されており、道内で両都市間の行き来が活発であることも分かります。

 きつねさんは「北海道のライラックとカムイ、山陰のやくも、大分のソニックなんかも予想外の太さで驚きました」と語っており、可視化してみて初めて気づくことも多かった様子。特急「やくも」は、1972年の山陽新幹線岡山開業時に山陰への連絡特急として設定されたので、今でも需要の高い列車であることが分かりますね。

 普段時刻表や路線図を見ているだけでは分からない、鉄道利用客の動きを可視化したこれらの地図は、さまざまな示唆を与えてくれそうです。

<記事化協力>
きつねさん(@kinokuni_fox)
とと《おっととほくほく鉄道》さん(@Ottotohokuhoku)

(咲村珠樹)