映画「雨に叫べば」で主演を務める女優の松本まりかさん。同作は、1988年、新人映画監督の花子(松本さん)はベテランスタッフたちから、いじめの洗礼を受けます。さまざまなトラブルが降りかかり、現場の混乱を聞きつけたプロデューサーから監督交代を告げられ…撮影現場を舞台にした人間ドラマです。

 オトナンサー編集部では、松本さんにインタビューを実施。参考にした監督や1980年代を感じる瞬間などについて聞きました。

幼少期の寂しさ、表現への欲求へ

Q.参考にした監督さんはいらっしゃいましたか。

松本さん(以下敬称略)「内田英治監督がご自身の体験談を書いていらっしゃいました。でも、今の内田監督ではありませんので、新人時代の話を聞いて演じました。特に参考にした監督はいません」

Q.監督業には興味を持たれましたか。

松本「監督業を考えたことはありませんでした。監督役を演じてみて、めちゃくちゃ面白いと思いました。難しいことを考えずに撮っていいと言われたら、やってみたいです(笑)」

Q.撮影中、1980年代を感じる瞬間はありましたか。

松本「とても多かったです。昔からある東映さんの撮影所で歴史も感じましたし、キャスト陣の衣装やカメラ、全てが完璧でした。豪華キャスト陣が私に向かってきて、私対キャストの構図だったので本当にぜいたくでした。役としてはきついんですが、私としては罵声を浴びせられるシーンもきつい、つらいではなく、面白くて、ご褒美みたいなお仕事でした」

Q.共感できるところや似ているところはありましたか。

松本「幼少期の家庭環境の寂しいという思いが、表現したいという欲求につながっているところは似ています。仕事は違うけど、生い立ちだったり、昇華できなかった物事を表現という形で昇華しています。その感覚は何の疑問もなく演じることができました」

Q.いろいろな作品に出演されていますが、昇華はできてきましたか。

松本「まだ昇華しきれていませんし、幼少期のパンドラの箱があり、そこをいつか見ないといけないなという気がしています。ここ数年は昇華できる場を与えてもらっているので、少しずつ昇華はしてきています。自分の中にあるものをどうにか、表現しなくてはいられませんでした。

ここ数年、自分が表現したことが誰かの喜びになって結びついたんですよね。私の演技を見て救われたとか、女優さんになりたいと思うようになったという声がダイレクトに届くようになり、ハッとしたことがありました。

自分の表現したものが誰かの力になっていたり、生きる支えになっていると分かったとき、自分の生きがいが強固なものになりました。今までは表現することが生きがいでした。でも、それだけじゃいられないんですよね。それが何かというと、誰かの喜びや誰かの生きる希望になりたいと思うようになりました」

Q.SNSなどで直接届くことが多くなったからでしょうか。

松本「そうですね。送られてきた感想は読みます。ドラマ『ホリデイラブ』に出演してから、仕事量や取材してくれる方が増えて、皆さんの見る目が少しずつ変わってきました。デビューした当初は、興味を持っていただけてましたが、だんだんと興味を持たれない時間が長くなり、30代半ばになってから、また少しずつ、また見ていただけるようになりました。誰かに興味を持っていただけるのは、当たり前じゃないんだと思いました。

自分が表現したいように演じていたときは『私はここにいるよ』っていう心の叫びだったんだと思うんです。演じることもそうですが、こうして取材していただき、苦節20年と書かれることがありますが、共感してくださる方がいるのであれば、この時間も必要な時間だったと感じることができます。誰かの力に少しでもなれるならば、私のことを伝えたいなと思っています」

 映画「雨に叫べば」はAmazonプライムビデオで独占配信中。