「白ワインは冷やして、赤ワインは室温で」とアバウトな感覚で捉えている人は多い。では、白ワインは冷蔵庫から出した直後の温度でよいのか?室温とは何度を指しているのか、と具体的に掘り下げていくと、分からないのではないだろうか。

ワインと温度の関係

一般的に、ワインだけでなく食べ物全般に言えることだが、冷たいと甘みがおさえられる。アイスクリームは美味しく食べられるけど、溶けたアイスクリームの液体は異常に甘く感じるのと一緒だ。ワインも同様、温度が上がっていくと甘みは増していく。
一方で、香りに関しては温度が低いと弱くなるが、温度が上がると香りがひらいてくる。

つまり、ワインの温度にはそれぞれメリットとデメリットがあり、それらを踏まえてワインの最適温度を考える必要がある。

ワインの温度が冷たい状態

・甘みがおさえられる
・渋みが強く感じられる
・香りが閉じている
・酸味が目立つ
・味わいがフレッシュに感じられる

ワインの温度が上がって室温に近づいている状態

・甘みが強く感じられる
・渋みがまろやかになる
・香りがひらいてくる
・アルコール感が強く出る

スパークリングワインの最適温度

スペインのカヴァやイタリアのスプマンテといったスパークリングワインはしっかりと冷やしてから飲むのがおすすめ。甘口タイプのスパークリングワインも、冷やすことで甘さがシャープになり、飲みやすくなる。最適な温度は4~8度前後だ。
一方でアロマがふくよかなシャンパーニュやヴィンテージのものは、冷やしすぎていると炭酸感が強くなって繊細な風味が損なわれてしまう。冷蔵庫から出したら10分程室温状態に置いておくのがいいだろう。
または抜栓後、ゆっくりと時間をかけて飲みながら適温に上がる過程を楽しむやり方もいい。

白ワインの最適温度

白ワインは一般的に冷やして飲むものと認識されている。かといって一般家庭の冷蔵庫はおおよそ4度前後なので、白ワインのタイプによっては少々冷えすぎてしまう。前述したように、甘さは冷やすとおさえられるので、貴腐ワインやアイスワインといった甘みの強いワインは冷蔵庫から出してすぐに飲むのがおすすめ。

一方で、芳香が強いアロマティックなワインや樽熟成させたふくよかなアロマのワインは、味わいと香りを引き出すために通常の白ワインよりも温度を上げるのがポイントだ。10~13度ほどで香りがひらいてくるので、ゆっくりと時間をかけて楽しむことができる。

冷蔵庫での保管をしている場合は、室温にて1時間程置いておくとちょうどよい温度感になる。

赤ワインの最適温度

赤ワインで重要なのは渋みを感じるタンニンだ。タンニンは冷やしすぎると渋みが前面にでてしまうので、温度管理がやや難しい。

夏の暑い時期はクラッシュアイスや氷を入れるロックスタイルで楽しむ赤ワインが流行っている。ロックで楽しめるカジュアルな赤ワインは、渋みが少なくフルーティな飲み口のものが多い。

一方で色調が濃く渋みがしっかりした重厚な赤ワインは、「室温よりも少し冷やす」くらいの温度(18度前後)がベストで、味わいも締まってくる。

大まかな基準としては、タンニンが強めのフルボディのワインは15~18度、ミディアムボディのワインは13~15度、色調が薄めのライトボディのワインは10~13度前後がおすすめだ。

ワインの温度を適温にするには

常に最適な温度で楽しむにはワインセラーでの管理が一番だが、ワインセラーがある一般家庭はまだまだマイノリティだ。氷を入れたワインクーラーで冷やすのもおすすめだが、少々面倒くさいのも事実。
一番シンプルでわかりやすい方法は、冷蔵庫で一旦冷やして、室温に徐々に戻していくやり方。

もちろん夏場や冬の時期など、季節によって置く時間は変わるが、あくまでも目安として以下の時間を参考にしていただきたい。

・スパークリングワイン、甘口白ワイン=10分
・辛口白ワインやふくよかなアロマティックな白ワイン=15~30分
・ライトボディの赤ワイン=30~1時間
・ミディアム、フルボディの赤ワイン=1時間~1.5時間

上記の時間よりも少し早めに抜栓して、温度が上がるごとに少しずつ変わっていく味わいや香りの変化を楽しむのもおすすめ。

または、飲むタイミングの1時間前くらいに室温のワインを冷蔵庫に入れておくと14度前後に冷えるので、飲む時間が決まっているのであれば逆算していくのも手だ。

ワインの最適な温度を知って楽しいワインライフを

単純に白ワインは冷やして赤ワインは室温で、というわけではなく、そのワインの特色をふまえつつ温度を調整するのがポイントだ。
ワインセラーを上手に使えば品質管理も容易でベストだが、前述したような冷蔵庫から出して室温に戻す時間や、飲む時間を逆算して冷蔵庫にいれるタイミングを調整すれば、ワインのポテンシャルを最大限に引き出せる。

少々慣れが必要ではあるが、ワインセラーをお持ちでない方にはぜひ試してみていただきたい。

筆者プロフィール:
吉川大智(ヨシカワダイチ)
世界40ヶ国200都市の酒場とワイナリーを訪問したJ.S.A認定ソムリエ。ワインバーのマネージャーを経て、現在多数のメディアにてコラムやエッセイを執筆するライターとして活動中。
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