石炭や液化天然ガス(LNG)などの輸入価格高騰の影響で、電気代が値上がりしています。そんな中、東京都の小池百合子知事が4月22日、住宅メーカーなどの事業者に対して、一定の新築建物に太陽光パネルの設置を義務付ける制度をつくる方針を明らかにしました。この表明に対して、ネット上では「うそだろ」「台風や地震で壊れないか心配」「将来的に廃棄物が増える」「東京で家を買えない」など、制度を不安視する意見が目立ちます。なぜ設置を義務化してまで、太陽光パネルの普及を推し進めるのでしょうか。東京都環境局の担当者に聞きました。

脱炭素化が不可欠

Q.住宅メーカーなどの事業者に対して、太陽光パネルの設置を義務付ける制度をつくる狙いや、義務化の時期について、教えてください。

担当者「一番の狙いは脱炭素化です。東京都は、『2050年に二酸化炭素(CO2)排出実質ゼロ』という目標を掲げており、その一環として、2030年までに温室効果ガスの排出量を2000年比で50%削減することを目指しています。都内のCO2排出量を見ると、建物関連からの排出が約7割を占めており、建物における脱炭素化が重要です。そこで、新築建物への太陽光パネルの設置義務化という制度を考案しました。

現在、都の環境審議会で設置義務化に関する議論が進められており、今後、条例を改正した上で義務化を始めます。なお、条例などの整備にはある程度時間がかかりますし、制度を事業者や都民に周知するための時間も必要になってくると思いますので、義務化の開始時期については、現時点では明確に答えられません」

Q.太陽光パネルの設置義務化の対象事業者について、教えてください。

担当者「住宅(注文・分譲)やビルなど、都内で1年間に供給する中小規模の新築建物(1棟の延べ床面積が2000平方メートル未満の建物)の延べ床面積の合計が2万平方メートル以上の事業者が対象です。住宅メーカーなど、約50社が該当します」

Q.太陽光パネルの設置にかかる費用は、住宅の購入者が負担することになるのでしょうか。それとも、事業者が負担するのでしょうか。また、老朽化した太陽光パネルを廃棄したり、取り換えたりする場合はどうでしょうか。

担当者「住宅メーカーなどの事業者が、太陽光パネルの本体費用などを住宅価格に上乗せして販売するケースが多いと考えられるので、実質的に住宅購入者が費用を負担することになります。また、太陽光パネルの廃棄や交換にかかる費用も、基本的に住宅購入者の負担となります。

ただし、『太陽光パネルの本体費用は、当社が負担します』といったサービスを提供する事業者が出た場合、住宅購入者が負担する費用は、契約先の事業者によって異なることになると思います」

Q.では、太陽光パネルの設置義務化が正式に始まった場合、都が事業者や住宅購入者に対して補助金を支給する予定はあるのでしょうか。

担当者「設置義務化に伴い、事業者や住宅購入者に補助金を支給するかどうかは、現時点では分かりません。ちなみに、本年度は、太陽光パネルの設置に関する助成制度を設けており、住宅所有者や事業者向けの補助金などを準備しているところです」

Q.太陽光パネルの設置義務化について、ネット上では「台風や地震で壊れないか心配」「将来的に廃棄物が増える」といった意見があります。太陽光パネルを設置することで、災害などによる破損や事故、火災が発生するリスクはないのでしょうか。

担当者「『どの程度の風で、太陽光パネルが吹き飛んでしまうのか』『どのようなときに事故が起きるのか』といったデータは持ち合わせていないので、設置によるリスクについては、こちらでお答えすることができません。太陽光パネルの詳細は、メーカーに問い合わせてください。

ただ、太陽光パネルの設置義務化の表明後、『台風などの災害時や火事のときに大丈夫なのか?』『リサイクルはどうする?』などの声を多く頂いているのは事実です。そこで、太陽光発電の関係団体と連携しながら、太陽光パネルの導入方法や、安全な管理方法などについて、都民に啓発していく予定です。

廃棄物の件ですが、太陽光パネルの製品寿命は20年から30年と言われており、また、太陽光パネルが住宅に設置されるようになったのは2011年以降なので、太陽光パネルの大量廃棄は、2031年以降に起きると予想しています。そのときに備えて、都の担当部署が、太陽光パネルのリサイクル手法などについて検討を進めています」

Q.太陽光パネルの設置後、災害による破損や事故、火災が発生した場合はどのように対処すればよいのでしょうか。

担当者「基本的に、メーカーが10年以上の保証期間を定めているケースが多いので、故障などが発生した場合、まずはメーカーに問い合わせた方がよいでしょう」

Q.事業者が太陽光パネルの設置義務に応じなかった場合、どのように対処するのでしょうか。

担当者「事業者に対して、指導や助言、指示、勧告、氏名公表などを行い、適正に対処するよう促します。今のところ、刑罰を科す予定はありません」