会計時におつりとして紙幣を受け取ったときに、部分的に破れていることがあります。中には破れた部分が気になってしまい、シールやセロハンテープで修復する人もいるようですが、こうした行為はお札の偽造や変造と同様、犯罪に当たるのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

日本銀行の窓口で交換を

Q.シールやセロハンテープなどでお札を修復する行為は違法なのでしょうか。

牧野さん「お札が破れたためにテープで修復したとしても、偽造とはいえません。しかし、お札にテープなどが貼られていると、偽造や変造を疑われる可能性がありますので、破れた場合はテープで貼らずに日本銀行へ行って交換してもらうことをお勧めします」

Q.では、お札を破る行為は罪に問われるのでしょうか。

牧野さん「お札については、損傷および加工自体を取り締まる法律はありません。ただし、行使(使用)目的での加工は刑法148条の『通貨偽造および行使罪』(無期または3年以上の懲役)に該当します」

Q.手元にあったお札が偽造や変造されたもので、偽造や変造と知らずに使った場合、罪に問われる可能性はありますか。

牧野さん「『行使の目的』が必要ですので、事情を知らない場合、罪に問われないでしょう。一方で、その貨幣(硬貨)やお札が偽造や変造であることを知って使った場合は、その価額(硬貨やお札の額面額)の3倍以下(ただし最低2000円)の罰金または科料に処せられます(刑法152条)」

Q.以前、アート作品的に加工された日本の硬貨が、エジプトのコイン店で販売されていたというニュースが話題になりました。加工された硬貨を国外で購入し、日本に持ち帰るのは違法なのでしょうか。

牧野さん「そもそも国内では、目的にかかわらず、故意に硬貨を損傷したり、鋳つぶしたりする行為は禁止されています(貨幣損傷等取締法)。従って、硬貨の加工は違法です。また、関税法で硬貨の偽造品、変造品および模造品の輸入が禁止されていますので、加工された硬貨を日本国内に持ち帰る行為も違法です」

 日本銀行の担当者にも聞きました。

Q.お札にセロハンテープやシールなどが貼られていた場合、価値がなくなるのでしょうか。

担当者「セロハンテープやシールなどが貼られても、価値がなくなるわけではありませんが、スーパーやコンビニなどで使おうとする際、使用を断られる可能性も考えられます。また、テープやシールを無理に剥がそうとすると、お札が破損する恐れがあります。

現在、日銀の本店・支店で損傷紙幣の引き換えを行っているので、テープやシールが貼られたお札をお持ちの場合、窓口への持ち込みをお勧めします」

Q.破損したお札の交換は、郵送でも受け付けているのでしょうか。

担当者「当行では、あいにく郵送による引き換えは受け付けておりません」

 日銀では、破損したお札の面積が3分の2以上残っていれば全額、5分の2以上3分の2未満残っていれば、半額を支給すると定めています。