「暖房の効いた室内に長くいると、頭痛がする」。冬場、このような経験をしたことがある人は、少なからずいるでしょう。寒さが厳しい冬は、おのずと暖かい室内で過ごす時間が長くなるものですが、暖房の効いた空間に長時間いることで、頭痛や吐き気などの不調が出ることがあるようです。

 こうした症状について、「暖房が効き過ぎている空間にいると具合が悪くなる」「冬に自宅でエアコンを使うと頭痛がします」「何が原因?」「対策はある?」など、さまざまな声が上がっています。暖房によって起こり得る体調不良について、内科医の市原由美江さんに聞きました。

暖房による乾燥で脱水状態に

Q.冬場、暖房の効いた室内に長時間いると、体にさまざまな不調が出ることがあるのは事実でしょうか。

市原さん「事実です。皮膚や粘膜、呼吸から水分が失われることを『不感蒸泄(ふかんじょうせつ)』といいますが、暖房による乾燥で、不感蒸泄で失われる水分がさらに増えます。その結果、体内の水分が減って脱水を引き起こします。冬は寒さのせいで水分摂取量が減る傾向にあるので、ますます脱水を起こしやすくなります。脱水による症状として、目まいや頭痛、吐き気などがあります。

別の要素としては、寒い場所から暖かい部屋に移動したときなどの寒暖差によって、自律神経が乱れ、脱水時と同様に、目まいや頭痛、吐き気などの症状が出ることがあります」

Q.同じ条件下でも、こうした症状が出やすい人と出にくい人がいます。違いは何でしょうか。

市原さん「子どもや高齢者は脱水になりやすいため、暖房を長時間使用したり、温度差の激しい環境に置かれたりすると症状が出やすくなりますが、もともと、水分摂取を小まめにする人であれば症状は出にくいでしょう。ただし、寒暖差による自律神経の乱れは個人差が大きいため、どんな人でも極端な寒暖差を避け、暖かい部屋に入ったら上着を脱ぐなどして調整しましょう」

Q.空調による気温・室温の変化によって引き起こされる体の不調に「冷房病」がありますが、暖房によって起こる不調とはどう違うのでしょうか。

市原さん「冷房病は、冷房の使い過ぎや寒暖差の激しい部屋を行き来することで自律神経が乱れ、体温調整がうまくいかなくなった結果、冷えや倦怠(けんたい)感などの不調が現れます。冷房病は自律神経の乱れによる冷えが主な原因である一方、暖房で起こる不調は同じく自律神経の乱れに加え、脱水の要素もあります。どちらも、冷やし過ぎる/暖め過ぎることが一因なので、温度設定は過度にせず控えめにして、衣服で調整するようにしましょう」

Q.暖房による不調が出た際、どうしたらよいでしょうか。

市原さん「水分をしっかりと取り、暖房の効いた環境から離れて、しばらく様子を見ましょう。改善がなければ、別の病気の前兆の可能性もあるため、病院を受診した方がよいでしょう」

Q.冬の時季は、暖房の効いた室内で過ごすことを避けるのは難しいと思いますが、なるべく体の不調を引き起こさないために、どのような心掛けが必要でしょうか。

市原さん「先述の通り、暖房の温度設定を控えめにして、室内が過度に暖まらないようにし、エアコンの場合は風が直接当たらないようにしましょう。また、水分を小まめに取るとともに、不感蒸泄を少なくするために部屋の湿度を保つようにしましょう」