新年度となり、新たに加わった社員の歓迎会が行われている職場も多いと思います。コロナ禍であるため、歓迎会を職場で小規模に行うにせよ、居酒屋で行うにせよ、お酒を飲むことがあるかと思いますが、お酒を飲んだ後には、なぜか「締め」にラーメンを食べたくなるものです。とはいえ、夜にカロリーの高いラーメンを食べて「後悔した」という声もよく聞きます。「お酒の後、ラーメンを食べたい!」という人のために、後悔しない食べ方を管理栄養士の岸百合恵さんに聞きました。

「締めのラーメンは太る」は本当

Q.なぜ、お酒を飲んだ後にラーメンを食べたくなるのですか。

岸さん「お酒を飲むと、肝臓は糖質よりもアルコールの分解を優先し、アルコールを分解するためにエネルギーを使います。ただし、エネルギーが必要となっても、肝臓からブドウ糖が放出されず、血糖値が下がりやすくなります。

また、お酒のつまみには刺し身、焼き鳥、焼き肉、唐揚げ、冷ややっこなど、タンパク質や脂質の多い食べ物が多くて血糖値が上がらないため、体が炭水化物を要求します。さらに、アルコールが抗利尿ホルモンの分泌を抑えるため利尿作用が高まり、飲んだ分の最大1.5倍の水分が排せつされ、体は多くの水分を要求します。

ラーメンには、炭水化物に加えて水分のスープがたっぷりと含まれ、また、スープには動物性のうま味成分であるイノシン酸が多く含まれており、このイノシン酸にはアルコールの分解酵素を助ける働きがあります。

このようなアルコールの利尿作用と代謝の仕組みから、飲み会でたくさん食事をしても、『締めのラーメン』に行きたくなるのでしょう。意志の弱さだけでなく、体が欲することでもあります」

Q.「締めにラーメンを食べると太る」とよく言われますが、本当でしょうか。

岸さん「締めのラーメンは太る原因になります。アルコールは1グラムあたり7キロカロリーの熱量があります。炭水化物が4キロカロリー、脂質が9キロカロリーなので、比較的高カロリーです。

ビールなら中ジョッキ1杯、日本酒1合で約200キロカロリーと、ご飯1杯分を食べたことになります。しかも、熱として放出しやすいので、体はアルコールで摂取したカロリーを優先的に消費し、食べ物のカロリー消費は滞りやすくなります。

また、アルコールは代謝の関係から体内に脂肪をためやすくする働きがあり、内臓脂肪の増加の懸念があります。アルコールには食欲増進効果もあるので、食べ過ぎも心配です。

お酒の量によっても変わりますが、飲んで食べたその時点でも、十分なカロリー摂取となるわけで、さらにラーメンを追加すれば、その分がさらに蓄積されると考えてよいでしょう」

Q.締めにラーメンをどうしても食べたい場合、我慢した方がよいのですか。どのような食べ方をすれば後悔せずに済むでしょうか。

岸さん「お酒を飲んだ後のラーメンのおいしさは格別です。いつも我慢ばかりなのも寂しいので、回数をセーブしながら、また翌日の食生活で調整しつつ、たまには好きなものを食べればよいと思います。

後悔しないためには、できれば翌日の胃もたれを考え、ラーメンの種類を選ぶことです。スープは脂が少ないあっさり系を、具材もシンプルなものがよいでしょう。スープにすりゴマやニンニクを追加すれば、肝臓の働きを助けます。麺の量を腹八分目にできれば、おなかにもそこまで負担になりません。

お酒を飲むと脱水状態になりやすいので水も一緒に取り、ラーメンのスープはおいしいですが、脂肪や塩分を考慮して残すようにすれば、それだけでカロリーも塩分も大幅にダウンします。また、お酒の飲み方も工夫して、アルコール濃度の低いお酒を選ぶ、多めの水や炭酸水で割って薄めたりするとなおよいですね」

Q.「締めにラーメン」というと、一般的に店で食べることを指すと思いがちですが、カップラーメンや即席麺は、締めとしてどうなのでしょうか。

岸さん「お酒を飲んだ後の食事として、無性にカップラーメンやインスタント麺が食べたくなることはあると思います。基本的には、お店で食べる場合と変わりませんが、大盛りサイズでなければ300〜400キロカロリー台と多少カロリーは低めです。

締めにラーメンが健康的かといったら『NO』ですが、量や頻度で調整できれば、たまには『YES』だと思います。一緒に野菜も摂取できるとよいですね。ホウレンソウや小松菜などの葉物野菜は、カリウムが多く含まれているので、体内の余計な塩分を排出してくれる働きがあり、お勧めです」

Q.締めにラーメンを食べることにどうしても抵抗があるけど、何かをおなかに入れたいという人もいるかと思います。

岸さん「しじみのみそ汁は、肝臓を助けるのでよいといわれていますが、みそ汁であれば、アオサ、アサリ、ワカメ、豆腐など、どのような食材でも構いません。みそは、おなかにも優しく吸収のよいタンパク質であり、具材もヘルシーなので、疲れた内臓をいたわり、翌日に影響しません。

そのほか、茶わん蒸し、雑炊、野菜スープなど消化がよく、胃腸に負担がかからない食べ物を選ぶとよいでしょう。もう少し食べ応えを求めるのであれば、ジアスターゼという消化酵素が含まれている、とろろそば、麦とろ飯など山芋を使ったメニューがお勧めです」