中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の部会に10月、2つのワーキンググループ(作業部会、WG)が設置され、精力的に会合を重ねています。世間ではあまり注目されていませんが、義務教育と高校の在り方を抜本的に変えるような提言につながる可能性を秘めています。

「親部会」の長い正式名称、重点はどこに

 WGを設置したのは、正式名称を初等中等教育分科会「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた学校教育の在り方に関する特別部会」といいます。いかにもお役所的な長い名前で、これだけでは何を検討する部会なのか、よく分かりません。実際、2月の初会合で「教科書・教材・ソフトウエアの在り方WG」を設置してから、約8カ月の休眠状態に入っていました。

 だから特別部会の重点が、前半の「個別最適な学びと協働的な学び」に力点が入っていると理解されても、無理はありません。デジタル教科書・教材などの導入が、授業と学びの在り方を一変させる可能性を秘めているからです。

 しかし、略称が「学校教育の在り方特別部会」ともされていることに注目すべきでしょう。一変した授業と学びの先に、「学校教育制度そのものの見直し」も展望しているとみられるからです。

内閣府の提起を受けて

 特別部会の設置が決まったのは、1月の初中分科会でした。内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)「教育・人材育成WG」が2021年末に公表した中間まとめの提起を受けて、急きょ設置されたものでした。

 2022年6月に岸田文雄首相を議長とするCSTI本会議で正式決定された「Society 5.0の実現に向けた教育・人材育成に関する政策パッケージ」では、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実させることで、これまで同一年齢(学年)を対象にした一つの教室で教科の一斉授業を行うという「縦割り」(垂直構造)が基本だった学校教育の在り方を、必要に応じて社会や民間の力も借りながら「多層構造・協働体制」(レイヤー=階層構造)に変えていくことを提言。関係府省庁を挙げて探究・STEAM(科学、技術、工学、芸術、数学)教育を社会全体で支える先に、2027年にも学習指導要領を改定して(小学校の全面実施は2030年度の見込み)「教育内容の重点化、標準授業時数の弾力化」を目指すという青写真まで描いていました。

「仕掛け人」は文科官僚

 CSTI教育・人材育成WGの「仕掛け人」は、文部科学省で2度の指導要領改定に携わり、内閣府に出向していた合田哲雄審議官(9月より文化庁次長)でした。合田審議官は当時、筆者のインタビューに答えて、小学校など学校段階別が基本だったカリキュラムを初等教育などの「教育プログラム」に替えることで、教育制度も再構築すると説明していました(拙著「学習指導要領『次期改訂』をどうする―検証 教育課程改革―」、ジダイ社)。大学の学部教育が「学士課程教育」に替わるなど、高等教育の「学位プログラム」と同じ発想です。

 いずれにしても特別部会とWGの議論が、学校教育制度とカリキュラムの大きな改革につながることは間違いありません。文科省事務局は2つのWGに対して、第11期中教審の任期(2年間)を迎える2023年2月中をめどに、論点整理を行うよう要請しています。学校教育の本格的な「構造改革」の骨格が、非常にハイスピードで固まっていくことも予想されます。