米大統領選で民主党のバイデン前副大統領が当選確実となりましたが、トランプ大統領は敗北を認めず、訴訟などを通じて再選を目指しています。日本でも、大阪都構想で2度目の住民投票(11月1日)でも敗れた大阪維新の会の中で「3度目を」との声が出ている上、大阪都構想に近い制度改革を提案する動きもあります。こうした、自らの敗北や失敗を認められない「諦めが悪い人」は私たちの身近な場所にもいそうですが、その共通点は何でしょうか。また、周囲の人はどう対応すればよいのでしょうか。

 心理カウンセラーの小日向るり子さんに聞きました。

「粘り強い」肯定的な捉え方も

Q.「諦めが悪い人」の心理面での共通点はありますか。なぜ、諦めが悪いのでしょうか。

小日向さん「『諦めが悪い』という言葉にするとネガティブなイメージを持ってしまいがちですが、一方で『粘り強い』性格傾向であるともいえ、そう考えると肯定的な捉え方もできます。いずれにしても共通している心の状態は『勝ち気』な性格です。なぜ、そうした心の状態になるかについては、負けず嫌いな気質といった先天的要因や教育・環境といった後天的な要素が絡み合って形成されますので、決定的な原因と呼べるものはありません。

ただ、環境という点においては、例えば、選挙や試合に接戦で負けてしまった、試験で合格点まであと少し足りずに落ちてしまったといった、『あと一歩』というところで敗北してしまったような場合は、諦めづらい心理状態になる大きな要素となり得ます」

Q.諦めが悪い人は一般に、周囲からどう見られているのでしょうか。

小日向さん「当人がリベンジするにあたって創意工夫をしたり、自身の能力を高めたりして挑むのであれば、他者から好意的に評価されます。しかし、そうした努力をせずに、ひたすら同じことを繰り返すだけでは、周囲から見たら、ただの『しつこい人』となり、不快な言動として捉えられてしまうでしょう」

Q.諦めが悪いことがよい場合もあるのでしょうか。

小日向さん「先述したように、何も変化せず、ひたすらチャレンジを繰り返しているだけでは、諦めが悪いことがよいこととはいえません。しかし、失敗したとしても『では、目的を達成するためにはどうしたらいいのか』と思考や行動をブラッシュアップさせて再チャレンジするのであれば、そこに至る過程は確実に自分自身の成長につながっていますのでよいことだと言えます。また、そうして成果がでた場合は、周囲の人に勇気や感動を与えることにもなるでしょう」

Q.周囲の人はどのように接すべきでしょうか。大きく分けると「諦めるよう説得する。もしくは仕向ける」「静観する」「むしろ応援する」かと思いますが、いかがでしょうか。

小日向さん「まずは、本人の諦めたくない気持ちをいったん受け止めてあげることが大切です。それをせずにいきなり、本人の意志を否定して、諦めるよう説得を始めると反発心が強く働いて、より固執するようになってしまう可能性があるからです。

何としてでも諦めさせるのか、静観するのか、応援するのかというのはそう仕向けたい側の希望であって、最終的に決定するのはあくまでも本人です。自分(周囲の人)がどうさせたいかという視点ではなく、最後に本人が『自分自身が選んだ道だから』と自分の人生に責任を持てるよう、今どう接すべきなのかということを考えましょう」

Q.では、本人の気持ちをいったん受け止めた上で、諦めるように説得する、もしくは仕向ける場合、どのようにするのがよいでしょうか。

小日向さん「『いついつまでに○○ができなければ諦める』といった期限を一緒に設定して、それを約束事とすることをおすすめします。諦められない本人は続けているうちに『それを達成してどうなりたいのか』という目的が見えなくなり、思考が近視眼的になっている場合があります。期限を設定してあげることはそうした思考をいったん解放してあげる一助にもなります。また、諦めた先に続く人生を肯定的に描けるように支援してあげることも有効です」

Q.諦めがいい人になるには、どうすればよいのでしょうか。

小日向さん「それがただの『執着』になっているのか、それとも『粘り強さ』という武器になっているのかを自分で確認してみるため、『自分はさらに変化を起こし続けることができるのか』ということを問い掛けてみましょう。

人間は基本的には変化を嫌う生き物ですから、変化を起こし続けていくことには大変な努力が必要ですし、困難もあるのです。この問いに対して『これ以上は無理!』と思うのであれば、それ以上続けても執着でしかなく、それは周囲からも『しつこくて関わりにくい人』と見られてしまうことを意味します。諦めがいい人がよい、諦めが悪い人が悪いということではありません。『ただ、執着し続けるだけ』になっていないかを点検する視点を忘れないよう心掛けてください」