仕事の取引先とやりとりをする際はメールを使うのが一般的でしたが、最近ではLINEや「Slack(スラック)」「Chatwork(チャットワーク)」といったビジネスチャットを使う人も増えています。そこで気になるのが相手が文中、「!」「(笑)」といった記号や絵文字、スタンプを使ってきたときです。記号やツールを使うと、くだけた印象になるため、仕事で使うことに抵抗を感じる人もいるのではないでしょうか。

 もし、相手が「!」「(笑)」、絵文字、スタンプを使ってきたときは、相手に合わせて、これらの記号やツールを使うべきなのでしょうか。人材育成コンサルタントの高岡よしみさんに聞きました。

一目で感情が伝わりやすい

Q.仕事のやりとりの際、メールだけではなく、LINEやビジネスチャットも使われるようになりました。ビジネスで連絡手段が多様化した影響について、教えてください。

高岡さん「最近はビジネスで、LINEやビジネスチャットを使う機会が増えた影響で『ビジネスで顧客が使用しているツールでないと連絡が取りにくい』といったケースもあり、『本当は使いたくなかったが仕方なく、LINEやビジネスチャットのアプリをダウンロードして、取引先と連絡を取り合っている』という話をよく耳にします。しかし、取引先の状況に応じて、連絡手段を使い分けることは『社会とのつながり』『人に迷惑を掛けない』という面で多くのメリットがあります」

Q.取引先や会社の上司、同僚とメールやLINE、ビジネスチャットでやりとりをする際、「!」「(笑)」といった記号や絵文字、スタンプなどを使ってもよいのでしょうか。これらの記号やツールを使うメリット、デメリットも含めて教えてください。

高岡さん「文面の内容や相手との関係性によっては、使ってもよいケースもあります。『!』『(笑)』といった記号や絵文字、スタンプなどのツールは、一目で感情が伝わりやすいのがメリットです。例えば、重要な注意事項がある場合は『危険』を示す絵文字があった方が一目で分かりやすいですし、音楽関係の話題で歌詞の部分を示すために『音符』の記号や絵文字を使用すると、メッセージと歌詞の部分の区別がつき、分かりやすくなります。

また、会社の後輩を指導した後、後輩が『怒られた』と勘違いして謝罪メールを送ってきたとします。その際、返信で『怒ってないよ』と伝えて安心させたいのであれば、私なら『安心』を示す顔の絵文字を使うかもしれません。しかし、『!』『(笑)』といった記号や絵文字、スタンプなどを使うときは、やはり、相手との関係性を丁寧に考える必要があります。

取引先でも世代が近く、普段から、くだけた話をしているような間柄なら、これらの記号やツールを使用した方が親近感や一体感が持てます。特に、2社で1つのプロジェクトを成し遂げるような場合、双方にとってよい方向に進めるというメリットがあるでしょう。

一方、取引先の連絡相手が目上の人、例えば、大企業の社長やその秘書の場合、先方のメッセージに『!』『(笑)』、絵文字、スタンプが使われていても、こちらから送るメッセージは、へりくだったものでなければなりません。へりくだっていることを表現しなければならないのに『!』『(笑)』、絵文字、スタンプを使用すると逆効果になるでしょう。

よく考えていただきたいのは、連絡手段が電話やファクスからメール、メールからビジネスチャットに変わったからといって、相手との関係が変化するわけではないということです。その点を踏まえた対応が必要です」

Q.では、取引先の人や会社の上司、同僚が「!」「(笑)」、絵文字、スタンプなどを使ってきた場合、相手に合わせて、これらの記号やツールを無理に使う必要はないということでしょうか。

高岡さん「無理に使う必要はありません。メッセージを返信するときのコツは、常に相手の立場に立って考えることです。例えば、新規取引先の年下の担当者が丁寧なお礼のメッセージを送ってくれたときに『優しく見守ってあげたい』『期待している』という気持ちを文章で表現した上で絵文字を入れると、文章だけの場合よりも相手は親近感を覚えて、『自分は期待されている』とより深く感じてくれるかもしれません。

一方、メッセージを送る相手の立場に立って考えられるほどには、まだ、相手のことを知らない場合は記号や絵文字を使わず、最も丁寧な文面で臨んだ方が失敗しないと思います。社内であっても、年齢が20歳ぐらい年上の上司や役職が上の人からのメールに『!』『(笑)』が使われていた場合、返信する際は、文面に謙虚な気持ちを表現することを優先しなければなりません。従って、そのような場合、『!』『(笑)』、絵文字、スタンプを無理に使わないというのが私の見解です」

Q.しかし、相手が「!」「(笑)」、絵文字、スタンプなどを使って文面を送ってきたときに「。」だけで返信すると、冷たい印象を与えるかもしれません。冷たい印象を与えないためには、どうすればよいのでしょうか。

高岡さん「相手への尊敬の念と、相手の仕事が円滑に進むこと、相手の人の健康を気遣っていること、つまり、相手を大切にしているという気持ちが伝わればいいのです。短い言葉で言うと『敬愛』です。これは、あなたが本当にそう思っていることが大切です。そうすれば、おのずと冷たい印象を持つ文面にはならないと思います」

「…」「〜」は使ってもOK?

Q.このほか、「〜ですが…」「ですよね〜」といったように、仕事のやりとりの中で「…」「〜」をよく使う人もいます。メールやLINE、ビジネスチャットで「…」「〜」は使ってもよいのでしょうか。

高岡さん「『…』『〜』はなるべく使用せず、文章でしっかりと伝えるべきだと思います。『…』が使われるのは、言いにくいことを表現するときが多いかもしれません。

例えば、『以前にもお願いしたかと思いますが…』というような使い方ですが、この『…』の部分もしっかりと言葉にすると、『以前にもお願いしたかと思いますが、まだ、お返事がいただけていないので、リマインドさせていただきます』のような内容になります。ビジネスシーンでは、この方がはっきりと伝わりやすいので好ましいといえます。

一方、『〜』は『すみませ〜ん』『ありがとうございま〜す』『お帰りなさい〜』のような、いわゆる伸ばし言葉として使う人がいます。会社の同期など近しい相手とのやりとりなら、親しみが感じられるかもしれませんが、やはり、相手への敬意が伝わりにくくなるので基本的には使わないことをおすすめします」