旅行や出張のときにスーツケースを使う人も多いと思います。スーツケースは基本的に路上を引いて運ぶので、キャスター部分に汚れがたまる傾向にあります。そのため、使用後は手入れが欠かせません。旅行や出張で使ったスーツケースは、どのように手入れをしたらよいのでしょうか。また、手入れを怠った場合、どのようなデメリットがあるのでしょうか。スーツケースなどの製造を手掛ける、エース(東京都渋谷区)マーケティング部広報・PR、森川泉サブマネジャーに聞きました。

湿気の多い場所での保管はNG

Q.使用後のスーツケースの適切な手入れ方法について、教えてください。スーツケースの表面や内側、キャスター周辺に付いた汚れは、どのように取り除いたらよいのでしょうか。また、航空機の利用時にスーツケースの表面に貼られた荷物識別用のシールは、どのようにはがしたらよいのでしょうか。

森川さん「次の手順で手入れしましょう。

【外装】
<樹脂製スーツケースの場合>
ボディーからグライド(足)部分まで、水でぬらして固く絞った布巾でほこりや汚れを拭き取りましょう。表面に艶のある鏡面仕上げのスーツケースを拭く場合は細かい傷が付く可能性があるので、目の細かいクロスやマイクロファイバーを使うと、より安心です。

汚れが落ちない場合は、水で薄めた市販の中性ガラスクリーナーや中性洗剤に布巾を浸した後、固く絞ってから拭き取ってください。

<布製スーツケースの場合>
水(または中性洗剤を薄めた水)でぬらして固く絞った布巾を使い、洋服の染み取りをするようにポンポンとたたくように拭きましょう。最後にから拭きしてください。

【内装】
市販の除菌スプレーを吹き付けるか、全体を水拭きした後にから拭きします。水分をしっかり取り除くため、スーツケースを開いた状態で2〜3日ほど風通しの良い場所に陰干しして、十分に乾燥させてください。

【キャスター】
表面の汚れをタオルや雑巾で水拭きしてください。キャスター部分に絡まったごみや髪の毛は、歯ブラシや綿棒を使ってかき出しましょう。車輪がキーキーとうるさく音を立てている場合は、車輪の軸に市販の『サビ止めスプレー』を吹きかけます。

【シール剥がし】
空港で貼られたシールを剥がす際は、市販の『ラベルはがしスプレー』を使用しましょう。事前に色落ちしないか目立たない場所で確認した上で、シールが湿るくらい吹きかけ、2〜3分待ちます。その後、シールを剥がした後に残ったシール跡にもう一度スプレーを吹きかけ、乾いた布で拭き取ります。

別の方法として、ドライヤーの熱風を吹きかけるとシールが剥がれやすくなるので、シールを浮かせながらゆっくり剥がしてください」

Q.手入れをする際に、除菌ティッシュを使ってもよいのでしょうか。また、しばらく使わないために収納する際、スーツケース内部に乾燥剤や虫よけ剤を入れてもよいのでしょうか。

森川さん「除菌ティッシュに含まれる程度のアルコールであれば、問題ないと思います。乾燥剤や虫よけ剤を使うと、スーツケースの内部ににおいがうつってしまう可能性があります。使用は控えた方がよいでしょう」

Q.スーツケースに付いた汚れや、表面に貼られたシールを放置するなど、スーツケースの手入れを怠った場合、どのようなデメリットがあるのでしょうか。

森川さん「キャスターに付着した土やほこりなどの汚れを放置すると、キャスターの劣化が早まります。また、錠前やフレーム、ファスナーなどパーツ周辺に貼られたシールを放置すると、パーツにシールが詰まってしまうことがあります。また、シールが劣化するとカビが生えることがあります」

Q.手入れを終えたスーツケースは、どのような場所に保管するのがよいのでしょうか。例えば、クローゼットで保管してもよいのでしょうか。

森川さん「風通しの良い日陰に保管してください。湿気がこもるため、ビニールやダンボールに入れて保管しないでください。

スーツケースに湿気は大敵です。湿気の多い場所に保管すると加水分解(空気中の水分や湿気によって発生する分解反応)を起こし、内装生地やキャスターなどが劣化してしまいます。基本的にそのまま保管しても問題ありませんが、製品によっては購入時に不織布の袋が付いていることがあるので、ほこりが気になるようであれば、そちらの袋に入れて保管してください。

クローゼットなどで保管する場合、『湿度が低い』『空気がこもらない』『日光が当たらない』といった条件であれば問題ありません」

スーツケースの買い替えの目安は?

Q.スーツケースの耐用年数や、買い替えの目安について教えてください。例えば、「スーツケースにカビが生えた」「キャスターや持ち手が壊れた」といった場合、買い替えを検討した方がよいのでしょうか。

森川さん「スーツケースの耐久年数は、品質や使用状況によって異なるので一概には言えません。『スーツケースが見るからにくたびれている』『壊れてしまった』といった場合は、修理や買い替えを検討してください。

スーツケースにカビが生えてしまった場合、水でぬらして固く絞った布巾で、カビが生えた場所を中心に全体を拭き取ります。その後、事前に色落ちしないか確認した上で、消毒用エタノールをカビが生えた場所にかけて数分放置し、乾いた雑巾やブラシでカビをしっかりとこすり落とします。カビを取り除いた後は、再度消毒用エタノールで全体を除菌しましょう。

除菌後、再びカビが生えるのを防ぐため、しっかりとスーツケースを乾燥させてください。天日干しをする際は、紫外線量の多い『午前10時〜午後2時』が良いとされています。

布製スーツケースや内装生地にカビが生えてしまった場合、消毒用エタノールを布巾に含ませ、ポンポンとたたくようにカビを拭き取ります。その後、消毒用エタノールをカビが生えた場所にスプレーし、乾いてきたら掃除機をかけ、再びカビが生えないよう、しっかりと乾燥させます。内装生地は、修理で交換できる場合もあります。

キャスターや持ち手の破損は、スーツケースの使用感だけでなく、安全上問題があるため、修理か買い替えを検討してください」