イヤホンの使用後や、入浴した後などに、耳の中がかゆくなる人も多いのではないでしょうか。そんなとき、綿棒や耳かきを使って耳あかを取り除きたくなりますが、「綿棒や耳かきを頻繁に使ってはいけない」という話をよく聞くため、どうすればよいか迷うことがあります。そもそも、なぜ耳の中がかゆくなるのでしょうか。また、耳の中がかゆいときに綿棒や耳かきを使うと、どのような影響があるのでしょうか。わしお耳鼻咽喉科(兵庫県西宮市)の鷲尾有司(わしお・ゆうし)院長に聞きました。

触るとかゆくなりやすい

Q.耳の中がかゆくなる原因について、教えてください。かゆみがひどい場合、耳の病気を疑った方がよいのでしょうか。

鷲尾さん「耳の中でかゆくなる部分は、外耳(がいじ)と呼ばれる部位です。外耳は皮膚と同じで、過敏な状態になるとかゆみが出やすくなります。

例えば、(1)アレルギー体質などで皮膚がもともと過敏である場合(2)習慣的に耳掃除などをすることによって、自分で過敏な状態にしてしまった場合(3)真菌(かび)など、他の原因で外耳炎になってしまった場合――などにかゆみが出ます。

また、もともと皮膚が過敏な人がイヤホンを長時間使用したり、耳の中を触り過ぎたりした場合、余計にかゆみがひどくなるという負のループに陥ってしまいます。いずれにしても、病気の場合もあるので、耳鼻咽喉科を受診するのが良いでしょう」

Q.外耳が過敏な状態になると、かゆくなりやすいとのことですが、「気温や湿度が高い」「空気が乾燥している」など、気候が原因でかゆくなることはあるのでしょうか。

鷲尾さん「外耳が過敏な状態であれば、『気温や湿度が高い』『空気が乾燥している』など、気象の変化や汗などが軽い刺激となり、かゆみの原因となることがあります。

過敏な状態とは、皮膚のバリアー機能が壊れている状態のことを指します。この場合、かゆみを感じる神経がより表面に近く、むき出しになっているので、少しの刺激で反応してしまいます。例えば、花粉症の人が、花粉の時期に顔がかゆくなるのと同時に、耳の中もかゆくなることが多いのは、耳の中も過敏な状態になっているためです」

Q.例えば、「綿棒や耳かきを頻繁に使ってはいけない」という話をよく聞きますが、耳の中がかゆいときに綿棒や耳かきを使うと、どうなるのでしょうか。また、耳の中がかゆいときは、どのように対処したらよいのでしょうか。

鷲尾さん「『耳あかのせいでかゆくなる』とよく勘違いされますが、耳あかが原因で耳の中がかゆくなることはありません。耳あかは、もともと耳から自然に出ていく仕組みになっています。そのため、綿棒などで耳(皮膚)に触れる行為は逆効果で、悪影響でしかありません。

耳の中は自分で見ることができないので、触らないことが鉄則です。また、耳掃除は、基本的に自分でやらずに耳鼻咽喉科に依頼してください。

耳がかゆいときに『耳掃除』ということで綿棒や耳かきを使えば、罪悪感が薄れますが、基本的にはかゆみがあっても我慢することが大切です。もし我慢できれば、かゆみがひどくなることはありません」

Q.花粉が多く飛ぶ春は、耳あかの色が濃くなることがあります。耳あかの色によって、耳の中の状態が分かるものなのでしょうか。耳あかの色によって、耳の病気を疑うべきケースがあったら、教えてください。

鷲尾さん「かゆみと耳あか自身の変化には、大きな関係はないと思います。あくまでも耳あかの症状は、遺伝などの体質が大きく関与していると言われています。

ただし、耳あかに膿(うみ)などの分泌物が混ざった場合は、耳あかが変化したものかもしれません。その際は耳の病気を疑う必要があります。例えば、外耳炎や中耳炎などが考えられます。

耳の中はあくまでも見えない部分なので、自己判断はせずに、変だと思ったら、耳鼻咽喉科を受診してください」

Q.耳の中のかゆみを防ぐために、普段から取り組むべき対策について、教えてください。

鷲尾さん「耳の中のかゆみを防ぐポイントは、ずばり『触らないこと』です。綿棒や耳かきで触らないことはもちろん、自分で薬を塗ることなどもおすすめしません。あくまでも薬を使うのは、触らないようにするためです。

薬を使う場合は、使ったり使わなかったりを繰り返すのではなく、必要な時期に必要な量をしっかり使用し続けるようにしましょう。そのためには、自己判断するのではなく、耳鼻咽喉科で診察してもらってください」