サントリー(東京都港区)が11月15日に発売した、アルコール度数16%のビール「ビアボール」が注目を集めています。従来のビールとは違い、氷を入れ、炭酸水で割って飲むことを前提に開発された商品で、ネット上では「一度飲んでみたい」「おいしそう」「面白そう」といった意見が上がっています。なぜビールを炭酸水で割るという発想に至ったのでしょうか。そのまま飲んでもおいしいのでしょうか。同社マーケティング本部イノベーション部の佐藤勇介さんに聞きました。

“自分好み”の味にアレンジ

Q.まず「ビアボール」を開発した狙いについて、教えてください。なぜビールを炭酸水で割るという発想に至ったのでしょうか。

佐藤さん「ビール類市場は、2004年を境に17年連続前年割れの大変厳しい状況です。いま一度、お客さまにビールのおいしさ、楽しさをお届けし、ビールをもっと好きになってもらいたい、そして、もう一度ビール市場を活性化させたいという思いから、ビールの楽しさを広げる新たなカテゴリーの創造に挑戦しました。

そこで着目したのが、『自由さ』『楽しさ』です。社会環境やライフスタイルの変化に伴い、『あなたらしさ』という多様性が尊重される時代だからこそ、もっと自分らしく自由に、そして、もっと楽しいビールもあっていいのではという思いから『お客さまが自由に好きな味わい、アルコール度数を選べる』という価値を見いだしました。

ビアボールのアルコール度数は16%ですが、炭酸水や氷を使うことで自由にアルコール度数を調整できます」

Q.ビールは氷を入れて飲んだり、他の飲み物で割って飲んだりしないケースが多いと思います。氷や炭酸水を入れると水っぽくなり、おいしく飲めないのではないでしょうか。

佐藤さん「これまで培ってきたサントリーのビール醸造技術を結集しながら、炭酸水と氷を入れることを前提とした中身づくりに取り組みました。具体的には、氷を入れ炭酸水で割ってもしっかりと感じられる麦のおいしさと、時間が経過しても崩れない味わいと香りのバランスです。炭酸水と氷を入れても、おいしさを味わえます」

Q.ビアボールは、炭酸水や氷を使わずにそのまま飲んでも問題ないのでしょうか。

佐藤さん「炭酸水や氷を使わずにそのまま飲む場合(ストレート)、あるいは氷だけ入れて飲む場合(ロック)は、麦のうまみや複雑味を感じることができ、ビールをゆっくり味わえるので、従来のビールにはなかった“新感覚”を楽しめます」

Q.ビアボールと一般的なビールとを比べた場合、原料はどう違うのでしょうか。

佐藤さん「ビールは、酒税法で原料(麦芽・ホップ・糖類)が決められています。そのため、ビアボールは基本的に麦芽、ホップ、糖類しか使っておらず、一般的なビールと変わりません」

Q.ビアボールを炭酸水で割るときの適切な割合について、教えてください。炭酸水ではなく、水で割ってもおいしく飲めるのでしょうか。

佐藤さん「当社が推奨している『ビアボール:炭酸水=1:3(アルコール度数約4%)』で割った場合、苦みが少なく、ほどよいビール感で爽快な飲み口が感じられます。また、『ビアボール:炭酸水=1:1(アルコール度数約8%)』は、濃密なコクと余韻のあるしっかりとした従来のビールらしい味わい、『ビアボール:炭酸水=1:7(アルコール度数約2%)』はレモンを搾ることも想定し、軽快な飲み口が特長となっています。

なお、水で割ると、炭酸の爽快感はなくなってしまいますが、新しい味わいとして、おいしくお飲みできるかと思います。

作り方によって多彩な味わいが楽しめるのがビアボールの特長なので、お客さまの好みに合わせていろいろと試していただき、楽しんでいただけるとありがたいです」

Q.ビアボールとレモンは、相性がよいのでしょうか。また、レモン以外にビアボールと一緒に混ぜるとよりおいしくなる飲み物や食べ物があれば、教えてください。

佐藤さん「レモンは、ビアボールと相性がよいと思っています。レモンを搾ることでよりレモン独特の爽快感が増すので、すっきりした味わいを楽しめると思います。

飲み方のアレンジに関しては、メーカーの一方的な押し付けではなく、新しい価値をお客さまとともに見いだしていくという柔軟性を持って、ビアボールの楽しさを広げていきたいと思っています」

Q.飲食店向けの業務用商品については、すでに7月に先行販売を開始したそうですが、評判はいかがでしょうか。また、11月15日に発売した家庭用商品の出荷状況は。

佐藤さん「想定以上に飲食店さま、お客さまからご好評いただいています。7月から9月の先行販売期間での取扱店舗数は約700店舗を目標としていましたが、8月末時点で1000店舗を突破。正式に業務用商品の販売を始めた10月4日時点では、約2500店舗でお取り扱いいただいております。その後、取扱店舗は約3500店舗に拡大しています(11月10日時点)。

家庭用商品(小瓶)の発売時の一斉出荷数量は、約4万ケース(1ケースは、大瓶換算で633ミリリットル×20本)で、金額ベースでは約7億円を見込んでいます。また、大手コンビニ3社(セブン-イレブン・ジャパン、ローソン、ファミリーマート)が商品の採用を決めました」