新型コロナウイルスにより、テレワークが常態化するなど、これまでのビジネスの常識が大きく変化した現在。人々の働き方がガラリと変わった今、ビジネスシーンにおいて、どのような振る舞い方をすればいいのか模索している人も多いと思います。

 この連載では、ウィズコロナ時代にふさわしい新しいビジネスマナーについて、年間100件以上の研修を通して、各回で活躍するビジネスパーソンを育成してきたマナーコンサルタントのマナー西出ひろ子さんに4回にわたって聞きます。最新刊に「入社1年目の教科書 ビジネスの基本とマナー」(3月2日発売)があります。

 今回のテーマは、時短勤務などの柔軟な働き方を実現するための「時間管理とコミュニケーション術」です。

自分も相手も助けるための時間管理術

 会社ではさまざまな年齢や立場の人が働いていて、考え方や価値観、感性もそれぞれ異なります。また、近年はワークライフバランスが推進されるようになったことで、子育てや介護をしながら働くことも一般的になりました。個性やプライベートを尊重する社会は、テレワークにより一気に加速することでしょう。

 この新時代は働き方を見直す、またとないチャンスです。仕事の基本である時間管理とコミュニケーションを大切に、みんなが働きやすい社会を目指しましょう。まずは以下の、仕事効率をアップする3つのテクニックをチェックしてみてください。

・マトリックスで仕事の優先順位を考える

図のようなマトリックスに業務を振り分け、優先順位を考える習慣をつけましょう。まずはA、次にC。ただし、Bを先送りにせず、スケジュールに組み込んでおくことも大切です。期日が決まっているもの、関わる人が多いものも優先順位を高めにしましょう。

・手帳を使いこなしてスケジュールを「見える化」する
スケジュールを管理するには、手帳が欠かせません。スマホのアプリなどもありますが、新人の場合は仕事に慣れるまで、紙の手帳の方が確認しやすいでしょう。手帳には目標や締め切り、ToDoリストのほか、作業時間や移動時間も書き込むのがおすすめ。

・「ポモドーロテクニック」で集中力をアップする
仕事に集中し、生産性を高める方法として世界中で活用されているポモドーロテクニック。タイマーをセットして25分作業したら3〜5分休憩、これを繰り返して4〜5回に1度、15〜30分の休憩を取ります。

 新人の頃はいろいろな細かい仕事を頼まれ、優先順位が分からなくなることもあるはず。慣れるまでは、作成したスケジュールや自分で考えた優先順位を上司や先輩に確認してもらうと安心ですね。

 最初はこれらを確認してもらう立場ですが1年もすれば、逆の立場になることもあります。時間管理術を身につけて、効率よく業務を進めておけば、相談や確認作業もスピーディーです。時間管理術でも著名な石川和男先生は「時間は命」とおっしゃいます。仕事にはスピード感も大切ですね。

気持ちが伝わるフレーズを使いこなそう

 多様な働き方をする、また、それを受け入れるためには普段から、思いやりのあるコミュニケーションを心がけましょう。よいコミュニケーションの基本は「相手に好感を持たれるような話し方」です。まずは言葉遣いに注意を払うことが大切ですが、相手を思いやる気持ちがベースにあれば簡単に実践できます。ここでは、今すぐ使える好感フレーズを4つ紹介します。

・相談をお願いしたいとき
「○○の件でご相談したいことがあるのですが、○分ほどお時間を頂けますでしょうか」

相談をするときはまず、相手の状況を確認し、内容や時間を具体的に伝えて、相手が判断しやすいようにしましょう。

・相手の協力にお礼を言うとき
「ご尽力くださり、心よりお礼申し上げます」

無理なお願いを聞き入れてもらったときなど、相手が努力してくれたことへの感謝の気持ちを伝える表現です。

・共に仕事する上で尊敬を伝える
「○○さんとご一緒できれば安心です」「〇〇さんだからこそ、こなせる仕事ですね」「○○さんとお仕事ができて光栄です」

一緒に仕事をする喜びを伝えながら、相手を立てることができます。

・コミュニケーションへの敬服を伝える
「○○さんの話はとても分かりやすいです」「○○さんとの話は、いつもはずみますね」「どうしたら、○○さんのように会話上手になれますか?」

相手とのコミュニケーションが楽しいことを伝え、テクニックを学ぶこともできる一石二鳥のフレーズです。

 このような好感フレーズを使ってコミュニケーションを取ることで、業務をスムーズに運んだり、思いやりにあふれたよい関係を築いたりすることができます。

自分の特性を知れば、コミュニケーションに役立つ

 さまざまな人とコミュニケーションを取る上では、自分の得意な表現方法を知っておくことも大切です。人が持っている表現(アウトプット)方法には特性や魅力があり、適した発揮方法があります。アウトプットの型は「共感」「アレンジ」「分析」「企画」「チャレンジ」の5つの属性に分類され、チームビルディングに役立てることもできます。

 例えば、共感タイプの人は協調性やコミュニケーション能力が高いので、組織の中では潤滑油のような存在となります。ところが、仕事で困っている人がいるとすぐに手助けをしたり、頼まれごとを断れなかったりするので、気付かないうちに自身が疲弊してしまうことがあります。疲弊してしまう前に自分の意見を真摯(しんし)に主張し、周囲に理解してもらう「交渉力」も磨いていきしょう、となるわけです。

 このようにビジネスマナーとは元来、単にお辞儀の仕方や名刺交換の仕方の「型」ではありません。ビジネスマナーの存在意義は、相手と自分への配慮ができる人間力を養い、収益を上げ、社会に貢献できる人材の育成です。

 診断テストなどで当てはまる属性はあなたの資質を一つに限定するものではありません。誰もが複数の資質を持っていますし、社会人としての経験を重ねることで思ってもみなかった資質が伸びる可能性もあります。仕事を通じて、さまざまな挑戦と学びを繰り返すことで自分磨きになるのです。

 多様な働き方を、組織として推奨していく動きはまだ始まったばかりといえます。どの職場でも試行錯誤の最中かと思いますが、各自の時間管理とお互いを尊重するコミュニケーションを取ることが企業としての役割、なりたい自分像実現への近道となるのではないでしょうか。真心マナーがあれば、ストレスのない環境をつくることができます。それは、みんなが働きやすい社会創生にもつながるのです。