2月16日から、所得税の「確定申告」が始まります。「税金は天引きだから、自分には関係ない」という人も多いと思いますが、ステイホーム期間の大掃除で見つけた“お宝”が高く売れたり、休業中にウーバーイーツなどの料理宅配等で副収入があったりしたら、申告が必要な場合があります。現在は休止中の「GoToトラベル」で昨年、得した分も「一時所得」扱いになるようです。

「競馬で万馬券を当てた」「宝くじが当たった」なども含め、副収入のいろいろなケースについて、申告が必要かどうかを国税庁個人課税課の担当者に聞きました。

レアアイテムが「生活用動産」かどうか

Q.会社員で年収600万円、給与から源泉徴収されていて、年末調整も済んでいる人という前提で、いろいろなケースを仮定してお聞きします。給与所得以外に20万円を超える所得があると確定申告が必要とのことですが、ステイホーム期間の大掃除で見つかったレアアイテム(例えば、フィギュア)をフリマアプリで出品したら25万円で売れたとします。確定申告は必要でしょうか。

担当者「巣ごもり期間に見つかったものが高値で売れたという想定ですね。この場合、『レアアイテム』自体が一般的に『生活用の動産』であるかが問題となります。生活用の動産であれば、それを売って得たお金は所得税法上は非課税所得になります。

所得税法の9条1項9号に規定があります。レアアイテムがどのようなものかにもよりますが、フィギュアは多分、非課税でしょう。課税対象となるのは例えば、宝石類、真珠などです。そのほか、書画、骨董(こっとう)品、美術工芸品などで、一組30万円を超えるものが課税対象になります」

Q.では、見つかったのが著名画家の絵で、35万円で売れた場合はどうでしょうか。10年前に20万円で買ったものという想定です。

担当者「書画を売った代金は、一般的には課税対象の譲渡所得になり得ますが、取得に要した費用を差し引きますので、この場合は15万円の所得となり、給与以外の所得がこれだけであれば、申告の必要はありません」

Q.買ったときの領収書やレシートをなくしていたら、差額が証明できません。どうなるのでしょうか。

担当者「確定申告の際に購入時の証明は必要ではありません。もし、疑義があると税務署が判断すれば、調べることになります。その場合、本人がどうやって購入金額を申告の際に確認したかということになります。例えば、手帳や家計簿に記録があれば、それを確認することになるでしょう」

Q.コートやジャケットなどの古着を処分したら、総額20万円を超えたという場合はどうでしょうか。

担当者「古着は『生活用の動産』に該当します。先ほど触れた所得税法の9条1項9号には、非課税所得の一つとして、『自己またはその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、じゅう器、衣服その他の資産で、政令で定めるものの譲渡による所得』を挙げています。

つまり、自分が身に着けていたものを処分した場合はこの規定が適用されます。ただし、販売目的で購入した衣服を売って得た利益、例えば、ビンテージもののジーンズを販売目的で買って売っていたとすれば、それは生活用資産とはみなされず、課税対象となる場合があります」

Q.本業の空き時間に料理宅配をして、年間25万円の副収入があった場合、申告は必要でしょうか。自転車を5万円、宅配用のバッグを1万円で買ったとします。

担当者「申告が必要かどうかは所得ベースになります。5万円の自転車購入とバッグ購入は『必要経費』となり、収入から差し引いて20万円を超えなければ、申告は必要ありません」

Q.仮に60万円稼いだ場合は。

担当者「ほかの必要経費の兼ね合いもありますが、先ほどと同じ条件であれば、54万円が所得となり、申告義務があります」

Q.「GoToトラベル」で家族旅行をして、割引分とクーポンで計30万円得をした場合、確定申告は必要でしょうか。

担当者「GoToトラベルに関しては所得分の扱いがここまで説明したものと違い、『一時所得』扱いになります。国の事業ですが観光庁の要項で『旅行者個人への贈与』である旨が示されています。お金を渡すのは国で、個人への贈与ということです。

『一時所得』は収入を得るために要した費用を差し引いて、さらに50万円の特別控除があります。さらに2分の1にして、20万円を超えた場合、申告の必要が出てきます。

旅行者『個人』への贈与契約なので、例えば、夫婦だと半々になり、質問のケースだと15万円ずつの贈与ということになります。特別控除もありますから、GoToトラベルの利用だけでは、よほどの利用でない限り、確定申告が必要になるケースはないでしょう」

万馬券、でもトータル負けだったら…?

Q.では、競馬で万馬券を当てて、30万円を手にした人がいたとします。税金がかかるのは馬券代を引いた分でしょうか。また、年間トータルでは負けていても申告は必要なのでしょうか。

担当者「基本的には一時所得扱いの可能性があります。当たり馬券を購入するための掛け金を差し引いて、特別控除の50万円を引いて、という計算です。仮に100万円勝ったとしたら、申告義務が発生する可能性が高いです。

『年間トータルでは負けている』という場合ですが、一時所得は偶発的な所得で、それぞれの収入を切り分けて考えます。その万馬券を買った費用は差し引くことができますが、外れ馬券の購入費用を計算に入れることはできません。従って、年間トータルでは負けていても、申告義務が発生する場合があります」 

Q.料理宅配の副収入とGoToの利用などが複数重なった場合、合わせて20万円を超えたら確定申告が必要になるのでしょうか。

担当者「例えば、宅配の副収入で雑所得があり、競馬の一時所得もあったとします。それぞれ特別控除などを差し引いた上で所得が15万円ずつあったとしたら、所得としては30万円となり、申告義務があります」

Q.宝くじで100万円当たった場合はどうでしょうか。

担当者「都道府県などが発売する宝くじについては、『当せん金付証票法』という法律の規定で、当せん金に所得税を課さないことが定められています(同法13条)」

Q.昨年は新型コロナウイルスの流行を受けた、さまざまな給付金がありました。全国民に支給された『特別定額給付金』や地方自治体独自の個人向けの給付金はどうなりますか。

担当者「法律の規定で非課税であれば非課税です。特別定額給付金は非課税規定が置かれています。地方自治体独自の個人向け給付金については、直接それを非課税とする規定は見たことがありません。非課税所得にあたらなければ、一時所得扱いになるものが多いので、50万円の特別控除があります。ほかに副収入などがない人が給付金によって、課税対象になることはまずないでしょう。

国税庁のホームページに『新型コロナウイルス感染症に関連する税務上の取り扱い関係』というコーナーを設けており、さまざまな助成金の扱いについて例を載せています。参照してください」

Q.確定申告が必要なのに期限までに申告しなかった場合、どうなりますか。

担当者「申告義務のある人が申告漏れをした場合はペナルティーがあります。無申告加算税や延滞税がかかってくる可能性もあります。税務署から指摘があった場合と、自分で気付いた場合とでも税率が異なります。

国税庁のホームページには、電子申告ができる『e-Tax』のコーナーや申告書作成ツールの紹介、さまざまな疑問に答えているページもありますので、ぜひ利用していただければと思います」

 今年の確定申告は新型コロナの影響で例年より期間が延長されており、4月15日が申告・納付期限です。