■数千本の洋酒の瓶が並ぶ 博物館のような空間で

BARTENDER
北村 聡さん(バーテンダー歴47年)

六丁目は、ちょうど銀座の真ん中あたり。この街で最もディープな表情を見せる界隈で、やはり飲食の名店が多い。その六丁目に星の数ほどあるバーのなかで鮮烈な個性を放つのが「洋酒博物館」だ。

ウイスキー樽の上に並べられたオールドボトル。令和の味との飲み比べも面白い。

名前に違わず、店内にはあふれんばかりの洋酒の瓶。5段のバックバーだけでなく天井に通した梁の上、カウンター上にもボトルがせり出すのを見て「わっ」と声が出る。入り口脇の樽の上にもオールドボトルがびっしり。

昭和の頃に見た懐かしいオールドパー角瓶。すでに終売した幻の銘柄もたくさんあり目を奪われる。

200種ものシェーカーが壁面に並ぶ。

テーブル席側の棚には、あたかも骨董品のように眩く光る何本ものシェーカー。客席以外はほぼ洋酒関連のもので埋め尽くされているが、それでも決して窮屈な感じはしないのが不思議である。

「平成の初め、1997年にオープンしたので、かれこれ27年になります。個人的にも洋酒をコレクションするのが好きで、お客さまにもいろいろな種類を楽しんでほしいですし、私もお客さまと洋酒の話をするのが好きですから、たくさんの酒が並ぶギャラリーのような店にしたかったんです」

オーナー兼バーテンダーの北村聡さんが、注文したイチローズモルトを出しながら話してくれた。

「お客さまのリクエストにもできる限り応えたくて、種類がどんどん増えていった」と話す北村さん。なかには50年もののマッカランも。

丸ノ内ホテルのバーと「JBA BAR SUZUKI」(銀座五丁目)を合わせて20年以上勤め、バーテンダー歴は47年。

東京及び全国でのカクテルコンテスト大会で何度も優勝。政財界の会合にもバーテンダーとして招かれるなど業界のスペシャリストというべき存在だ。

北村さんの活躍と店の歴史を示すようなラベルの数々。

「最初はホテルで調理師になりたかったのですが、たまたまバーに回されたのがきっかけで、それ以来バー一筋です。お客さまの反応がダイレクトにわかるのが面白いので、体が続く限りカウンターに立ちたい」と微笑む。

世界中から集まった数千本ものボトルに囲まれ、熟練の技術を眺めながら過ごすひと時はまさに至高。六丁目の夕闇の風景が似合う琥珀色の空間に溶け込みたい。

およそ3000種類もの洋酒がずらりと並ぶ、北村さんのバックバー。

■冬の一杯

イチローズモルト
2008シングルカスクストレングス (3190円)

「洋酒博物館」のために秩父蒸溜所で造られたオリジナル。熟成庫で10年寝かされ、加水なし、アルコール分63.1%も突き抜けるように飲みやすい。※限定品につき、お一人様一杯限り

洋酒博物館
東京都中央区銀座6-9-13 中嶋ビル3F
TEL:03-3571-8600
営業時間:18:00〜24:00
チャージ:1320円 席数:40席
定休日:無休
アクセス:東京メトロ「銀座駅」より徒歩2分

文/上永哲矢 撮影/菊田香太郎

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