円満に離婚するために「離婚式」を行う夫婦がいるそうです。日本よりも離婚率の高い米国では、離婚式を行う夫婦が多いようですが、日本でも数年前から始まり、式をプロデュースする「離婚式プランナー」という民間資格もあります。

 年間20万組以上が離婚する日本では今後、式に招かれる人が増えるかもしれません。もし、式に招かれ、友人代表としてスピーチを頼まれたら、どのようなことを話せばよいのでしょうか。離婚式の内容も含めて、離婚事情にも詳しい夫婦カウンセラーの木村泰之さんに聞きました。

パイを投げ合って「純な気持ち」に

Q.そもそも「離婚式」では、どのようなことをするのですか。

木村さん「離婚式は、離婚を決めた夫婦、もしくは離婚した旧郎や旧婦が、その親族や知人に『人生を再び頑張る』ことを誓うための儀式です。結婚式のイメージに似ているところがあり、離婚に至った経緯や当事者からの一言、友人からのあいさつ、結婚指輪をハンマ―でたたいて壊す儀式、出席者での会食などを行う流れです。

中には、オプションで『化粧崩し』『お色崩し』といって、いわゆるパイ投げを行うこともあります。両家に分かれてパイを投げ合い、顔を白く染めて、結婚当初の『純な気持ち』に戻ろうという意味で行われます。

そもそも離婚式は、招待する側がこれからの人生を前向きに頑張ることを知らせたいという意思の表れです。そういう意味で、暗いイメージではなく終始明るい雰囲気で進行します。招待される側もポジティブな気持ちで参加できる式です」

Q.一般的に、離婚することをあまり大々的に知らせたいと考える人は少ないと思います。それでもなぜ、離婚式を行う夫婦がいるのですか。式を行うメリットは何ですか。

木村さん「世の中には、離婚をマイナスイメージに捉えている人も少なくありません。離婚する状況に陥ると『結婚するときにあんなに祝福してもらったのだから、人には言えない』『もう二度と顔も合せたくない』というケースもあります。

しかし、中には、やむにやまれぬ事情で離婚することになった人もいます。そういう人は『離婚してもお互いに人間関係は保ちたい』『お互いの親族とは良好な関係でいたい』『子どもにもいい関係でいることを分かってもらいたい』『友人や知人にも、今まで通りの接し方をしてもらいたい』というケースもあります。

そういう人にとっては、『離婚をマイナスに考えていない』ことをオフィシャルに知ってもらえる場になるのです。また、離婚式を挙げることで、その後の人生へ背中を押してくれる人が数多くいるのを感じることができます」

Q.離婚式には、友人代表でスピーチする機会があるそうです。もし頼まれたら、どのような内容を話したらよいのでしょうか。

木村さん「スピーチをする人は、離婚経験者から選ばれることが多いはずです。離婚してから前向きに捉えていることや人生観が変わったこと、または、離婚という経験が糧になっていることなどをお話しされるといいでしょう。

例えば、離婚したことで『自分の人生の中で、子どもとの親子の絆がより強くなった』『親を大事にする気持ちが昔より大きくなった』『夫婦という形式では分からなかった関係性が元妻とできてきた』など、失うことだけではなく、自分の気持ちに新たに生まれたことなどをお話しするのもいいでしょう」

Q.もし、離婚を経験したことがない人がスピーチをすることになれば、何を話せばよいですか。

木村さん「もし、ご自身に離婚経験がなくてスピーチを依頼された場合、堅苦しい話はもちろん不要です。結婚していたときと同様、今後もお付き合いしたいということや、お子さんの成長も知りたいといった内容のお話をすればよいでしょう。

また、そもそも離婚式を挙げようとするお二人やご親族の前向きな生き方を称える、その姿勢に賛同するなど、離婚式に参加させてもらったことで新たな人生観ができたというような、共感する心情をスピーチするとお話ししやすいはずです」

Q.離婚式は、結婚式のようなお祝いの気持ちや服装で出席するケースとは異なるように思います。どのような気持ちや服装で出席したらよいのでしょうか。

木村さん「離婚式にはドレスコードがなく、基本的には、主役の二人より目立たない服装を意識するとよいでしょう。それでもよく分からないという場合は、旧郎や旧婦にあらかじめ聞いておいて決めるのもよいでしょう。貸衣装などではなく自前の服装でいいのですが、想像していたよりも旧郎、旧婦の服装が派手な場合もあるので、色合いを知っておいた方が、当日困らないでしょう」

Q.離婚式は、離婚後の新たな人生を歩むことにおいてどのような意味を持ちますか。離婚率が以前よりも高まった日本でも、今後増えそうでしょうか。

木村さん「離婚という事実を他の人にも見てもらうことにより、マイナスではなくプラスに捉える意識が芽生えます。また、離婚の事実をある程度時間が経過してから知られるよりも、リアルタイムに知ってもらうことで、早く次の人生に目を向けることができます。

その時間のロスは結構大きなことで、『しばらくは離婚は伏せたい』という思いが、人との接触を避けることになります。そうなると、人生の中でも新たな出会いや、縁を作ることができないままになってしまいます。そういう意味では、そのロスを避けることができる離婚式はメリットも大きいのです。

昨今の日本では、年間20万組以上の夫婦が離婚していますが、より自分の人生を前向きに捉える傾向にあるので、離婚式が増加していく可能性は大きいはずです」