「愛猫には、いつまでも元気で長生きしてほしい」。猫と一緒に暮らす飼い主の“共通の願い”だと思います。実際、猫は平均寿命が比較的長いといわれていますが、愛猫に長生きしてもらうために、飼い主ができることはあるのでしょうか。ますだ動物クリニック(静岡県島田市)院長で獣医師の増田国充さんに聞きました。

猫の15歳は、人間でいう70代後半に相当

Q.「猫は平均寿命が比較的長い」といわれることがありますが、実際にそうなのでしょうか。寿命に影響する要因も教えてください。

増田さん「ペット保険大手のアニコム ホールディングスが発表した『家庭どうぶつ白書2023』によると、2021年度の猫の平均寿命は14.7歳であり、10年前と比べるとおよそ半年ほど寿命が伸びたことが報告されています。

この理由として、完全室内飼育の猫の割合が増加したこと、またそれにより猫の健康状態をつぶさに観察できることから、猫が適切なタイミングで医療を受ける機会が増加したことも影響しているでしょう。猫の飼育頭数の増加に合わせて純血種の割合が増加し、それに伴って、その品種特有のかかりやすい病気も統計上明らかになっています。

現在でも、屋外で生活する猫は、室内飼育の猫と比べてけんかや交通事故、さらには多様な感染症にさらされるリスクが増えるため、それも寿命を短くする要因となります。

なお、猫における人間の年齢換算は諸説ありますが、おおよそ8歳を超えたあたりから『シニア期』としているものを多く見かけます。猫の15歳は、人間でいう70代後半に相当します」

Q.猫ができるだけ長生きできるようにするために、飼い主ができること、逆に控えた方がよいことはありますか。

増田さん「病気やけがのリスクを考慮すると、獣医師の立場から完全室内飼育が推奨されます。家庭に猫を迎え入れるケースの中には、拾ったり、譲り受けたりすることがありますが、その際、既に風邪の既往歴や、猫白血病ウイルス、猫免疫不全(通称「猫エイズ」)ウイルスを持っていることがあります。私たち人間が、人間ドックをはじめとした健康診断を受けることと同様に、猫の健康状態をチェックしておくことで、愛猫の体のわずかな変化や個々による身体的な特徴などを把握することができます。

近年、猫の食事は品質が向上し、これも猫の高寿命化に寄与していますが、適切な量を与えることが重要です。室内飼育の猫の場合、摂取するエネルギーが消費するエネルギーを上回り、肥満になりやすいところが注意点です。与える食べ物が過剰にならないよう配慮しながら、コミュニケーションとしての猫との遊びを通じて、運動する機会をつくってみましょう」

Q.ちなみに、飼っている猫の年齢(生後◯年)が分からない場合、動物病院で調べてもらうことはできるのでしょうか。

増田さん「子猫の頃におうちに迎え入れた場合は、ある程度年齢が定まりますが、保護猫や、既に体格が成猫となっている場合は、なかなか年齢の判断がつけにくいことがあります。

子猫の場合は、その体格や目の開き具合、乳歯あるいは永久歯のそろい方などを参考材料としています。目が開いていない小さな猫は生後1週未満、乳歯が生えそろうのは生後1.5カ月くらい、永久歯への生え変わりは4〜5カ月くらいからとなります。

成猫の場合は永久歯の色や歯石の付着、歯肉の状態を参考にしますが、個体差があるため誤差も生じやすくなります。動物病院で獣医師がおおよその年齢を推定してくれるので、検診と合わせてご相談ください」