「○○年代を代表するラブストーリー」「△△役がハマる俳優」など、テレビドラマにまつわるさまざまなテーマについて、テレビドラマに詳しいライターの田幸和歌子さんが「●選」の形式で紹介、解説します。

 今回のテーマは「朝ドラヒロインの友人や姉妹役が光っていた女優5選」です(近年、ヒロインに近いポジションを演じた女優がその後、ヒロインに抜てきされる流れがありますが、今回はその流れができる以前の作品に限定して選んでいます)。

鮮烈な女優デビュー作

■田中裕子さん 「マー姉ちゃん」(1979年度前期)

 長谷川町子さんの自伝的漫画「サザエさんうちあけ話」を原作に、主人公・磯野マリ子(熊谷真実さん)が家族を支え、後に「サザエさん」の生みの親となる妹・マチ子(田中さん)を漫画家として世に送り出すまでの姿をコミカルに描いた物語。

「後の大ヒットドラマ『おしん』でヒロインを務める田中さんの、鮮烈な女優デビュー作です」(田幸さん)

「ヒロインを演じた熊谷さんがとてもかわいらしく、原作者の長谷川さんも大絶賛だった一方で、世間の注目を集めたのが田中さん。まだまだ、あどけない表情が残る子どものような田中さんでしたが、実は熊谷さんより年上にもかかわらず、妹役を演じたことに加え、才能豊かな雰囲気あふれるその存在が女優デビュー作とは思えず、衝撃を受けました」

■上野樹里さん 「てるてる家族」(2003年度後期)

 戦後から昭和40年代の大阪府池田市を舞台に、製パン店を営む岩田家の四女でヒロイン・冬子(石原さとみさん)、三女・秋子(上野さん)ら4姉妹の夢を追い求める姿とその家族の日々をミュージカルタッチで描いた物語。

「個性豊かな4姉妹の中でも秋子の人気が高く、上野さんが注目を集めるきっかけになった作品の一つです」

「物語の中心となる4姉妹の中でただ一人の理系で、自己主張をせず、一番控えめな性格で、自分をなかなか出せない優等生・秋子を演じた上野さん。そんな秋子が自分のために初めて、家族がてるてる坊主をつるしてくれた際、子どものように泣きじゃくる姿がいとおしく、心をつかまれたシーンが印象的です」

■満島ひかりさん 「おひさま」(2011年度前期)

 朝ドラ50周年記念作品と位置付けられた同作。信州・安曇野と松本を舞台に、女学校で過ごした青春時代や、教師となり、母校に赴任した姿など、激動の昭和時代の中で明るく前向きに生きたヒロイン・須藤陽子(井上真央さん)の半生を描いた物語。

「陽子が通う女学校の同級生・筒井育子を演じた満島さん。好奇心旺盛で行動力あふれるその姿はまるで、ヒロインのような魅力を感じさせてくれました」

「おっちょこちょいな一面もある、活発な役柄を演じた満島さんの存在は華やかで光るものが当時からありました。加えて、育子が年を重ねた後の姿を黒柳徹子さんが演じていたのですが、黒柳さんの半生を描いたドラマ『トットてれび』では黒柳さん役を満島さんが演じていて、そんなつながりが垣間見えるのも面白いポイントです」

輝きを放っていた、長澤まさみさん

■黒木華さん 「花子とアン」(2014年度前期)

「赤毛のアン」の翻訳者・村岡花子さんの半生を原案とし、山梨の貧しい家に生まれたヒロイン・安東はな(吉高由里子さん)が震災や戦争を乗り越えて、翻訳家の道へ進んだ、明治から昭和にかけての波乱万丈の半生記を描いた物語。

「黒木さんが演じたのはヒロインの妹・かよ。明るい性格のヒロインとは対照的で、複雑なものを抱える難しい役どころを見事に表現していました」

「姉に対しては憧れと嫉妬が入り交じり、自身は劣悪な環境で働いて、体を壊してしまうなど、悲劇性を伴った妹役を演じた黒木さんの演技力は見事の一言。以前の朝ドラでは『純と愛』でヒロインの同僚役を演じていましたが、当時から、その存在には目を引くものがありました」

■長澤まさみさん 「さくら」(2002年度前期)

 ハワイ生まれで日系4世のヒロイン・さくら(高野志穂さん)が、一家のルーツである飛騨高山の中学校で英語の指導助手をしながら、日本文化とのギャップやそこで出会う人々との交流を通して、たくましく成長していく姿を描いた物語。

「ヒロインが下宿する家の子・沼田佳奈子を演じた長澤さんですが、これまで、その存在についてあまり語られることがなかったように思います」

「朝ドラの中でも変わり種の物語で、ヒロインとはある意味、家族のような存在を演じた長澤さん。かなりちゃっかり者の役柄で、当時はまだ、あどけない表情で幼い雰囲気でしたが、目や鼻筋がしっかりしていて、美形だというのはもちろんのこと、その表情豊かな表現力が印象的です。出番自体はそれほど多くありませんでしたが、いずれ、絶対ブレークするなという輝きを随所に放っていました」