2009年にアナウンサーとしてTBSに入社し、退社後もモデル、タレントとして、テレビ番組や雑誌で活躍している田中みな実さん。美容に関する知識が豊富で、ファースト写真集「Sincerely yours…」は発売からわずか1カ月で50万部を達成し、「第13回オリコン年間“本”ランキング2020」の写真集ジャンルで1位を獲得するなど今や“国民的ビューティーアイコン”として注目されています。

 近年は映像作品にも活動の幅を広げ、先日最終回を迎えた「ボクの殺意が恋をした」(読売テレビ・日本テレビ系)に引き続き、10月15日から放送される「最愛」(TBS系)への出演も決定。さらには、9月17日に公開され、全国映画動員ランキングトップ10(興行通信社)で2週連続1位に輝いた映画「マスカレード・ナイト」で重要な役柄を射止め、11月には映画初主演となる「ずっと独身でいるつもり?」も公開を控えるなど、女優としての需要も高まっている田中さんの魅力に迫ります。

“ぶりっ子キャラ”から“あざとかわいい”へ

 実は米ニューヨークで生まれ、小学校卒業まで、主に海外で育った田中さん。青山学院大学在学中に出会った、小川彩佳さんがアナウンサーとしてテレビ朝日に内定したことを機に自身もアナウンサーを目指し、2009年にTBSへ入社しました。

 ブレークのきっかけはアナウンサーデビュー後に出演したワイドショー「サンデージャポン」(同)。番組内で「情報ライブみな実屋」というコーナーを任され、“みんなのみな実”をキャッチコピーに、ぶりっ子キャラを確立させていったのです。ただ、一部の女性からは反感を買い、「嫌いなアナウンサーランキング」で1位になったこともありました。

「良くも悪くも、それで“田中みな実”という人間を知ってもらえて、ぶりっ子という時代も私にとっては必要だったなと思っています」

 当時を振り返り、今年2月24日に出演した「徹子の部屋」(テレビ朝日系)でそう語った田中さん。人間誰しも“嫌われる”ことに関してはネガティブに捉えがちですが、当の本人はとても前向きに捉えていたことが分かります。

 それができるのは、誰よりも彼女が自分の良さを理解し、そして、誰よりも自分を愛しているからでしょう。芯が強く、自分を最も輝かせるための努力を惜しまないストイックさ。そんな彼女の姿勢が雑誌やSNSで徐々に広まり、世間の女性たちから憧れの的として熱い視線を注がれるようになります。

 再び彼女をブレークに導いた番組の一つが、2019年に放送がスタートしたバラエティー番組「あざとくて何が悪いの?」(同)でした。本来“あざとい”とは「小ずるい」「計算高い」といったネガティブな意味合いを持つ言葉ですが、モテるテクニックを駆使したり、自分をより魅力的に演出したり、「それの何が悪いの?」という世間の風潮が高まってきたのです。

 そして、“あざとい”と“かわいい”を合わせた“あざとかわいい”という言葉が流行。その代表格として田中さんが注目されました。まさに「時代が田中みな実に追いついた」といったところでしょうか。今や10〜20代の女性が、田中さんがテレビや雑誌で語る美容法やモテテクをこぞってまねしている状況です。

 そんな田中さんにさらなる転機が訪れます。それが女優として2020年に出演したドラマ「M 愛すべき人がいて」(同)でした。

女優として引っ張りだこに

 国民的歌姫・浜崎あゆみさんのデビュー秘話を基にノンフィクション作家・小松成美さんが書いた小説を原作とした同ドラマ。安斉かれんさん演じる主人公・アユと、三浦翔平さん演じる、彼女の才能を見いだすプロデューサー・マサの大恋愛を描きました。

 田中さんが演じたのは、片目にオレンジ色の眼帯を付けたミステリアスな女性で、マサに狂気的なほどの好意を寄せる秘書・礼香。マサのお気に入りであるアユに嫌がらせを繰り返し、その行為が徐々にエスカレートしていく…という悪役の立ち位置でした。

 しかし、アユに対して、「(マサを奪ったら)許さなーーーーい」とにらみ付けたり、ドラムをたたきながら、「許さないVS許さない。どっちの許さないが勝つのかなあーーーー」と絶叫したり、大映ドラマのような演出やオーバーな田中さんの演技が話題となり、本作はヒット。彼女の怪演ぶりが功を奏したといえます。悪役ながら多くのファンを獲得し、礼香のスピンオフドラマが制作されるほどの熱狂を呼んだのです。

 こうして、女優として強烈なインパクトを残した田中さんは「新たな分野に挑戦したい」と、所属事務所をテイクオフからフラームに移籍。劇場版もまもなく公開される「ルパンの娘」(フジテレビ系)ではセクシーな女泥棒を、「生きるとか死ぬとか父親とか」(テレビ東京系)では吉田羊さん演じる主人公とラジオ番組を進行するアナウンサーを、そして、「ボクの殺意が恋をした」では物語の鍵を握る漫画家のアシスタントを演じ、そのどれもが高い評価を受けました。

 2019年に配信されたウェブドラマ「奪い愛、夏」(AbemaTV)で共演した水野美紀さんや小手伸也さん、松本まりかさんからも「みな実ちゃんは完璧。もう本当にすっごいうまいです!」「抜群にイラっとします」と田中さんの演技を絶賛しています。

ストイックな姿とプロ根性

 彼女の強みは、瞬時に求められている役割を把握できる力でしょう。自身がパーソナリティーを務めるラジオ番組でも「“ぶりっ子”を求められるんですよって言われたら、期待に応えるっていうのが“仕事”なんだなって思っている」と持論を明かしたように、田中さんはTBSアナウンサー時代から、たゆまぬ努力で周りの期待に応えてきました。

 一方で「プロフェッショナル 仕事の流儀」(NHK総合)で見せたのは番組のプロデューサーに直接、意見を述べるストイックな姿。そんなプロ根性がドラマや映画の現場でも生かされ、それぞれの作品に不可欠な存在となっていったのでしょう。

 田中さんは今年、原案・雨宮まみさん、作画・おかざき真里さんの同名コミックを原作とした映画「ずっと独身でいるつもり?」で映画初主演を果たすことが決定しました。この映画は生きづらさを抱える現代女性のリアルを描いた作品で、田中さんは10年前に執筆したエッセーで一躍有名になった一方で、周囲からの「ずっと独身でいるつもり?」という言葉に傷を抱える36歳の主人公・まみを演じます。

 飾らない言葉でしなやかに、今を生きる女性たちの声を代弁してきた田中さんが本作で、どんな演技を見せてくれるのか楽しみです。