Appleは日本時間の6月7日、iPhone向けの最新OS「iOS16」を発表しました。今年の秋に一般公開する予定です。「iOS16」はiPhone8以降の機種に対応しますが、2016年発売のiPhone7などには対応しません。iPhone7ユーザーは今も比較的多いようで、ネット上では、「ショック」「まだ使えるのに」「iPhone7のバッテリーを交換したばかりなのに」などと、落胆の声が上がっています。もし最新のOSに更新しない状態でスマホを使い続けると、どのようなデメリットが生じるのでしょうか。ITジャーナリストの久原健司さんに聞きました。

セキュリティー面でリスク

Q.一般的に、スマホは何年程度、最新のOSに対応し続けるのでしょうか。iPhone、Android(アンドロイド)端末でそれぞれ教えてください。

久原さん「iPhoneについては、Appleが具体的なサポート期間を明記していないのが現状です。2015年に発売したiPhone6s(iOS9を搭載)は、2021年リリースのiOS15にも対応しましたが、過去の最新OSの対応事例から推測する限り、iPhoneの対応期間は約5年が目安になると考えられます。Android端末はメーカーごとに異なりますが、iPhoneより対応期間が短い傾向にあり、2年から4年です」

Q.スマホを最新のOSに更新するメリット、デメリットについて、教えてください。OSを更新することで、スマホのセキュリティーにどのような影響を与えるのでしょうか。

久原さん「最新のOSに更新することで、セキュリティーの脆弱(ぜいじゃく)性が修正されます。反対に、最新のOSに更新しない状態でスマホを使い続けた場合、スマホがコンピューターウイルスなどの脅威にさらされるリスクが高まるので、最新のOSに更新しておくことは、スマホを守る上で非常に重要です。他のメリットとしては、便利な新機能が使用できたり、スマホの動作の不具合(バッテリーの急激な減りなど)が改善されたりします。

デメリットですが、アプリによっては新しいOSに対応していないケースがあるほか、OSの更新直後に一時的な不具合が起きる可能性もあります」

Q.「iPhoneはAndroidよりもセキュリティーがしっかりしているから安心」といった話をよく聞きますが、これは事実なのでしょうか。それとも、iPhoneとAndroid端末とでは、セキュリティーの質はあまり変わらないのでしょうか。

久原さん「さまざまな比較対象がありますが、一般的にはiPhoneの方がAndroid端末よりもセキュリティーの質がやや高いと言われているようです。

分かりやすい点から言うと、iPhoneのアプリは、iOSのセキュリティー基準に合わせて制作しなければならず、基準を満たしていないアプリは『App Store(アップストア)』に公開することができません。それに対して、Androidのアプリは、ほぼすべてのアプリが『Google Playストア』に登録されるので、セキュリティー上、危険なアプリが含まれている可能性もあります。

OSの更新頻度も違います。iPhoneの場合は年1回のメジャーアップデート(新機能の追加などの大規模な更新)のほかに、年に数回、マイナーアップデート(不具合の修正などの小規模な更新)が実施されているのに対して、Androidは基本的に年1回の更新スケジュールで運用されています。そのため、新しく登場したウイルスに対して、iPhoneは比較的早いタイミングで対応ができていると考えられます。

ソースコード(プログラミング言語を用いて記述したソフトウエアやプログラムの設計図)については、セキュリティーに対する意見が分かれますが、iPhoneはソースコードを外部に公開しないことで悪意のある人からの攻撃を守る一方、Androidはソースコードを無償で外部に公開することで、セキュリティーやバグ(プログラム上の不具合や誤り)を修正する際に、世界中のエンジニアからサポートが受けられるようになっています」

Q.「最新OSに対応しなくなった」などの理由で、スマホを処分するときの注意点について、教えてください。リサイクルショップなどの買い取りサービスを使って処分してもよいのでしょうか。

久原さん「不要になったスマホは、ドコモ、KDDI、ソフトバンクのような大手キャリアに持ち込むのが一番安全だと考えます。これらの事業者は、キャリアやメーカーを問わず、携帯電話の無料回収やリサイクルを行っています。スマホだけでなく、ACアダプタや電池パックなどの付属品も引き取ってもらうことができます。

データの消去に関しては、ドコモとソフトバンクは、客の目の前で専用工具を使いスマホを破砕処理してくれるので、回収後に悪用される心配もありません。KDDIは、データのオールリセットを客の代わりに行ってくれます。もちろん、破砕処理を希望すれば、対応してくれるようですが、客の目の前で行うわけではないようです。

リサイクルショップなどの買い取りサービスを使って処分することは、セキュリティーの観点であまりおすすめはできませんが、事前にしっかりデータを削除した後に信頼のおける業者へ売却するのであれば、検討の余地はあると思います。

その際にまず行ってほしいことは初期化です。工場出荷状態に戻し、個人データを削除してください。Android端末の中には、SDカードを挿入できる機種もありますので、忘れずに抜いておきましょう。また、SIMカード(契約者情報を記録したチップがついた小型のICカード)に電話番号などのデータが記録されている場合もあるので、こちらも忘れずに抜いておくことをおすすめします」