2021年が終わりを迎えようとしています。昨年に引き続き、新型コロナウイルスの影響を受けつつも、ドラマ、映画、舞台など、今年も多くの俳優たちが作品を通して、抜群の存在感を放ちました。

 そんな2021年のエンターテインメントシーンを振り返り、作家・芸能評論家の宝泉薫さんが、2021年を彩った俳優を5人選出しました。

徳川慶喜役が話題、草なぎ剛

■草なぎ剛さん

 1991年、アイドルグループ・SMAPのメンバーとしてCDデビュー。俳優としても活躍し、今年3月、映画「ミッドナイトスワン」で「第44回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞」を受賞。今年の主な出演作は「ペペロンチーノ」(NHK BSプレミアム・NHK BS4K)、「青天を衝け」(NHK総合)など。

「『日本アカデミー賞最優秀主演男優賞』受賞の勢いそのままに1年を駆け抜け、今年を象徴する俳優の一人ではないでしょうか」(宝泉さん)

「『ペペロンチーノ』では、震災によって自暴自棄になり、酒に溺れてしまった料理人が立ち直る姿を演じ、その演技力はさすがの一言。徳川慶喜役を務めた『青天を衝け』では、無私の境地で演じていたようにも見え、計算的に演じることはせず、草なぎさんなりの慶喜を作り上げたことが結果的に、多くの人から受け入れられたのだと思います」

■坂口健太郎さん

 2010年、ファッション誌「MEN’S NON−NO」のモデルオーディションに合格したことをきっかけに芸能界入り。2014年公開の映画「シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸」で俳優デビュー。今年の主な出演作は「おかえりモネ」(NHK総合)、「婚姻届に判を捺しただけですが」(TBS系)など。

「ヒロインの相手役を務める“ヒロイン男子”的なポジションが抜群に似合うことが証明された1年でした」

「『おかえりモネ』『婚姻届に判を捺しただけですが』の両作に共通していたのは、恋愛に疎く、ちょっと変わり者という役どころだった点。優しくて穏やかだけど、相手には分かってもらえず、結果的にヒロインが翻弄(ほんろう)されてしまうようなキャラクターが本当にハマっていました」

■神木隆之介さん

 1995年にCM出演し芸能界デビュー。2005年公開の映画「妖怪大戦争」で「第29回日本アカデミー賞新人俳優賞」を受賞する一方、声優としても数多くの作品に出演。今年の主な出演作は「おじさまと猫」(テレビ東京系)、「コントが始まる」(日本テレビ系)、映画「100日間生きたワニ」(声)など。

「『おじさまと猫』『100日間生きたワニ』など、声の仕事で真骨頂を発揮した1年でもありました」

「ジブリ映画や、新海誠さん、細田守さんらアニメ界に重用されているくらい、声優としても確かな実力を持つ神木さんですが、『おじさまと猫』のように、連ドラで声だけをやるのもなかなかない機会だったはずです。猫っぽくしゃべって人間と交流するという、あまり前例のない役割でしたが、これまでの経験と多くの引き出しがあった神木さんだからこそ、成立させることができました」

大物の片りん、菅田将暉

■柳楽優弥さん

 2004年公開の映画「誰も知らない」でオーディションに初めて参加し、主演に抜てき。同作で、日本人初となる「第57回カンヌ国際映画祭 最優秀男優賞」を史上最年少で受賞。今年の主な出演作は「二月の勝者−絶対合格の教室−」(日本テレビ系)、映画「太陽の子」「浅草キッド」など。

「『二月の勝者』『太陽の子』『浅草キッド』それぞれで大きな存在感を放ち、濃密な1年を過ごしていたように思います」

「キャラクターを相当作り込んで挑んだ『二月の勝者』で、子役たちが相手でもしっかりと芝居をこなしていた姿が印象的。それができたのは、本人が幼い頃から役者をやってきた経験が生きていたはずですし、ビートたけし役を演じた『浅草キッド』でも、本人が栄光と挫折を経験しているからこそ、ナイーブな側面も共感しながら、味のある演技を見せることができたのではないでしょうか」

■菅田将暉さん

 2009年放送の「仮面ライダーW」(テレビ朝日系)で連ドラ初出演を飾り、以降、俳優として活躍。2017年公開の映画「あゝ、荒野」で「第41回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞」を受賞。同年、歌手活動も開始。今年の主な出演作は「コントが始まる」(日本テレビ系)、映画「花束みたいな恋をした」「キネマの神様」など。

「スターの条件を兼ね備えつつある、現代を代表する俳優の一人です」

「映画史に残るような作品でもあった『花束みたいな恋をした』『キネマの神様』の両作で、時代のセンターを走る菅田さんがきっちりと演じ、作品を見ても、堂々とこなしているその姿はさすがの存在感。間違いなく、時代を背負っている俳優で、より大物感を見せてくれた1年でもありました」