2021年が終わりを迎えようとしています。東京五輪や新型コロナウイルスの流行で、イレギュラーなスケジュールで放送されたドラマもありながら、今年も、趣向を凝らした作品が数多く制作されました。

 そんな2021年のドラマシーンを振り返り、テレビドラマに詳しいライターの中村裕一さんが「2021年ベストドラマ」を5つ選出しました。

長瀬智也ラストドラマ「俺の家の話」

■「俺の家の話」(TBS系)

 プロレスラー・観山寿一(長瀬智也さん)とその家族が父・観山寿三郎(西田敏行さん)の介護と遺産相続を巡って、謎の介護ヘルパー・志田さくら(戸田恵梨香さん)と激しいバトルを繰り広げる姿を描いたホームドラマ。

「長瀬さんにとって、ジャニーズ事務所退社前、最後のドラマとなった作品です」(中村さん)

「『池袋ウエストゲートパーク』以来、長年タッグを組み、相性も抜群だった宮藤官九郎さんの脚本とあって、安定感バッチリの堂々とした演技を披露した長瀬さん。能楽師で人間国宝の父親の介護をすることになったプロレスラーの姿を最後まで見事に演じきり、散々笑わせた後にホロっと泣かせるクドカン脚本も絶好調でした」

■「ここは今から倫理です。」(NHK総合)

 雨瀬シオリさんの同名漫画をドラマ化。ミステリアスな教師・高柳(山田裕貴さん)による倫理と哲学的な言葉によって、さまざまな問題を抱えている生徒たちが成長し、変わっていく姿を描いた物語。

「主演を務めた山田さんは映画『東京リベンジャーズ』やスペシャルドラマ『志村けんとドリフの大爆笑物語』と、役のレンジがとてつもなく幅広く、2022年も目が離せない俳優の一人です」

「山田さんの持つ独特の雰囲気が、昭和の教師像のアンチテーゼとも言える、ダウナーな主人公のキャラクターと見事にマッチし、生徒だけでなく、ドラマを見ている私たちにも自分自身の生き方を考えさせる深い内容の作品でした。ちなみに、同じく教師役を演じた『ホームルーム』では、堂々と尻を出して裸になり、屋上で絶叫するなど、本作とは真逆の振り切った演技を見ることができます」

■「おいしい給食 season2」(テレビ神奈川、TOKYO MX、BS12トゥエルビほか)

 1980年代のとある中学校を舞台に、給食マニアの教師・甘利田幸男(市原隼人さん)と給食マニアの生徒・神野ゴウ(佐藤大志さん)による、どちらが給食を“おいしく食べるか”という戦いを描いた学園グルメコメディー。

「市原さんの怪演が何より強烈で、とてつもないインパクトを残した作品でした」

「給食前にクラスで校歌を歌うシーンでは、まるで、幼稚園児のように体全体を激しく動かしながら小躍りする姿を毎回披露していた一方、同じように給食を愛する生徒・神野との給食バトルや教育委員会の鏑木との衝突を通じ、『自由とは何か』を問いかけるなど、非常に奥の深い作品でもあります。来年公開予定の劇場版も大きな期待を寄せています」

衝撃の結末「最愛」

■「二月の勝者−絶対合格の教室−」(日本テレビ系)

「絶対に全員志望校に合格させる」と断言し、「中学受験は課金ゲーム」「親はスポンサー」など過激な言動で波紋を投げかけ、常に周囲を圧倒する、最強で最悪のスーパー塾講師・黒木蔵人(柳楽優弥さん)による、中学受験塾を舞台にした人生戦略ドラマ。

「柳楽さんの役づくりがパーフェクトともいえる完成度で、それだけで引き込まれてしまった作品です」

「中学受験という限定的な範囲の世界を描きつつも、生徒同士の友情や家庭環境の問題など、これまでの学園ドラマで描かれてきた、普遍性を感じさせるような非常に中身のある作品。主人公・黒木は塾講師なので、厳密には『教師』ではありませんが、今の時代にマッチした新しい教師像、新しい教育の在り方を提示した作品だったようにも思います」

■「最愛」(TBS系)

 殺人事件の重要参考人となった実業家・真田梨央(吉高由里子さん)と、梨央の初恋の相手であり、事件の真相を追う刑事・宮崎大輝(松下洸平さん)、あらゆる手段で梨央を守ろうとする弁護士・加瀬賢一郎(井浦新さん)の3人を中心に、15年前の失踪事件から現在の殺人事件へとつながっていく謎に迫る、サスペンスラブストーリー。

「梨央を演じた吉高さんの演技が素晴らしかったことは言うまでもありませんが、それと同じくらい、大輝を演じた松下さんの好演が光りました」

「シンガー・ソングライターとしても活躍する松下さんの声が心地よく、とても印象的。梨央と大輝をはじめ、それぞれの登場人物が最も愛する人のためにどんな行動を取り、どんな結末を迎えるのか、見終わった後も心にとげが刺さったような、かすかな痛みが残り続け、思い出すたびにギュッと心を締めつけられる、尊くも切ないドラマでした」