ファミリーレストランで「コンセント(電源)」付きの座席を見掛けるようになりました。コンセントがあれば、スマホの充電ができますし、ビジネスマンが食事の合間にパソコンを使うときも便利です。ところで、店がコンセント付きの座席を増やした場合、客が長時間滞在して店が混雑し、後から来た客が店を利用できなくなる可能性も考えられますが、その場合、店の経営にどのような影響を与えうるでしょうか。飲食店コンサルタントの成田良爾さんに聞きました。

近い将来、スタンダードに?

Q.ファミリーレストランで、座席にコンセントを設置する店が増えていますが、なぜでしょうか。

成田さん「一番の理由は客の利便性向上だと思います。今や、インターネットが生活に必要不可欠なことから、飲食店のビジネスモデルにネット的な視点を加える必要があります。例えば、客が店内でネットを快適に利用するために必要なコンセントや無料Wi−Fiを提供することが大事ですが、従来、日本の飲食店の多くはこれらの設備の導入が遅れていました。

ところが、新型コロナウイルスの影響で客数が減少したことから、テレワークをする人などに利用を促すため、サービス向上の一環として、導入する店舗が増え始めました。近い将来、飲食店でコンセントや無料Wi−Fiの導入が当たり前になると私は考えます」

Q.ファミリーレストランがコンセントや無料Wi−Fiを導入するメリット、デメリットについて教えてください。

成田さん「コンセントや無料Wi−Fiが使えることにより、スマホやパソコンを快適に使いたい客の来店促進につながることが大きなメリットといえます。ただし、ランチやディナーといった来店客のピーク時間帯に長居をされ、席がなかなか回転しない場合はかえってデメリットになります」

Q.ランチやディナーの時間帯に席の回転率が悪くなった場合、どのような影響があるのでしょうか。また、対策はあるのでしょうか。

成田さん「コンセントや無料Wi−Fiを使う客の消費額(客単価)が使わない客の消費額と同程度の場合、座席の回転率が悪くなれば、売り上げが下がって経営を圧迫します。そこで、店の回転数が悪くなることを想定して、何らかの対策が必要になります。例えば、『長居する客に追加オーダーを促して、客単価を上げる』『全席でコンセントや無料Wi−Fiが使えるように設定するのではなく、使用可能な座席数を限定する』『ランチやディナーの混雑しやすい時間帯は、コンセントや無料Wi−Fiを利用不可にする』などがよいでしょう」

Q.客の長居による売り上げの減少を恐れ、競合店がコンセントや無料Wi−Fiを導入する中でも、そうした設備を導入しない店もあるかもしれません。その場合、経営にどのような影響を与えるのでしょうか。

成田さん「設備を導入する競合店に比べて、客数や売り上げが大きく減少することはないとは思いますが、売り上げ拡大のチャンスを逃す可能性があります。確かに最近、『コンセントや無料Wi−Fiが使える店では、客が集中して、座席になかなか座れない』という話をよく聞くので、長居する客が少なく、座席の回転が速い店はこうした客の受け皿になる可能性はあります。

しかし、コンセントや無料Wi−Fiが使える店の需要が高まっている今だからこそ、『コンセントや無料Wi−Fiが使える店』を売りにすれば、今後はますます、客に選ばれる店となるでしょう。もちろん、導入時は先述のように客の回転率が下がらないための対策が必要です」