新型コロナウイルスの流行でエンターテインメント業界も大きな打撃を受け、テレビでの露出が限られる年だったにもかかわらず、一年を通して抜群の存在感を見せつけた女優の川口春奈さん。

 長崎県五島市出身の川口さんは2007年、ファッション雑誌「ニコラ」でモデルデビュー、2009年10月クールのテレビドラマ「東京DOGS」(フジテレビ系)で女優デビューを果たします。以降、2013年にゴールデン帯連続ドラマで初主演を務めた「夫のカノジョ」(TBS系)が8話で打ち切りになるなど、ヒット作になかなか恵まれない時期もありましたが、2020年は大河ドラマ出演やYouTubeチャンネル開設、バラエティー番組へのレギュラー出演など躍進を遂げた1年でもありました。

 川口さんの2020年を振り返るとともに、活躍を続ける理由について、作家・芸能評論家の宝泉薫さんに聞きました。

時代劇初挑戦に絶賛の声

 川口さんは年明け早々、1月4日・5日の2夜連続で放送された木村拓哉さん主演のテレビドラマ「教場」(フジテレビ系)に出演。警察学校を舞台にした同作では、県警幹部の母を持つ容姿端麗な訓練生・菱沼羽津希役を演じました。

 1月19日より放送が開始されたNHK大河ドラマ「麒麟がくる」では、出演予定だった沢尻エリカさんに代わり、帰蝶役で出演。時代劇初挑戦ながら絶賛の声が相次ぎ、11月1日放送の第30回「朝倉義景を討て」では、川口さん演じる帰蝶が5カ月ぶりに再登場したことでも話題になりました。

 1月31日には自身の公式YouTubeチャンネル「はーちゃんねる」を開設し、いきなり生配信を実施。登録者数は100万人を突破し、実家へ里帰りする様子やメークの仕方、車を運転する動画を公開するなど、飾らない“素の姿”が見られると人気を集めています。

 4月には「Going! Sports&News」(日本テレビ系)の土曜キャスターに抜てきされ、8月にはバラエティー番組「モニタリング」(TBS系)へのレギュラー出演が決定するなど女優業以外での活躍の場も増えました。また、伊ファッションブランド「エンポリオアルマーニ」の2020秋冬広告モデルに起用され、日本人女優が同ブランドの広告モデルを務めるのは11年ぶりのことでした。

 10月からは連続ドラマ「極主夫道」(読売テレビ・日本テレビ系)に出演。玉木宏さん演じる主人公の妻・美久役を務め、デザイナーとしてバリバリ働く一方、家事全般が全くできない愛らしいキャラクターを演じています。

誰も似ていない唯一無二の女優

 今年一年を通して、さまざまな活躍を見せた川口さん。宝泉さんは「昨年からの話題を継続しつつ、年始早々、いいスタートダッシュを切ることができた」と分析します。

「『麒麟がくる』に関しては昨年11月に出演が発表され、沢尻エリカさんの降板による出演という経緯も含めた話題性も相まって注目されましたが、作中では、しっかりと存在感を示すことができ、期待に応える活躍を見せてくれました。昨年末に行われた格闘技イベントでは、当時交際がうわさされていた矢地祐介さんの試合を観戦し、勝利に涙を流す姿が報道されたりと、川口さんの名前が話題になることが多かったです」(宝泉さん)

 川口さんについて「似ている女優がいない、唯一無二の女優」と宝泉さんは評します。

「川口さんの特徴として、ナチュラルな作品が合いにくく、等身大の女性を演じるというよりは現在出演中の『麒麟がくる』『極主夫道』のような、非日常の世界観の作品がマッチし、多くの人から憧れられるマドンナ的存在やしたたかな女傑のような役どころが向いていると感じるのです。これは女優としての“型”と“華”がはっきりとしている川口さんならではの特徴。誰かに振り回されるより、振り回す立ち位置が似合うのです」

 宝泉さんは、今後も今のポジションで活躍を続けてほしいと期待を寄せています。

「役者は30歳を超えたあたりから、次の方向性を模索することも多いですが、川口さんについては今の方向性を貫き通してもいいのではと思うのです。バラエティーでは喜怒哀楽を表に出し、CMやYouTubeで垣間見える活発な感じは他の女優ではあまり見られません。勝負の年だった今年をしっかりと乗り切り、女優として唯一無二のポジションを確立できた1年だったのではないでしょうか」