今やライフスタイルは様々な選択肢があり、実践できる環境も整っている。そうした状況において、人生の楽しみをどこに求めるかによって住む場所は重要な要素になってくる。今回登場していただいたのは、アウトドアを満喫し、それを人生の糧とするためには、どこに居住したほうが良いのかを考え、田舎暮らしを実践した人々。それは「生き方」そのものの証なのかもしれない。

全国各地を巡った結果、馴染みの土地に落ち着く

家を正面から見ると、また不思議な感覚に陥りそうだ。芸術家が建てた家と思ってし
まう。
今度は家を背面から見た風景。斜めに立ち上がったコンテナの先端が窓になっているのがわかる。

那須の観光地から少し外れて、田んぼや森の合間をうねうねと通る道を抜けていくと、森の片隅にコンテ ナで作られた不思議な建物が目に入る。

ここが佐藤大助さんの自宅だ。現在佐藤さんは東京都世田谷区の家と、この那須町の家を行き来する生活をしている。週末は自然たっぷ りの森の中で暮らしているわけだ。

そもそも佐藤さんは全国各地をキャンプしながら旅をするほどアウトドアや自然が好きだという。「 30 歳の頃に仕事でストレスがたまり、自然に囲まれた環境に飛び込みたいと、久しぶりにキャンプをしたんです。そうしたら、その心地良さがすごく新鮮だったんです」。  

それを境にキャンプにハマるようになったという佐藤さん。時には夫婦で、時には仲間たちと旅行がてら、さらにはひとりでバイクツーリングしながらのキャンプの旅へ出かけた。

ファミリー向けの高規格キャンプ場 からワイルドなフィールドまで様々な場所でキャンプを楽しんだ。そうやって過ごしているうちに、 もっと自然の中で暮らしたい、自分の理想のスタイルで生きたいと思うようになっていった佐藤さん。ついにキャンプがもっと身近に楽しめる土地への移住を決意したという。  

リビングは壁や柱が少なく、広々とした印象を受ける。
薪ストーブが設置されている。冬場は0度を下回ることも
多いので必要不可欠な存在。
キッチンも大きな窓が付いており、明るくて清々しい。
職業柄リモートワークができるため、この場所で仕事をすることも。会議の際に背景を見た同僚からうらやましがられることも多々あるとか。

平成26年(2014)頃から佐藤さんは キャンプ旅をしながら、全国各地で理想の土地を探した。そんな中、 平成28年(2016)に、この場所を譲り受けないかという話が舞い込んだ。

知人の縁から、地元の不動産業者が持っていた土地を使って良いという話がきたのである。元々栃木県宇都宮市の出身である佐藤さんにとって、那須は度々キャンプをしに訪れていた、いわゆる馴染みの土地であった。

そのこともこの場所への移住を決心した後押しとなった。「本当に運が良かったです。那須エリアで、これだけ自分のイメージしていたものに近い環境で、さらに広い土地は探しても見つけるのは不可能に近いと思います。近くには泊まったことがある素敵なキャンプ場も多い。値段も安くしてもらったので、 土地を見た時に即決しました」

仕事はフレックスで在宅ワークも可能、そのため田舎暮らしを始めても大きな影響はなかった。移住してからは、会社の仲間との恒例のグル ープキャンプも那須のフィールドで行うようになった。家族と共に、また時には気ままにソロキャンプを楽しめる生活が手に入った。キャンプがしたい、新しいギアを試してみたいなど、思い立ったらすぐにキャンプができるのが移住のメリットだ。 「今は二地域居住という形ですけど、 子どもが大きくなったら将来的には家族みんなで、ここ那須へ完全移住したいと考えています」と未来を語る。

森の中に佇む異様な建物は夢見るキャンパーの住処

畳を敷いた寝室用のスペース。くつろぎながら、ギアを広げてキャンプへ行く準備やメンテナンスをしている。

森の一角に佇む特徴的な建物はもちろん特注だ。特にコンテナハウス に憧れていたという佐藤さん。 「アメリカのコンテナハウスの本などを参考にして作ってもらったんです。実はよく見かけるような運送用のコンテナだと、日本では住居にできないので、これは“コンテナ風” になるのかな」と苦笑い。

内部も佐 藤さんのこだわりが詰め込まれており、訪れる客を驚かせる。こぢんまりと見える外見からは想像できない広々としたリビング。斜めに立ち上 ったコンテナの先は吹き抜けの天井窓に。さらにリビングに設置された大きな窓は自然の光を取り入れやす くするだけでなく、木々が立ち並ぶ 庭の森を一枚の絵のように望む。  

自慢のアウトドアギアは、寝室としても利用している小上がりの畳スペースの棚や、玄関脇のスペースに丁寧に収納されている。特に小物やウェアは種類ごとにカーゴに入れており、グループからソロまで多様に 楽しむからこそ、多くのギアをシチュエーションごとに使いやすく分けているわけだ。

棚にはたくさんのアウトドアギアが。あふれそうな物をケースや掛ける収納をすることでごちゃごちゃになるのを防いでいる。
入口右手のスペースはいわばウォークインクローゼットのよう。たくさんのウェア、普段着などが
収められている
収納部屋がないので、壁やラックに上手に掛ける工夫が欠かせない。
ギアは耐久性や実用性の高いものを重視。有名ブランドから100均まで幅広くセレクトする。

最後に庭に出た佐藤さんが重機のエンジンを入れてくれた。この重機を使って敷地の森を開拓しているという。なんと彼はここにキャンプ場を作ろうと考えているのだ。

「色々な場所、様々な形のキャンプ をやってきたんですけど、自分のこだわりというかスタイルができてきているんです。そうしたら今度はそのスタイルをほかの人にも楽しんで ほしいと思うようになってきて。だからいつか自分でキャンプ場をやるしかないと」と夢を語る佐藤さん。 その目はとても輝いていた。

重機を平然と扱う佐藤さん。なかなか見られる光景ではないだろう。
チェーンソーも2種類購入。キャンプ場作りに欠かせない。

アウトドア&田舎暮らし GOOD POINT

1.様々なシチュエーションのキャンプから自分にあったスタイルを見つけました。

2.キャンプに出会い移住したことで自分の夢がどんどんと広がりました。

3.特別な縁で手に入れた最高の土地。縁を大切にして生きています。

 撮影/古末拓也

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