「パソコンの使い過ぎで指の関節が痛い」「マウスを使うとき、手首に違和感を覚えるようになった」。こうした経験がある人も多いのではないでしょうか。日々の仕事でパソコンを使う人はどうしても手を酷使しがちですが、中には、タイピングやマウス操作のしすぎで、指や手首の関節を痛めてしまう人もいるようです。

 ネット上では「指が痛くて、キーボードを打つのがつらいときがある」「タイピングをするとき、『突き指』のように関節が痛い」「病院に行った方がよい目安は?」など、さまざまな声があります。タイピングやマウス操作のしすぎによる指や手首の痛みについて、お茶の水セルクリニックの寺尾友宏院長(整形外科)に聞きました。

けんしょう炎や関節炎の可能性も

Q.パソコンのタイピングやマウス操作のしすぎで、指や手首に違和感や痛みが出ることがあるのは事実でしょうか。

寺尾さん「事実です。タイピングやマウス操作のし過ぎによって、痛みが出ることは実際にあります。最も多いのは、けんしょう炎です。仕事でパソコン使用が必須の人が痛みが出ても我慢して、使用を続けてしまい、症状が強くなってから、来院することが多いように思います。

関節自体が炎症を起こす『関節炎』や手首から指先へとつながる神経を刺激してしまう『神経痛』のような症状が出ることもあります。また、けんしょう炎になると、炎症を起こしている『けん』の部分に『腫れ』『熱感』『触ったときの痛み(圧痛)』といった症状が出ます。症状が強くなると、安静にしていても痛みを感じるようになります」

Q.タイピングのときに指の関節が痛む人の中には「突き指のような痛み」と感じる人もいるようですが、突き指とは違うのですか。

寺尾さん「突き指は指先に大きな力が加わったことで起こる指のけがによる症状で、さまざまな病態が含まれます。『突き指のような痛み』と感じる場合、関節炎であることが多いと思います。タイピングによる痛みは、けがに由来するものではないため、けがである突き指とは厳密には異なりますが、炎症を起こして、痛みが起きるという点では似ているといえます」

Q.手の酷使によって手や指、手首に違和感が出たとき、どうすればよいですか。

寺尾さん「基本的にはパソコンを使い過ぎないようにして、患部を安静にすることで改善が期待できます。しかし、極度に使い過ぎている場合、安静だけでは改善しないこともあります。アイシングや市販の湿布薬を使っても痛みが引かない場合、また、1週間以上痛みが継続するような場合、整形外科を受診することをおすすめします」

Q.病院を受診した際、どのような治療を行うのでしょうか。

寺尾さん「痛みや炎症を抑えるために飲み薬や貼り薬、塗り薬などを処方します。症状が強い場合、ギプスのようなもので固定することもありますし、サポーターを処方することもあります。また、レーザー治療器などを使った物理療法での治療も行います。ちなみに、病院ではありませんが、苦手でなければ、はりやきゅうを受けるのもよいでしょう。

なお、すぐに病院を受診することが難しいとき、自宅でできる応急処置としてはアイシングと固定(サポーター)が有効です。市販の湿布薬も有効な場合があります」

Q.パソコン操作のしすぎによる手や指の痛みを防ぐために、日常生活やパソコンの操作において、意識・行動するとよいこととは。

寺尾さん「やはり、パソコンを使い過ぎないことが重要ですが、実際はパソコンを使う機会や時間を減らすこと自体が難しい場合が多いと思います。その場合は極力、休憩を入れながら、作業を行うことが大切です。肩や体の側面(体側部)のストレッチをすることで、手への負担が減ることもあるので、日常的にストレッチを行うのもよいと思います。

また、タイピングやマウス操作をする際、手首の下にクッションを入れるなどの工夫をすることで、手首にかかる余分な負担が減り、痛みが出にくくなることもあります。ひどい炎症を起こしたけんは硬くなってしまい、なかなか、痛みが取れなくなってしまうこともあります。くれぐれも頑張り過ぎないことが大切です」