東京にある個性的な地ビールブルワリーを訪問。醸造所を見学しながら、ビール造りにかける思いをインタビュー。併設されたレストランや売店にも立ち寄り、そのブルワリーならではの地ビールの魅力を探る。

今回は、八王子の京王線沿いにある「シェアードブルワリー」を訪れた。

ホームブルーイング体験でビール造りの楽しさを広めたい

京王線沿いにあるシェアードブルワリー。ガラス窓からビールタンクが見える

アメリカでは、自宅でビール造りを楽しむ「ホームブルーイング」が盛ん。自家用の機器も販売され、原料も入手できるようになっている。ビール造りを趣味にして、地域の人たちと楽しむライフスタイルがあるのだ。

しかし、日本ではビール造りは免許制になっているため、自宅でビール造りをするのは酒税法違反にあたる。そこで、「ホームブルーイングを体験できる場」というコンセプトで2017年にオープンしたのが、八王子市にある「シェアードブルワリー」だ。

代表の小林大亮さんは自分で立ち上げたブルワリーで醸造も担当する

「ブルワリーをシェアしてホームブルーイングを知ってもらう場なので、シェアードブルワリーと名付けました。日本ではクラフトビールが盛り上がっているのに、法律の壁があって、ホームブルーイングができない。それなら、体験できる場を造ろうというのが当初の狙いでした。みんながSNSでシェアして、その楽しさが広まれば法律も変わるかもしれません。実際、オープン当初は予約が殺到して、50人待ちということもありました」と代表の小林大亮さん。

紫の機械は缶詰用。いよいよ缶入りビールも始動

しかし、コロナ禍になると、ビール造り体験にキャンセルが相次ぎ、そのうち体験型のイベント自体、中止を余儀なくされた。さらにアルコール提供が禁止になった期間もあり、シェアードブルワリーは路線変更しなければならなくなった。

「じゃあ、自社醸造の規模を大きくして知名度を高めて、そのなかでビール造り体験もできるブルワリーというコンセプトを広めていこうと舵を切りました。1年前から準備を進め、300Lの業務用ビールタンクを4基購入しました。ほかに缶詰機やビール樽も導入し、缶ビールやヴィンテージビールの販売も予定しています。ようやく、目処がたち、来月(2022年9月)から流通にのせた小売ができる予定です。なので、シェアードブルワリーは今後、自社醸造と体験醸造の2本立てで動いていきます。ゆくゆくは樽で熟成したヴィンテージビールの『BRETTWORKS』も動き出します」

購入したばかりのビール樽。樽で寝かせたヴィンテージビールも造る予定がある

コロナをきっかけに方向性を変えたシェアードブルワリー。自社ブランドを広め、いずれはビール体験そしてホームブルーイングの楽しさも伝わるよう走りはじめている。

アメリカンスタイルの自由さを表現したラインナップ

左から「Hazy Tropics」1Pint:900円「Cold IPA」1Pint:1,000円

シェアードブルワリーのオリジナルビールは、8種類ある。そのうち、5種類が店内で提供され、今後は小売店にて缶やボトルで販売される予定。アメリカのスタイルを中心に、さまざまなタイプがある。

●EG HOUSE
Beer Style:ナイトロスペシャルビター
アルコール度数:4.5% IBU:30
イングリッシュスタイルに挑戦したビール。3種類のモルトと沖縄産サトウキビを使い、窒素(ナイトロ)で注がれる。本場の味わいのオリジナルパブエールはパイントで飲むのがおすすめ。

●Zesty Hops IPA
Beer Style:ベルジャンIPA
アルコール度数:5.5% IBU:50
クラシカルなセゾンスタイルに現代的なホッピングテクニックを融合したベルジャンIPA。ベルジャン特有のフルーティーなボディに華やかなホップアロマが増し増しのIPA。

●Tropical Escape
Beer Style:IPA
アルコール度数:7.5% IBU:60
ゴールドカラーのウエストコーストスタイルIPA。ルプリンパウダーホップとPT90をブレンドしてダブルドライホップしたトロピカル&ジューシーIPA。

●Hazy Tropical
Beer Style:ヘイジーダブルIPA
アルコール度数:8% IBU:60
トロピカル&シトラスのアロマホップを大量にドライホップ。濁ったジューシーなIPA。

●Cold IPA
Beer Style:コールドIPA
アルコール度数:7% IBU:55
ラガー酵母を使用して低温で発酵させたIPA。ハイアルコールを感じさせないサッパリ系の仕上がり。夏らしいホップ由来の柑橘感が楽しめる。

今秋から缶入りも登場予定(写真は試作品)

ビールボトルが目印のシェアードブルワリーオリジナルビールは、2022年秋から全国の酒屋などの小売店で購入できるようになる。デイリービールは缶入りで登場するが、その後は樽で寝かせてボトルに詰めた高級ライン「BRETTWORKS」も2023年ゴールデンウィークを目処に出荷予定。さまざまなレンジのビールができる。

また、自分たちでオリジナルビールを造りたい、という要望に応えることも可能。野球チームやサークルのビールを造りたいなどがあれば、気軽に問い合わせてみよう。

ビール造りへの思いが高められるビアパブ

ビール造りの匂いを感じ取れる店内

京王線の平山城址公園駅から徒歩7分の線路沿いのあるシェアードブルワリーは、ふらりと立ち寄れるビアパブとしても利用できる。入ってすぐ右側はガラス張りになっていて、4基並んだビアタンクが見学できるようになっている。また、店内にはホームブルーイング用のタンクも置いてあるので、それも見ることができる。ビアパブに立ち寄るだけで、ビール造りの匂いを感じとれるのだ。

カウンターのなかは、アメリカのホームバーのような雰囲気
キャラメル&プレッツェル400円

店内では、カウンターでビールとおつまみが注文できる。シェアードブルワリーのオリジナルのうち、5種類を提供。1パイント(480ml)、クラウラー(350ml)、ハープパイント(240ml)のサイズと、150mlが4種類の飲み比べセット(1,400円)が用意されている。また、グラウラーやクラウラーによるテイクアウトサービスもある。

店内のカウンターは、アメリカのホームバーをイメージして、しつらえられている。ビール樽を利用したテーブルやアウトドアチェアなどがあって、リラックスした雰囲気もある。

ビールを飲みながら、ビール醸造設備を見学し、小林さんにビール醸造について聞いてみてもいいだろう。自分でもビール醸造をやってみたい、と自然に思えてくるはずだ。その気持ちが芽生えたら、ぜひ体験をしてみてほしい。

【シェアードブルワリー】
住所:東京都八王子市長沼町58-214
TEL:042-657-2671
営業日:金 17:30〜22:00、土・日・祝 14:00〜21:00
https://www.sharedbrewery.com

取材・文:岡本のぞみ(verb) 撮影:山田大輔

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