現在テレビ業界で「面白い」「起用したい」と言われているのは「お笑い第7世代」と「M−1最終決戦トリオ」。実際、知人のバラエティー放送作家は「キャスティングで真っ先に名前が挙がる」と言っていましたし、別の放送作家も「久々に勢いのある若手芸人がそろっている」と絶賛していました。

 お笑い第7世代とは、霜降り明星、ハナコ、ミキ、EXIT、四千頭身、宮下草薙ら、平成生まれの若手芸人たちを指すフレーズ。命名者で、世代を代表する霜降り明星を中心に、昨年の下半期あたりから一気に番組出演数を増やしています。

 次に、M−1最終決戦トリオは、昨年12月22日に放送された「M−1グランプリ2019」(ABC・テレビ朝日系)で最終決戦に進出したミルクボーイ、かまいたち、ぺこぱの3組。優勝したミルクボーイだけでなく、準優勝で「キングオブコント2017」王者でもある、かまいたちはまだしも、3位で最終決戦0票のぺこぱも含まれていることがレベルの高さを物語っています。

 特筆すべきは、それぞれで出演するのではなく、「お笑い第7世代」「M−1最終決戦トリオ」という企画が多いこと。そろって出演することで、「最近のバラエティーは似た番組ばかり」と言われがちなバラエティーにフレッシュな風を吹かせているのです。

キャラクターとネタ、それぞれの強み

 象徴的だったのは、昨年12月28日に放送された「アメトーーーーーーーーーーク5時間SP」(テレビ朝日系)の「明石家さんまvsお笑い第7世代」と、2月10日に放送された「しゃべくり007」(日本テレビ系)へのM−1最終決戦トリオ出演。さらに、17日には「有田哲平と高嶋ちさ子の人生イロイロ超会議」(TBS系)の目玉企画として「勢いが止まらない お笑い第7世代vs高嶋ちさ子」が予定されています。

 お笑い第7世代の強みは、明石家さんまさんのような大物芸人と対比しやすいキャラクター。「楽しくやろう」「仲よくしよう」「頑張りすぎない」「無理しない」「我慢しない」というスタンスはこれまでの先輩芸人たちにはないものである上に、世間の感覚にも合っているだけに“新旧バトル”という図式で盛り上がることができます。

 次に、M−1最終決戦トリオの強みは、持ちネタの面白さと、それが世間に認知されていること。ミルクボーイの「おかん」「コーンフレーク」「最中」、かまいたちの「UFJ」「トトロ」「余談」、ぺこぱの「ノリつっこまない」「時を戻そう」は、それぞれ応用が効くためバラエティーの台本に組み込まれやすい他、アドリブを絡めて笑いを誘うこともできます。

 もちろん強みだけでなく、課題とされているところも少なくありません。お笑い第7世代の課題は「キャラクター頼み」「人に生かされるのは得意だが、人を生かすのが苦手」の2点。いわゆるワンパターンや出オチに終わってしまうケースがしばしば見られます。

 一方、M−1最終決戦トリオの課題は「キャラクターが固まっていない」「3組の連携が取れていない」の2点。まだ「最も笑いを取れるのはどんなキャラクターで、どんなトークなのか?」と手探りで収録に挑んでいる様子がうかがえます。

 どちらも強みを生かしながら、徐々に課題を克服することができれば、「お笑い第7世代」「M−1最終決戦トリオ」がメインの番組も夢ではないでしょう。

業界の最注目は大物称賛のぺこぱ

 現在は「お笑い第7世代」「M−1最終決戦トリオ」でセット売りされるケースも目立ちますが、近い将来、何組かの芸人がこの中から出世レースを抜け出していくでしょう。

 現在、その出世レースでアタマ2つくらい抜けたトップを走っているのは霜降り明星。ネタ、トーク、キャラクター、ビジュアル、タイトルなどを兼ね備え、さらに、せいやさんは「テセウスの船」(TBS系)、粗品さんは「絶対零度 未然犯罪潜入捜査」(フジテレビ系)で俳優デビューを果たしているだけに、「数年後に芸能界のトップを取っていても驚かない」という声もあるほどです。

 M−1チャンピオンのミルクボーイで気がかりなのはスケジュール。大阪の仕事が多く、関東で収録される番組を途中退席するケースが少なくないのです。現在は「それでも出てほしい」と言われる立場ですが、数カ月後は不透明。「ネタとビジュアルの親しみやすさは現在のテレビ視聴者に合う」と言われているだけに、マネジメントが今後のカギを握っているのかもしれません。

 ダークホースとして急浮上しているのは、ぺこぱ。昨年12月22日の「M−1グランプリ2019」を見た多くのプロデューサー、ディレクター、放送作家たちが「一番使えるのは、ぺこぱ」と言っていたそうです。

 実際、松陰寺太勇さんの「ノリつっこまない」「時を戻そう」は、笑いを取る、フォローを入れるなどバラエティーのさまざまなシーンに対応可能。最近の出演シーンを見ても、アドリブで松本人志さんや内村光良さんら大物芸人から称賛を受けるシーンがありました。

 実力者のかまいたち、ミキなども含め、一発屋に終わるようなレベルの芸人たちではないだけに、群雄割拠の様相はしばらく続いていくのではないでしょうか。