人と人との関係を図るときに「相性」という言葉を使います。異性と出会ったとき、「生理的に合う/合わない」と言う人がいますが、これもまさに男女の相性なのでしょう。

 ですから、結婚できるか、できないかは相性の合う人に出会えるか、出会えないかにかかっているのです。

人としては尊敬できるが…

 女性会員の木村円香さん(33歳、仮名)は大手メーカーに勤める山田幹太さん(40歳、同)とお見合いをしました。幹太さんは勤務先の会社もしっかりしていましたし、年収も800万円あって、結婚するには好条件の男性でした。お見合いを終えた円香さんが言いました。

「とても優しくて、誠実な印象を受けたので、交際希望を出します」

 幹太さんからも交際希望が来て、2人はお付き合いに入りました。ところが、2回目のデートを終えたところで、円香さんから、「交際終了」を伝える連絡が入ったのです。

「幹太さんに悪いところは何もないんです。むしろ、これまで、お見合いしてきた中では、私に一番気を使ってくださる人だと思ったし、デートのエスコートもスマートでした。ただ、私は彼を男性として好きにはならない気がするんです。会社の上司や同僚に幹太さんのような人がいたら、本当に仕事もやりやすいし尊敬できるし、人としては好きになる。でも、その“好き”が恋愛感情の“好き”には変化しないと思うんです。

こんなわがままを言っていたら、いつまでたっても結婚できないですよね。ただ、これは理屈じゃない。このまま、お付き合いしていても彼の時間が無駄になってしまうので、ここで交際終了にさせてください」

 私は円香さんのようなことを言う女性に「何を言っているの。結婚は日々の生活。恋愛とは違うのですよ」とは言いません。それはたとえ、お見合いの出会いであっても「異性として好き」になれる相手でないと結婚できないし、また、そういうお相手と結婚していただきたいからです。そして、幹太さんの相談室に「交際終了」の連絡を入れました。

 すると、程なくして、幹太さんが私の会員の太田瑞希さん(35歳、仮名)にお申し込みをかけてきました。瑞希さんはお申し込みを受諾して、お見合いになりました。

 その後、2人は交際に入ったのですが、瑞希さんはお見合いのときから、幹太さんをとても気に入っていました。お付き合いに入ってからも、2人は水曜か木曜の夜に1回、週末に1回と週2のペースで会っていたようです。

「会社が駅でいうと2駅しか離れていなくて、仕事終わりでもスムーズに会えるんですよね。何か運命を感じました」

 こう話す瑞希さんの声も弾んでいました。交際はとても順調な様子でした。そして、あるデートを終えたときに、瑞希さんから、こんなLINEが来たのです。

「今日、串カツ屋さんに一緒に行ったんです。そこで、串カツで好きな具材ベスト3をお互いに発表し合ったんですね。そうしたら、3位が串カツ牛、2位がアスパラ、1位が紅しょうが。な〜んとベスト3がピッタリ一致したんですよお。やった〜」

 何だか、女子高生のようなノリのLINEでした。読んだ私は「瑞希さんは幹太さんに恋をしているんだな」と思わず笑顔になっていました。

 そして、2人は交際1カ月半で、あっという間に結婚を決めてしまったのです。週2のペースで会っていたので、それでも12回以上はデートを重ねていたことになります。

 幹太さんを男性としては好きにならなかった円香さん。幹太さんを男性として大好きになった瑞希さん。これはまさしく、相性の問題だったと思うのです。

相性が合えば、年齢差も気にならない

 年の差婚には多くの人が驚くものですが、まさにこれも相性が合えば、年の差なんて気にならなくなるのでしょう。

 佐藤洋一さん(49歳、仮名)は大手メーカーの営業マン。全国でも常にトップクラスの営業成績を上げていました。そんな洋一さんが桜井雅美さん(37歳、同)とお見合いをして、交際に入りました。

 ところが、2度目のデートを終えたところで、雅美さんから交際終了が来ました。

「何でしょう、1回り上だからか、とにかく、私に対する助言が多いんです。私がアレルギー体質の話をしたら、『それは生活を改善した方がいい。食事は○○を多めに取って、お風呂はこうやって入って、こんなサプリが効く…』とか、私に口を挟ませる隙もなく、まくし立てて。私は飲んでいるサプリもあるし、私なりに食事も考えていることを伝えたら、『それよりもこっちの方が』ってもう、うるさいうるさい。

何かにつけて、上から目線のアドバイスをしてくるので、一緒にいて心地よくないんです。交際終了でお願いします。あと、今日はデートのときに鼻毛が出ていたので、それも見て気持ちが一気に冷めました」

 かなり手厳しい洋一さんへの評価でした。こうして、2人の交際は終了となったのです。

 洋一さんは結婚したら、お子さんを望んでいたので、お申し込みをかけるのは30代の女性が多く、お見合いを組むのも難しかったですし、お見合いになっても1度か2度、お会いすると、雅美さんのときのように交際終了になるパターンが続いていました。

 ところがあるとき、会員の星野幸子さん(35歳、仮名)に「こういう人がいるのだけど、お会いしてみない?」と私が推薦したところ、「会ってみたいです」というお返事になり、2人はお見合いをすることになったのです。

 お見合いを終えた幸子さんが私にこんな連絡を入れてきました。

「会う前は、14歳も年が違うっていうのはどうなのかなと思ったのだけれど、お会いしてみたら若々しいし、何より、会話のキャッチボールができる人でした。これまで、婚活でお会いした人というのは条件がよいのも分かるし、誠実なのも伝わってきましたが、どこか、会話がしっくりこない部分があったんです。

でも、洋一さんにはそうした疑問に感じるところが一つもなかった。お見合いで2時間もしゃべってしまいましたが、その時間もあっという間でした」

 洋一さんにしてみたら、14歳年下の幸子さんに気に入っていただけたのは手放しでうれしいことでした。

 そして、2人は交際に入ったのですが、3度目のデートを終えたときに、洋一さんのLINEに幸子さんから、こんなメッセージが来たのです。

「私が『誰と結婚をしたいか』と自分に問い掛けたとき、浮かぶのは洋一さんの顔です。『これからの人生を一緒に歩んでいきたい』と思うのも洋一さんです。洋一さんが同じような思いでいてくださったら、うれしいです」

 彼女からの告白。洋一さんは「このLINEを信じて大丈夫でしょうか?」と私に尋ねてきました。

 私も信じられなかったので、幸子さんに確認したら、「私は洋一さんさえよければ、結婚をしたいと思っています」と言うのです。

 そして、このLINEが来た翌月の吉日、洋一さんは夜景がきれいに見えるレストランを予約し、そこでプロポーズをしました。

 婚活でうまくいっていない人たちは「私が心から、好きになれる相手はいないのではないか」「私は結婚できないのではないか」「もう、婚活はやめた方がよいのではないか」と苦しい思いを抱えていると思います。

 いつ、お相手に出会えるか、その保証はないですし、高校受験や大学受験、資格試験のように試験日が決まっていて、そこまで自分が頑張って努力をすれば、結果が必ず出てくるものではありません。だから、婚活で悩みだすと、出口の見えないブラックホールに迷い込んでしまったような気持ちになるのです。

 ですが、これまで、仲人をしてきた経験でいえば、結婚できる人というのはお相手に会い続けた人、婚活を諦めなかった人です。やり続けていれば、相性のぴったり合う相手に必ず出会える。そう信じていてくださいね。