子どもにとって、お正月の楽しみの一つに「お年玉」があります。祖父母や親戚から、お年玉をもらった子どもも多いと思いますが、子どもが幼児や小学校低学年の場合、「お金の管理はまだできない」と親がお年玉を預かることがよくあります。

 このような場合、預かったお年玉を親が使ってしまい、子どもが大人になったときに「返してほしい」と言われ、困ることもあるようですが、親がお年玉を使ってしまったら違法行為になるのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

民法上は「財産管理権の乱用」

Q.子どもがお年玉をもらうと、その所有権は全面的に子どもにあるのでしょうか。幼児や小学生の場合、親がお年玉を預かることが多いですが、問題ないのでしょうか。

牧野さん「お年玉の金額や子どもの年齢にかかわらず、子どもがもらったお年玉はその子どもに所有権があります。とはいえ、子どもが幼児や小学生の場合、お金の管理をきちんとできるのか不安があります。そのため、親は未成年の子どもを監護・教育する『親権』に基づいて、子どものお年玉(財産)を管理することができ、親がお年玉を預かっても問題ありません」

Q.子どもから預かったお年玉を、親が自分の遊興費や買い物の代金として使った場合、違法行為となるのでしょうか。

牧野さん「先述したように、子どもがもらったお年玉の所有権はその子どもにありまあす。そのため、子どもから預かったお年玉を、親が自分の遊興費や買い物の代金として勝手に使った場合、本来は窃盗罪や詐欺罪、横領罪に該当しますが、親族間での犯罪であり、刑が免除されます(刑法244条1項など)。

ただし、親のこうした行為は民法827条の『財産管理における注意義務』に反し、財産管理権の乱用に当たり、子どもから請求されれば、基本的に返還する義務があります」

Q.子どもから預かったお年玉を習い事の月謝など、子ども自身の教育に使った場合、違法行為となるのでしょうか。

牧野さん「親の遊興費や買い物の代金は親の利益になります。一方で、お年玉を習い事の月謝などの教育に使うことは、子どもの利益のために使用した範囲とされます。そのため、こうしたお年玉の使い方は、たとえ、お年玉の所有権が子どもにあったとしても、監護権(子どもの面倒を見る権利・義務)の正当な行使と解釈されて違法行為とはならず、返還義務もないでしょう」

Q.子どもが大人になり、「子どものときに預けたお年玉を返して」と言われたとき、親は返す義務があるのでしょうか。

牧野さん「金融機関の口座などに残高があり、請求されれば、民法の規定で時効消滅していない限り、返還する義務があるでしょう。時効消滅の期間は通常、『お年玉を預けて5年経過(民法166条1項)』、または『成人してから6カ月(民法158条1項)』のいずれか遅い時期が該当します」

Q.結局、親が子どもからお年玉を預かった場合、どのように管理すれば、問題にならないのでしょうか。

牧野さん「親子といえども、お年玉をどのように使ったのかを曖昧にするのではなく、明確にすべきです。具体的には、預かったお年玉の金額、その後に子どもの利益のために使用した金額、子どもにお小遣いとして渡した金額を帳簿に記録して、常に残高を管理するとよいでしょう(民法828条)」