離婚しようとする夫婦にとって、「血液型別の傾向と対策」とはどのようなものなのか、A型妻(34歳)とO型夫(31歳)のケースを、男女問題の専門家である筆者が紹介します。後編の今回は、調停を経て離婚が成立するまでを描きます。

「ああ、あれは冗談だから」と翻意した夫

「完全に想定外でした。あのときは『やった!』と思ったのですが」

 明子さんはただただ、あぜんとするしかありませんでした。離婚の話し合いがあっけなく成功したので、明子さんは拍子抜けしてしまったそう。やはり、O型の夫は与しやすい相手。わざわざ想定問答集を用意しなくてもよかったので、取り越し苦労に終わった形。一見すると明子さんの心配は杞憂(きゆう)に終わったように思えますが翌週、明子さんは役所で離婚届を受け取り、親権や養育費を書き起こした念書を用意し、「これに書いてちょうだい!」と突きつけると…。

「ああ、あれは冗談だから。真に受けたの? 俺にもいろいろあるから、今、離婚できるわけないでしょ?!」

 夫は明子さんをあざ笑うような口ぶりで悪気なく言い放ったのですが、自分だけでなく、妻子の人生も左右する大事な決断をわずか1週間で翻意したのだから悪質でしょう。

「もう頭にきちゃいました! 『猫なで声の鬼心』とはこのことですよ!!」

 明子さんは声を荒らげますが、どうしたら傷つかないか…A型とO型では危機管理意識がまったく逆です。A型は傷つかないよう事前の準備を欠かしませんが、一方のO型は傷つきたくないという一心でその場しのぎのうそをつくのです。

 明子さんは夫が承諾するまで、想定問答集を用いて夫の悪口や不満、愚痴を言い続けるでしょうが、明子さんの怒りを鎮火するには丸のみするしかない。空気を読むスペシャリストのO型夫は瞬時に察知したので、「承諾するつもりがないのに承諾する」といううそをついたのでしょう。O型はうそをつくことで修羅場を何度も乗り切ってきた成功体験が染み付いているので、「自分を守るためのうそ」なら悪気はなく、ピンチに陥ったらうそをつくのは慣れっこ。

 本来、うそをつきたい衝動に駆られたときに邪魔をするのはプライド。しかし、プライドより自分の方が大事なら関係ありません。やましいところはみじんも感じられないので、本人以外が虚言か否かを見抜くのは難しいです。O型には、うそを正当化できるという意味で「人間の弱さ」が凝縮していると言えるでしょう。

同じ女性である、夫の母親に電話

「とにかく、お前の言いなりになるのが嫌なんだ!」

 31歳の夫はまるで2歳児の嫌々期を思わせるような駄々のこね方を繰り返したのですが、理由もなく「嫌々」と言っても許されるのは2歳児だけ。31歳の夫は許されるはずもないのですが、「なぜ離婚したくないのか」「離婚しないのなら関係を修復するのか」「今までの言動をどのように改めるのか」など個別具体的な話は一切せず、嫌々と言い続けたので、明子さんはまるで大人の顔をした子どもと接しているようだったといいます。

 明子さんは、これではらちが明かないので、代わりに夫を説得してくれそうな協力者を探すことにしたのです。明子さんが頼りにしたのは夫の母。互いに同じ女性、妻、そして母なので自分の気持ちを理解してくれるはず。夫の母に電話をかけ、「一度は離婚してもいいって言ってくれたのにひどすぎませんか?」と訴えかけたのです。

「息子からそんな話は聞いていないわ。私はあなたに愛想を尽かされるような子に育てた覚えはありません!」

 夫の母はそんなふうに一喝してきたのですが、それもそのはず。夫は母に対して離婚の2文字をひた隠しにし、都合のいいことしか伝えていなかったので寝耳に水です。

「待ち合わせにちょっと遅れたくらいで離婚するんじゃ、何回離婚しても足りないわよ。私もお父さんを何度も許してきたわ。誰にも間違いはあるし、許し合うのが夫婦ってものでしょ?」

 母は明子さんではなく夫の肩を持ったのですが、夫側の人間なのだから、当然といえば当然。赤の他人の嫁よりおなかを痛めて産んだ息子の方がかわいいに決まっています。

「夫婦のことは夫婦で話してちょうだい。こんなことで私を巻き込まないで!」

 母はそう言うと、一方的に電話を切ってしまったのです。母が味方ではなく敵だということは明子さんにとって予想外でした。期待していた母に裏切られ、明子さんは途方に暮れてしまったのです。

 O型の評判はきわめて良好です。例えば、あなたはO型の家族や友人、同僚のことを「人当たりがいい」「信用できそう」「普通の人」だと思っているでしょうが、あくまで外面がいいだけ。人に合わせるのが苦にならず、口がうまく、「いい人」を演じ切るのですが、本当に「いい人」かどうかは別問題です。明子さんの夫も外では散々、悪事を積み上げてきたのに、内では「いい子」ぶっていたので、母はだまされ続けてきたのでしょう。

調停委員に夫の説得を委ねた妻

 それでは、明子さんがO型夫から再度、離婚の同意を取り付けるにはどうしたらよいのでしょうか。

 O型はドラえもんの「スネ夫」のイメージ。上下関係に敏感で、自分より目上か目下かを察知する能力にたけています。例えば、目上のジャイアンにこびを売り、目下ののび太を影でたたくことで自分の居場所を確保する、小物臭たっぷりの脇役ですが、明子さんの夫も例外ではありません。離婚における目上の人物は例えば、弁護士や裁判官、そして、調停委員が挙げられます。

 明子さんが弁護士に依頼し、夫の説得を任せれば、夫は弁護士が目上の人物だと判断し、ヘビににらまれたカエルのように縮み上がるでしょう。しかし、弁護士に支払う報酬は明子さんにとって高額すぎました。手付金として30万円、成功報酬として養育費の2割を提示されたので泣く泣く諦めるしかありませんでした。

 一方、家庭裁判所へ離婚調停を申し立てる場合、申し立ての費用(印紙や切手)は2万円もかかりません。明子さんは離婚調停の中で、裁判所という場所で、裁判官や調停委員という夫にとって格上の相手に夫を説得してもらうことにしたのです。

 明子さんを担当する調停委員は還暦過ぎとおぼしき男性と女性。明子さんは離婚や親権、養育費について想定問答集を見せつつ過去の経緯、特に一度、離婚に同意した夫が翻意したことを説明したのですが、女性の調停委員は「よくできているわね」と褒めてくれ、あっという間に調停委員を味方に引き入れることに成功したのです。

 ところで、同じ内容でも誰の口から発せられるのかで印象は大きく異なります。実際、調停委員が夫に伝えた内容は、明子さんが夫に伝えた内容と大差なかったかもしれません。しかし、O型の夫は目下の明子さんではなく、目上の調停委員に代弁してもらうことで「この人たちには逆らえない」と悟り、結局、明子さんが当初提示した条件と同じなのに調停の場で再度承諾したのです。明子さんが用意した想定問答集は遅ればせながら、離婚調停の場で役立ったのです。

 最初の段階で離婚が成立していれば、夫、妻、そして、子の戸籍には「協議離婚」と書かれているはずでした。しかし、夫が途中で翻意した結果、戸籍には「調停離婚」という烙印(らくいん)が押されたのです。協議離婚より調停離婚の方が「別れるときに揉めに揉めた」という印象を与えるので見栄えが悪いのは言うまでもありません。O型夫の優柔不断のせいで、明子さんだけでなく娘さんの将来にも暗い影を落とすことになったのは、残念としか言いようがありません。

 このように、血液型によって思考や感情、そして行動や言動に「偏り」があるのですが、予備知識として前もって知っておくことが重要です。夫婦の離婚専用の「血液型別の傾向と対策」は私の知る限り、現在、世の中に存在しない全く新しい内容で初の試みですが、O型夫との間でトラブルに巻き込まれた場合に活用してもらえればうれしいです。