犯罪者を逮捕するときに必要とされる「逮捕状」。刑事ドラマなどでも「逮捕状を取った」「逮捕状が出ている」といったセリフが聞かれることがあり、言葉としてはよく知られていますが、実際の逮捕状にどんなことが書かれているかを知っている人は少ないかもしれません。「逮捕状」には何が書かれているのか、芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

「有効期間」の記載も

Q.そもそも「逮捕状」とは何ですか。

牧野さん「まず『逮捕』とは、被疑者に対してその逃亡や罪証隠滅を防止するため、一定の時間、身体拘束をする強制処分のことです。

無罪である者を強制的に拘束することになるリスクも考慮して、逮捕は慎重に行わなければなりません。そこで、『現行犯逮捕』や『緊急逮捕』といった逮捕状が要求されない場合ではなく、『通常逮捕』を行うためには逮捕状が必要になります。

逮捕状は『令状』の一種で、裁判官が警察や検察などに対して発行する『逮捕許可状』という意味を持ちます。強制的に執行するものなので、被疑者への不当な権利侵害が起こらないよう、裁判官による許可が必要となります。なお、令状には他に、家宅捜索に対する『捜索差押許可状』、身体検査に対する『身体検査令状』、鑑定に対する『鑑定処分許可状』などがあります。

逮捕状請求時には被疑者の氏名、年齢、職業、住所、罪名、被疑事実の要旨、逮捕が必要な理由、その他所定の事項を記載します。氏名が不明であっても、体格や人相といった情報から特定できれば問題ないとされています」

Q.逮捕状には、どんなことが書かれているのですか。

牧野さん「逮捕状には氏名、罪名、被疑事実の要旨が記載されます。また、有効期間の記載もあり、その期間は原則7日間として定められています(刑事訴訟規則300条)。

なお、逮捕状は、被疑者に内容を読み聞かせる必要はありませんが、被疑者に示さなければいけません(刑事訴訟法第201条)。逮捕状を被疑者に示せば、通常は被疑者がそれを読み、理解することになります」

Q.被疑者側が、逮捕状の請求を取り下げることはできるのでしょうか。

牧野さん「被疑者側が逮捕状の請求を取り下げることはできません。なお、期限内に逮捕の必要性がなくなったり、逮捕状の有効期限が切れたりした場合は、警察や検察は裁判所に逮捕状を返還する必要があります。

逮捕は、身体拘束が短期であるとの理由から、逮捕の違法性を争う法的手段が設けられていません。逮捕の違法性を主張するには、『検察官や警察官に申し入れる』か『勾留請求がされた際に、裁判官に対して申し立てる』か、あるいは『準抗告』(勾留決定がなされた場合に行う)や、『勾留取消請求』(勾留理由がなくなった場合に行う)の手続きで争うことになるでしょう」