制作について監督とプロデューサーが語る『海辺の彼女たち』5月1日公開 『海辺の彼女たち』©2020 E.x.N K.K. / ever rolling films

『海辺の彼女たち』日本外国特派員協会試写会&記者会見
【日時】4月20日(火)試写会17:30~/記者会見19:00〜
【登壇】藤元明緒監督、渡邉一孝プロデューサー
【会場】公益社団法人日本外国特派員協会(FCCJ)

より良い生活を求めて来日したベトナム人女性たちを主人公に、きらめく未来を夢見ながら、過酷な現実と闘う姿を描いた物語。
藤元監督は、前作『僕の帰る場所』で在日ミャンマー人の移民問題と家族の愛を描き、東京国際映画祭「アジアの未来部門」グランプリを受賞。
本作でも在日外国人労働者へと目を向け、実際の技能実習生や来日後に失踪した当事者、彼らを支援しているシェルター等での入念な取材を基に、藤元監督が脚本を執筆した。

Q:藤元監督が移民という題材を取り上げることについて、配偶者がミャンマーの方ということでそういう経験を映画にしていきたいと思うようになったのか、あるいは最初からそういうことに興味があったのか、教えてください。
藤元:僕がミャンマーの方と結婚していなければ、こういう映画を撮ることはなかっただろうと思います。『僕の帰る場所』が終わったあとに結婚して、外国の方が日本でどのように生きているのか、生きづらさであったり、うまくいかないことを日常的に聞いてきて、僕のなかでもフラストレーションが溜まってきて『海辺の彼女たち』のような映画を作ろうと、着想に至ったと思います。僕は身近な暮らしのなかで感じたこと、家族や知人・友人のなかから映画にすべきものを見つけてきているんだろうと振り返って思います。よく日本映画では半径5メートル以内を描いて小さな映画が生まれると批判されるが、僕にとっては気持ちのいい映画づくりだと思っています。

Q:主演のお三方について質問です。役名も女優さん自身のお名前に近いけれども、実際はプロの女優なのか、それとも似たような経験をしてきたノンプロの方なのか、聞かせていただけますか。
藤元:キャスティングについてはベトナムでオーディションをして3人を選びました。素人かプロフェッショナルかは募集の際には問いませんでした。ニューさんはモデルとして活動、フォンさんはTVキャスターで1本だけ中国の映画に出演していて、アンさんは精力的にインディペンデントフィルムの現場やワークショップに参加しているとのことでした。
選ぶ基準は、3人に関してはバックボーンが近しい方を選びました。もちろん即興的な芝居ができるかも重要ですが、そもそも彼女たちが辿ってきた人生とこの物語のキャラクターが近いかを重視しました。最終的にキャスティングが決まったあとには、3人自身の取材をおこなって、脚本のキャラクターを彼女たちに近づけるというやり方をとりました。最も重要なのが、彼女たちの人生のなかでもしかしたら本当にこういうことがあったかもしれない、という意識で、そのために彼女たち自身の名前で演じてもらいました。

Q:渡邉プロデューサーに質問なのですが、こういった企画は日本映画業界ではなかなか通らないであろうと思われるのですが、どのように企画としてまとめて実現させたのでしょうか。
渡邉:ひとつは藤元明緒のデビュー作『僕の帰る場所』を、企画から始まり、自分たちの会社で配給をして、海外にもアプローチしたという実績が効いていると思います。そして大きな枠組みを変えることなく、同じようなスタッフを集めて、前作でやれたことを今回に引き継ぐ形で今回の現場に臨みました。そして前作が映画祭でかかったときに出会った人たちに、今回の企画を持ち込み、ベトナム側のパートナーになってくれるという素晴らしい出会いもありました。『僕の帰る場所』で自分たちがどういった製作者であるかを表明することで、それに対して継続した支援もいただきました。また、一部、助成金もいただいたり、とても大きいところではロケ地である青森の外ヶ浜町から多大なご支援をいただいて現場が成立しました。日頃から監督とは話しているんですが、インディペンデントな映画として僕たちが作るには、僕たちじゃないと作れないことをやるべきだし、自分たちが誰なのかを伝えることも大事だと思っていて、協力してくださる方々にていねいに説明することをやってきた結果、各方面の協力を得て実現できたと思っています。

Q:いろんな国から技能実習生が来ている状況があるなかで、なぜベトナムの実習生を描いたのでしょうか。
藤元:はっきりこの映画を撮りたいと思ったきっかけとして、技能実習生の方々の苦境についての報道を2018年末ごろに多く目にしました。それがベトナムの方が多かったのがまずひとつ。また、映画は実習先から逃げたあとを描く映画であることは最初から決めていたので、その先の不法就労だったり、実習先以外で生きる人たちのコミュニティを描きたいと思ったときに、ベトナムの方々がすでに多くコミュニティを形成していたので、それを物語に組み込もうと思いました。結果的にオーディションでもベトナムの方で3人に出会えたので、そこで出会えなかったら、もしかしたら別の国になっていたかもしれません。

Q:フォンさんが一人さまよいながら歩く場面が素晴らしかったと思います。そういう場面に音楽をつけていないが、それは彼女たちの経験をリアルに体験してほしいという狙いがあるのか、撮影中に音楽を使わないということは決めていたのでしょうか。
藤元:音楽に関しては、脚本のときからナシと決めていました。撮影中も編集中も音楽をつけようという話は全く出ていません。もちろん僕が音楽が嫌いなのではなく、音楽映画も大好きで、いつか自分でも撮ってみたいということは前提として言いたいのですが(笑)、今回の映画の場合は、彼女たちといっしょに行動するような映画になってほしいと願っていたので、彼女たちの耳に入っている音以外は流したくないし、カメラで捉えたくないという思いが強かったです。

◆『海辺の彼女たち』は、5月1日(土)よりポレポレ東中野と青森松竹アムゼにて公開、ほか全国順次ロードショー。
◆藤元監督のデビュー作で、在日ミャンマー人の移民問題を描いた『僕の帰る場所』のチャリティー上映も全国の劇場で実施。2月のクーデター以降、軍による市民への弾圧が続くミャンマーへの支援として急遽企画。本イベントでの全ての配給収益は、株式会社E.x.Nよりミャンマー市民を支援する活動に寄付される。
※詳細は映画の公式SNSにて

5月1日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次公開

『海辺の彼女たち』©2020 E.x.N K.K. / ever rolling films 映画『海辺の彼女たち』

【ストーリー】
ベトナムから来た3人の女性たち、アン、ニュー、フォン。彼女たちは日本で技能実習生として3ヶ月間働いていたが、ある夜、過酷な職場からの脱走を図った。ブローカーを頼りに、辿り着いた場所は雪深い港町。不法就労という状況に怯えながらも、故郷にいる家族のために懸命に働き始めた三人。安定した稼ぎ口を手に入れた矢先、フォンが体調を崩し倒れてしまう。アンとニューは満足に仕事ができないフォンを心配して、身分証が無いままに病院に連れて行く。そこでフォンは二人にある秘密を打ち明ける――。

脚本•監督•編集:藤元明緒
出演: ホアン・フォン、フィン・トゥエ・アン、クィン・ニュー 他

5月1日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次公開

撮影監督:岸建太朗
音響:弥栄裕樹
録音:keefar
フォーカス:小菅雄貴
助監督・制作:島田雄史
演出補:香月綾
DIT:田中健太
カラリスト:星子駿光
アソシエイトプロデューサー:キタガワユウキ
プロデューサー:渡邉一孝、ジョシュ・レビィ、ヌエン・ル・ハン
協賛:坂和総合法律事務所、株式会社ビヨンドスタンダード、⻑崎大学多文化社会学部 協力:外ヶ浜町、平舘観光協会、日越ともいき支援会、日本ミャンマーメディア文化協会 後援:国際機関日本アセアンセンター
共同制作会社:ever rolling films
企画•製作•配給:株式会社 E.x.N
2020 年/日本=ベトナム/88 分/カラー/5.1ch/1:1.85/ベトナム語・日本語/ドラマ/DCP
©2020 E.x.N K.K. / ever rolling films
公式サイト:http://umikano.com/

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