靴店や洋服店では時々、展示品だけしか在庫がない「展示品限り」の商品が販売されています。これらは展示されていることで不特定多数の客が試着したり、手を触れたりしており、小さな傷や汚れがあるなど、梱包(こんぽう)したままの商品よりも品質が劣っている可能性がありますが、店側は多くの場合、梱包したままの商品と同価格で販売しています。「展示品限り」の商品を「明確な新品とはいえない」として、値引きを求めることはできないのでしょうか。

 芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

リスク考慮し、値引き求めるべき

Q.「展示品限り」の商品には、気付きにくい小さな傷や汚れが付いていることがあります。購入後、そうした小さな傷や汚れに気付いた場合、何らかの補償を店側に求めることはできるのでしょうか。

牧野さん「靴や洋服は外見が重視されることが多いため、商品に傷や汚れなどの不具合があった場合、法的に、不具合のない新品との交換を要求することができます。売り主は『契約不適合責任』を負い、買い主に対して修理、交換、代金減額、または損害賠償をしなければなりません(民法562条、563条、564条)」

Q.「展示品限り」の商品に気付きにくい小さな傷があったり、汚れが付着したりしている可能性を踏まえて、その商品を購入しようとするとき、「明確な新品とはいえない」として値引きを求めることは可能でしょうか。

牧野さん「可能です。買い物の際、特に気を付ける必要があるのが『返品や交換ができない』という特約がある場合です。『展示品限り』の商品を購入後、小さな傷や汚れを見つけても、この特約がある場合は返品や交換ができないからです。それを踏まえて、そのリスク分の値引きは当然求めるべきでしょう。ただ、中には値引きを要求しなくても最初から、店側が『汚れがあるかもしれないから』などとして値引きしてくれることもあります」

Q.では、店側は客が「展示品限り」の商品の値引きを求めてきたとき、応じる義務があるということでしょうか。

牧野さん「展示品に傷や汚れが全くないのであれば、店側は値引き要求に応じる義務はありません。しかし、お客に買ってもらえなくなると売れ残ってしまうリスクがあること、また、『不親切な店』と評判を落とす可能性があるので、通常は値引き要求に多少なりとも応じることが多いでしょう」

Q.客は気付かなかった傷や汚れなど後々のリスクも考え、可能であれば、「展示品限り」の商品は購入しない方がよいのでしょうか。

牧野さん「たとえ、『展示品限り』の商品であっても、先述したような特約がなければ、客は店に対して『契約不適合責任』を追及でき、修理、交換、代金減額、または損害賠償の請求をすることができます。店側の好意で、特約がなくても割引で買えるのであれば、割引分はお得となるので、一概に『展示品限り』の商品は購入しない方がよい、とはいえないでしょう」